ロングランも快適にこなす本格フルカウルスポーツ!
生産国であるインドで数々の賞を獲得したスタイリッシュネイキッドスポーツ、GIXXERにフルカウル版の「SF」が登場。写真のようにMotoGPカラーをまとった、精悍な仕上がりが光るモデルだ。こちらも緊急輸入されたばかりの1台を早速テスト。高速道路のクルーズも試してみたぞ!
高級感のある上質な乗り味でクラスを超えた快適性も自慢
アジア市場の活況やコストの面からタイやインドネシア、中国で生産される日本ブランド車が増えているが、この「ジクサー」はインド製。車名はGSX-Rの発音を詰めた愛称に由来していて、現地ではスポーツモデルのトップグレードという位置付けになる。
今回試乗したジクサーSFは、MotoGPマシンやハヤブサの開発にも使われている風洞実験室で空力特性を詰めたというフルカウルを装備に加え、MotoGPマシン譲りの大胆なグラフィックが施されていることもあって、とにかく人目を惹く。都内試乗中の注目度は気恥ずかしくなるほどだった。
おおらかなフィーリングの乗り味
150㏄クラスとしては標準的な車格だが、高めのバーハンドルとやや低めのステップ位置でライディングポジションはゆったりしていて、腕や肩に掛かる負担はゼロ。着座位置の自由度も大きいから、長時間の連続走行も苦にならないし、小柄なライダーなら前寄りに座れば楽に足が着くはずだ。
乗り味もスポーツツアラー的なルックスやポジションに相応しく、おおらかなフィーリング。エンジンは空冷SOHC2バルブ単気筒というごくオーソドックスな構成だが、ボア×ストロークが56㎜×62.9㎜というロングストローク設定で、低中回転域での力強さは同クラスのライバル車の中でもトップレベル。トップギアの5速で40㎞/h時は3000回転弱まで回転が下がるが、そこからでもトコトコと粘り強く加速する。徹底的にフラットな特性なので回転が高まっても表情の変化はなく、パワフル感はないが、普通に乗っていれば150㏄ということを忘れるほど快適かつイージー。
乗りやすくて快適なオートバイ
ミッションは1〜3速のレシオをワイドめに設定した5速だが、このパワー特性にマッチしていて、街乗りでは不満なし。高速道路ではもう1速欲しくなるものの、どの回転域でも振動が少ないから100㎞/hクルージングも苦にならない。
アジア圏向けのオートバイはタンデム(実際は3〜4人乗りも珍しくない)ライディング時の安定性を考慮してリアサスのスプリングを硬めにしたものが多いが、ジクサーはごく普通のセッティングだ。ソロライドでも前のめり感は皆無だし、ギャップ通過時の突き上げも少ない。フロントフォークはソフトだが過剰に動くことがなく、ストロークも充分。リアとのバランスが良く、高級感のある乗り心地にまとまっている。
もちろんハンドリングも安定指向で、どう扱っても神経質な反応は出ない。入力しやすいハンドル形状や初期制動力の高いブレーキを利用して振り回すような走り方もできるが、ジクサーのキャラクターに合わない。ハンドルには軽く手を添えるだけで、進路は腰でコントロールするような気張らない乗り方のほうがジクサーの魅力を実感できる。
同社の大型モデルでいうならGSX-S1000Fに通じるところがある。
乗りやすくて快適なオートバイだ。
RIDING POSITION
写真を見ると同社のGSR250よりも一回り小さい車格だが、グリップが高く手前に位置するハンドルと、膝の曲がりが緩やかなステップ位置で身長176㎝のライダーでもポジションに窮屈さはない。シート高も780㎜に抑えられているから足着き性も上々だ。
主要諸元
全長×全幅×全高 2050×785×10853㎜
ホイールベース 1330㎜
シート高 780㎜
車両重量 139㎏
エンジン形式 空冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量 154.9㏄
ボア×ストローク 56×62.9㎜
圧縮比 NA
最高出力 14.8PS/8000rpm
最大トルク 1.42㎏-m/6000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 12ℓ
キャスター角/トレール NA
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後 100/80-17・140/60R17
※今回の記事は、オートバイ2016年8月号より