激変したトレッドデザインが意味するのは…
この「ロードテック01」はZ8Mの後継モデルになるのだが、まずは、そのトレッドデザインの激変ぶりにびっくり。多数のレイングルーブは物理的に水を排水して接地力を確保するためのものだが、それだけではない。これだけグルーブが多いと、トレッド面が変形しやすくなって柔軟性が増す。それを考慮したトレッド剛性をバランスさせると、コンパウンドだけでなくタイヤ全体で路面を捉えるハイグリップ性能と耐水能力、硬いコンパウンド採用による耐久性の向上などが得られるわけだ。さらにグルーブが細かく、まんべんなく配置されてる事から回転する接地面での接地面積増減が少なくて済む。ざっくり説明すると、そんな考え方で作られたタイヤだ。
ウェット性能は期待以上!
乾燥重量で240㎏を超えるMT-01に装着して、いきなり大雨の中を走ったのだが、見た目どおり、ウェット性能は抜群にいい。雨に強いZ8Mとも比べ物にならない。履き替える直前まで履いていたのがやはりグルーブの多いフランス製のツーリングスポーツタイヤだったんだが、水たまりの通過や制動、交差点、白線乗り越えなど、およそ考えられる全てのウェット路面でさらに上質な接地性を発揮する。
空気圧などは指定空気圧のまま、横浜から標高の高い御殿場まで走ったんだが、高速安定性、快適な乗り心地にも目立った変化は無い。ハンドリングとしては直立近辺での動き始めが軽く、リーンしていくとまったりとした節度があるものの、そこから動きを与える時の手応えとしては軽い。舵角は強く付かないタイプだが、それなりの旋回性も生み出す。
強烈なグリップ力だが、耐久性も秀逸?
さらにテストで走った富士スピードウェイのショートコースでは、MT-01のバンク角なら何の不安も無くフルバンクさせられるし、リッタースーパースポーツ以上の瞬発的トルクにも耐える。しかもノーマル空気圧のまま走っても怖くない。それにサーキットを走っただけで、この手のタイヤは、表面にゴムのささくれができたり、たくさんあるグルーブが開いたり、段差ができかけたりするのだが、そんなのが一切無い。かなり耐久性が良さそうなんだが、それにしては、強烈なグリップ力である。
超重量車に対応するラインアップも!
そのあと、ウェットでの急制動やスラロームというメニューも試した。常に安定してて、気楽なテストになったんだが……前日に大雨の中を走った信頼感が無ければ、MTなんて重いバイクで試してない。ABSも無いし。MT-01はかなり重いバイクで、今のビッグネイキッドと比べても最重量級。選択肢としては重量車用の「HWM」バージョンがあるが、今回履いたのはスタンダードタイプ。HWMはBMWのK1600シリーズなどの、さらに重いモデルにバランスするもので、一般的な重たいスポーツバイクならスタンダードで十分だ。
このタイヤ、走り込んでも最初のフィーリングがあまり変わらないのも魅力だと説明された。かなり使い勝手のいいタイヤで性能的にも不満がないので、しばらく履いてみる事にしようと思っている。
[ ROADTEC 01 サイズ表 ]
■FRONT
120/60 ZR 17 M/C (55W) TL
120/70 ZR 17 M/C (58W) TL
120/70 ZR 17 M/C (58W) TL HWM【HeavyWeight Motorcycles (HWM)】
110/80 R 19 M/C 59V TL【Enduro Street sizes】
120/70 ZR 19 M/C 60WTL【Enduro Street sizes】
■REAR
160/60 ZR 17 M/C (69W) TL
180/55 ZR 17 M/C (73W) TL
190/50 ZR 17 M/C (73W) TL
190/55 ZR 17 M/C (75W) TL
180/55 ZR 17 M/C (73W) TL HWM【HeavyWeight Motorcycles (HWM)】
190/50 ZR 17 M/C (73W) TL HWM【HeavyWeight Motorcycles (HWM)】
190/50 ZR 17 M/C (75W) TL HWM【HeavyWeight Motorcycles (HWM)】
150/70 R 17 M/C 69V TL【Enduro Street sizes】
170/60 ZR 17 M/C 72WTL【Enduro Street sizes】
[ 問 ]ピレリジャパン株式会社 TEL: 03-5418-6500
※この記事はオートバイ2016年8月号より