この週末は世界耐久選手権の第2戦ポルトガル「ポルティマオ12時間耐久」が行われました。全4戦で行なわれる耐久選手権は、このポルトガル大会を終わると、次は7月末の「鈴鹿8時間耐久」。その次が最終戦ドイツ「オシャースレーベン8時間耐久」。その翌月のフランス「ボルドール24時間耐久」が、2017年世界耐久シリーズの開幕戦となるのです。
レースウィーク進行は、火~水曜にプライベートテスト時間帯があって、木曜にフリー走行と予選1回目、金曜に予選2回目とウォームアップ、土曜の9時半から21時半までが決勝というスケジュール。現地の日没は20時54分と発表されているので、19時ごろ日没/19時半にチェッカーが降られる鈴鹿8耐と感覚的には似てるかもしれないね。
そして、このポルティマオ12時間では、歴史に残る死闘が展開されました。勝ったのはヤマハYZF-R1を駆る、鈴鹿8耐でもおなじみのGMT94ヤマハ。あの元GPライダー、カルロス・チェカの弟、デイビッド・チェカがいるチームね。このGMT94と、2着に入った、これも鈴鹿8耐でおなじみのスズキ・エンデュランス・レーシング・チームが大接戦を繰り広げ、1位と2位の差、なんと0秒081という超接近戦だったのです。
鈴鹿8耐では1994年に、優勝したダグ・ポーレン/アーロン・スライト組(ホンダRVF)とスコット・ラッセル/テリー・ライマー組(カワサキZXR750R)が0秒288差決着だったことがありました。当時は「8時間走って0秒2かよ、スゲー!」と思ったもんですが、今回は12時間走って0秒081差ですからね、これはまさに、耐久レース史上、歴史に残る超接近戦、GMT94のWebサイトでは大会新記録、と記されています。
レースは、GMT94とS.E.R.T.が序盤から一騎打ちを繰り広げ、SRCカワサキや、日本のTSRホンダとトップグループを形成。ポールポジションからスタートした、前戦ル・マン24時間耐久の覇者SRCカワサキは、燃費問題とエンジンのオーバーヒートで脱落、日本から参加しているTSRホンダは、3位走行中のレース中盤、クラッチトラブルで大きく順位を落とし12位でフィニッシュしました。TSRの戦いぶりについては、またあとで1本上げますね。
これでレースは、S.E.R.T.とGMTヤマハの一騎打ち。片方がピットに入れば、もう片方がトップに立つ、の繰り返しで、ラスト30分、勝負をかけたS.E.R.T.が、最後のライダー交代へ。ここで、トップを行くGMTヤマハと2位S.E.R.T.の差が12秒。今度はGMTヤマハが最後のピットストップでS.E.R.T.が逆転で首位に立ち、その差は3秒7。ファイナルラップも壮絶な抜き合いで、最後の最後、まさにハナ差(英語表記はNeck and neck)でGMT94が優勝を飾りました。
「勝つために出来ることはすべてやった。勝てなかったのは悔しいけれど、今日はGMT94を祝福したい。本当にグレートなレースだった」とS.E.R.T.の闘将ドミニク・メリアンが言うほど、すばらしい決着だったようです。うーむ、どっか動画上がってないかなぁ。
これで耐久ランキングは以下の通り。SRCカワサキ、GMT94という今シーズンの優勝チームはどちらも1戦を落としていて、コンスタントにポイントを獲得しているスズキのプライベートチームAprilMotoが単独首位につけました。さすがのS.E.R.T.が3番手、そしてなんとTSRが4番手につけてますね! TSR、8耐でも上位入賞となると、まさかの世界耐久チャンピオンの座がグッと近づきますね!
さぁて次回、鈴鹿8耐は7月末! チケット、買った? 宿、取った?
■ポルティマオ12時間耐久
1:GMT94ヤマハ 393周 2:S.E.R.T. 393周+0秒081
3:Honda Endurance Rcing 389周 4:YART 387周
5:Team April Moto 387周 6:Tati Team Beaujolais 385周
■世界耐久選手権ランキング
1:Team April Moto Motors Events(スズキ) 66P
2:SRC カワサキ(カワサキ) 60P
3:スズキ エンデュランス レーシング(スズキ) 59P
4:F.C.C. TSRホンダ(ホンダ) 53P
5:GMT94(ヤマハ) 45P
6:ホンダ エンデュランス レーシング(ホンダ) 43P
7:YART ヤマハ オフィシャル EWC(ヤマハ) 39P
8:Team R2CL(スズキ) 36P
9:Voelpker NRT48(BMW) 35P
10:Team 3ART YAM’AVENUE 34P