鈴鹿のアジア選手権、日曜のオープニングレースはADER(=アジアドリームエンデュランスレース)2時間耐久。これは、アジア選手権で行なわれているCBR250Rワンメイク、ADC(=アジアドリームカップ)と、日本で行なわれているCBRドリームカップを一緒に、しかも2時間耐久にしちゃおう、という鈴鹿ラウンドならではのレース。同じCBR250Rを使って、日本のCBRカップ勢がどんなレベルにあるのかがわかるレースです。ここ数年の、鈴鹿4時間耐久レースにちょっと似てますね。
けれど、コンディションは雨でウェット路面。こうなると晴れも雨も走り慣れてる国内勢が有利か、って思いますが、意地を見せたサムライがいました。予選でトップタイムをマークしたADC参戦2年目の中村大輝(ひろき・17歳)ですが、中村なんと、パートナーのハフィズ・アズマンが予選で転倒、負傷したことで決勝に出られない、ってことになってしまったんです。
中村はここまで2戦4レースで3勝2位1回と、ADCのランキングトップをいくライダー。だけど、鈴鹿大会では、スタート前からノーポイントが決まってしまいました。
でも、ドリームカップは若手育成のレースなんだから、とオーガナイザーが粋な計らいを見せてくれます。2時間耐久のレギュレーションどおり、ひとりのライダーが2時間の3/4を走っちゃいけないんで、そこまでは走って、そうしたらリタイヤ扱いにしよう、という裁定となったんです。いいねぇ、こういう裁定。トップカテゴリーではなかなかこうはいかないでしょうが、CBRカップの理念に合ってるよね、うん!
そして決勝レースでは、この中村が快走。最初から章典外扱いってことで、最後尾グリッドからスタート。そうしたら、アレヨアレヨとトップグループに追いつき、5周を過ぎたあたりからトップグループへ。そのまま、ホールショット奪ってレース序盤をリードする#68前田誠司(46歳)とトップ争いを繰り広げ、他チームがライダー交代するタイミングを越えて、予定通り120分のレースの90分を過ぎたあたりでリタイヤとなったのでした。前田は昨年も、同じペアリングでこの大会で優勝したチーム、ライダーですね。
「最後尾スタートなのに、思ったより早く追いついてきてびっくりしましたね。でも彼がいなくなるのは分かっていたんで、無理せずについていって、スリップを使いあいながら後続を引き離して、勉強させてもらいました」と前田。
レースは、雨スタートで転倒続出。こうなると淡々と、しかも予定通りに戦略を進めたチームが前に出るもの。その意味で、前田の#68ハイブリッド&丸富オート&TTS with genki-kobo.comはスピードがあってミスがなく、予定通りにレースを進めたのでした。雨はレース序盤に止んで、路面は徐々に乾いて行く、難しいコンディション。スタート時には大粒の雨が落ちてたんですけど、終了時には路面、ほぼドライでしたからね。
前田は予定通りに岡田義治とライダー交代し、岡田もセーフティリードを守ったまま優勝。結局、レースは上位5位までを国内CBRカップ勢が占め、ADC勢最上位はアザール・ヌール(シンガポール)/ブイ・デュイ・トン(ベトナム)組が6位入賞を決めました。
しかし、2012年に全国規模でスタートした草レース「CBRカップ」が、年末の「グランドチャンピオンシップ」で日本一決定戦をやって、こうしてアジア選手権でアジアNo.1決定戦をやる、ってきちんと階段が出来上がっているのが素晴らしいと思います。ADC初代チャンピオンとなった大久保光は今やワールドスーパースポーツのレギュラーだし、大久保に続いた第2代チャンピオンの尾野弘樹はMoto3走ってるしね。世界グランプリへの階段は、筑波でももてぎでも鈴鹿でも岡山でもやってるCBRドリームカップから、ってことですね!