画像: 2015年大会の表彰式です そうそう、去年はこんな年だった、って思い出し始めましょう!

2015年大会の表彰式です そうそう、去年はこんな年だった、って思い出し始めましょう!

2016年の鈴鹿8耐まで3週間チョイ。
7月4日からの3日間は、鈴鹿サーキットで公開事前テストが行なわれました。天候は雨あり、曇りあり、酷暑あり、路面コンディションはドライあり、ウェットあり、ハーフウェットありと、梅雨のこの時期にしてはいろんな条件のテストができたみたいで、各チームとも有意義な3日間になったみたいです。
3日間を通して、なんとヨシムラとチームカガヤマのスズキ勢が総合トップタイムを独占! 特に最終日は、ヨシムラが1-2で、タイムも2分07秒台に入れてくるという気合! 去年の鈴鹿8耐も、全日本のシリーズも、ヤマハYZF-R1+中須賀克行にやられっぱなしで、その中でも唯一対抗できているのがヨシムラスズキGSX-R+津田拓也ですから、この事前テスト、つまり「8耐準備の最終段階」でもミスなく進めて本戦の仕上がりを万全にしたいはずですから、まずは結果OK、でもあくまでも事前テスト、ここでゆめゆめ油断することなかれ--。
昨年度の優勝チーム、ヤマハファクトリーレーシングは、この合同テストには参加せず、その先週に非公開テストを行なったようです。次の7/13のテストには、中須賀&アレックス・ロウズが参加の予定です。

画像: ヨシムラはこの数年、恒例となっている8耐事前イベントを新東名・清水PAで実施しました (写真はヨシムラジャパン公式FaceBookより)

ヨシムラはこの数年、恒例となっている8耐事前イベントを新東名・清水PAで実施しました
(写真はヨシムラジャパン公式FaceBookより)

このテストの結果が参考にならないというのは、8耐の事前テストともなれば、タイムアタックは2の次3の次で、まずは本戦に使えるタイヤテストや、なにより燃費チェックをベースとしたアベレージスピードを探るのがいちばん重要だからです。24Lタンクで5.8kmのコースを20周したいとなると、まずは4.8km/Lの燃費を確保しなきゃいけない、まずはそこからマシンづくりを始めるのです。ちなみに昨年の優勝チームは、初回27周してますからね、これで燃費は6.5km/Lを実現できてた、ってことです。

では、そのレースシミュレーションのほんのサワリだけお伝えしましょう。
8時間を走って、いちばん周回したチームが優勝なわけですから、去年までのデータを基に、まずは最高どれくらい周回数がいくか、を想定します。そこから8時間中のピット作業分(トップチームは7回でしょう)のロスタイムを差し引いて、平均ラップタイムをシミュレーション。そこにいかに近づけるか、がレース前のテストでいちばん大事なワケです。
8時間=480分=2万8800秒。ここからピット作業が20秒を7回分引いて、さらにピットインとピットアウトでスピードダウンしますから、ピットに入る周回のロス分、さらにピットアウトする周(アウトラップって呼びます)も、ニュータイヤ、ガソリン満タンでコースインするから、2~3周は、タイムロスします。もちろん、スタートの周も、ル・マン式スタートからのタイムですから、ここでもロスタイムが生じるわけです。
ここで、昨年の優勝チーム、ヤマハファクトリーレーシングのデータを公開しちゃいましょう。
周回数は204周。ル・マン式スタートの1周目は2分20秒942、ピットインした周はピットレーン入り口からちょっと行った地点からスピード制限がかかってピットまで
1:28周目=2分25秒086 2:60周目=2分25秒059
3:87周目=3分31秒832 4:117周目=2分24秒997
5:144周目=2分25秒053 6:169周目=2分25秒871
7:195周目=2分24秒394
だいたいピットインした周は2分24~25秒で揃えてますね。これが素晴らしい! 3回目のピットに時間がかかっているのは、セーフティカー介入時にピットに入ってるからです。
さらにアウトラップはピット作業を終えて、ピットロードでコントロールラインを通過していって、スピード制限がかかりながらのタイムが
1:29周目=3分00秒366 2:61周目=2分59秒059
3:88周目=4分52秒925 4:118周目=3分25秒601
5:145周目=2分59秒951 6:170周目=3分03秒186
7:196周目=3分16秒519
タイムにバラつきがあるのは、セーフティカーが介入していたり、後続との差を考えてペースダウンしていたり。3回目のアウトラップは、ライドスルーペナルティで、ストップ&ゴーを消化した時のものですね。

画像: ピット作業 ラップタイムを1秒縮めるのは至難のワザだけど、ピット作業は練習次第で1秒詰まる!

ピット作業 ラップタイムを1秒縮めるのは至難のワザだけど、ピット作業は練習次第で1秒詰まる!

何事もなかったら、アウトラップは3分00秒あたり。つまりヤマハファクトリーは、ピットインとアウトの2周で、5分半ほどを消費する計算になります。
これを7回やるわけですから、2万8800秒-(330秒×7)=2万6490秒 これで210周を走る、という目標を立てるとなると、2万6490÷210=126.142、つまり2分06秒142が平均ラップタイムとして求められるわけです。これ、すげータイムですけど、あくまでザックリ話してますからね(笑)。
もちろん、この計算通りにいかないのが鈴鹿8耐で、バックマーカーをパスするタイムロスもあれば、雨も降ってくることがあるだろうし、最近は安全を期してセーフティカー介入のケースも増えています。こういう不確定定要素が起こるたびに、ピットで計算をし直し、戦略を立て直す--これが鈴鹿8耐なのです。
この3日間のテスト結果をチームに持ち帰って、マシンを作り、データをまとめ、次回のテストへの準備だったり、プライベートテストだったりと、またチームは準備に追われるわけです。それだけじゃなく、通常の全日本の数倍は必要になるスタッフを確保しなきゃいけないし、スタッフの移動の足、宿泊場所、食事、レース期間中に必要な機材、準備するごはん、飲み物、おやつ、マッサージ、レース中に使う体温下げるようのプール………。気が遠くなります。
こんな苦労して戦う8耐だからこそ、やり切った喜びが大きいんだろうね! やっぱり鈴鹿8耐って、巨大な運動体であり、壮大なドラマなんだなぁ!

画像: 写真は2016年のSUGO120Milesセミ耐久。鈴鹿8耐はだいたい750Miles耐久です

写真は2016年のSUGO120Milesセミ耐久。鈴鹿8耐はだいたい750Miles耐久です

事前テスト結果
■Day1 20160704
1 ヨシムラスズキ 2'08.830
2 TOHOレーシング 2'08.996
3 TeamKAGAYAMA 2'09.224
4 ヨシムラスズキ 2'09.333
5 RTハルクプロ 2'09.987
6 TeamGREEN 2'10.128
7 TeamGREEN 2'10.442
8 TOHOレーシング 2'10.508
9 TeamKAGAYAMA 2'10.513
10 MotoMap SUPPLY 2'10.892
■Day2 20160705
1 TeamKAGAYAMA 2'08.642
2 TeamGREEN 2'08.720
3 TSRホンダ 2'08.752
4 TeamKAGAYAMA 2'08.808
5 TeamGREEN 2'08.969
6 コハラRT 2'08.977
7 TSRホンダ 2'09.032
8 ヨシムラスズキ 2'09.413
9 RTハルクプロ 2'09.448
10 TOHOレーシング 2'09.893
■Day3 20160706
1 ヨシムラスズキ 2'07.479
2 ヨシムラスズキ 2'07.796
3 TSRホンダ 2'08.224
4 TOHOレーシング 2'08.249
5 TeamGREEN 2'08.342
6 TeamKAGAYAMA 2'08.368
7 RTハルクプロ 2'08.474
8 ホンダTeamアジア 2'08.498
9 コハラRT 2'08.608
10 TeamGREEN 2'08.733

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