5周目のレッドフラッグから大混乱が始まった

本当にもったいない、なんなんだこれは、っていうレースでした。
イタリアGPと中上貴晶。本人も「41戦ぶりにフロントローに戻ってこられました とても長かった……笑」ってつぶやいていたレースは、予選2番手、決勝日朝のウォームアップではトップタイムをたたき出して決勝レースを迎えていました。
実は中上とムジェロはすごく相性がよく、イタルトランス時代の2012年にはずっとトップグループを走り、2013年にはフロントローからホールショット、最後は転んじゃったけど、レース序盤を支配したコースでした。本人も「GPにきて初めてトップを走ったコース」と印象があったみたいだし、予選でも2番手タイムはもちろんアベレージがよく、コレはいけるんじゃないか――そう期待を抱かせての決勝だったんです。

画像: 5周目のレッドフラッグから大混乱が始まった

フロントローからのスタートは完璧。1コーナーの大混雑でもうまくラインを選び、勇気のいる大外のラインを選びながら、ゴチャゴチャを潜り抜けたらトップに浮上! その後#22ロウズ、#‎7バルダサリ、#‎12ルティらにかわされますが、落ち着いてます、イイ、これは冷静にペース読んでる、という滑り出しでした。
しかし、5周目にアクシデントが発生。転倒者が出て、コースサイドのエアフェンス式クラッシュパッドが壊れて、赤旗が提示されます。次に同じところに転んでいく可能性がありますからね、この赤旗の判断は素晴らしい、安全上のいい進行だ、と思ったんです。
けれど、ここからがイケない。レースは2ヒート制で行なわれる、再スタートは×時×分、12時45分にピットレーン開けます、と発表された後、混乱が始まったのです。

新ルール「クイックリスタート」?

再スタートに向けてオープンを待つピットレーン横に「60」の看板。#‎33トヌッティかな、ピットレーンオープン前から並んじゃったりして「おぉ、ヤル気あるなぁ」と思ってたら、違うんです。この「60」看板ってのは、このレースから適用されることになった新ルール「クイックリスタート」の看板で、サイティングラップ前、ピットレーンオープンになったら、60秒以内にピットアウトせよ、という意味のものだったんです。
国際映像を見ていると、なんだかわからないうちに、続々とライダーたちがレース2のグリッドにつきます。全車整列、さぁウォームアップラップに出て再スタート、タカ集中切らすなよぉ、って力が入っていたら、1台、また1台とグリッド退去を命じられてピットに引き返させられるライダーたち。ん? なんだなんだ? G+の解説、ノビー上田さんも困ってる。
#‎42フリージ、#‎24コルシ、#‎40リンスらが続々とピットレーンからのスタートを命じられて、そのライダーも「なんだよ、どーなってんだよ」ってゼスチャーが増えていきます。この時はまだ「なんだなんだ? でもタカは呼ばれてないから大丈夫か…」と思っていました。観客席にカメラが向くと、ファンもザワザワ。あれ、なになに? なにやってんの?って空気。そのうち、グリッドについているライダーもいったんピットに戻るように指示され、再び進行やりなおしとなっていきます。
実はこの時、レースディレクションは、ピットレーンオープン60秒に間に合わなかったライダーを調べていたんですね。ナンダカワカラナイ……って顔してピットに控えるライダーに、レースディレクションから発表があります。さっき、グリッドから呼び戻されたライダーの他に、#‎57ポンス、#‎19シメオン、#‎14ウィライローの名前が画面に流れ、その中になんとタカの名前も! 発表は「後方グリッドからのスタートとする」って……。

画像: 新ルール「クイックリスタート」?

このクイックリスタート、各チームに周知はされてるの?? 60秒でピットレーン閉めるとか、60秒のカウトダウン表示するとか、だいたい遠いピットのライダーはどーすんのよ……。この新ルール、おそらくメインイベントのMotoGPクラスの開始時刻を大きくズラさないためのルール(テレビの放映時刻が大事だからね)なんですが、各チームがきちんと知ってたら、もっとあわただしく準備するはず。ディレクションは「言ったよ〜 ペーパー出したでしょ〜」って言うんだろうけど、初めて適用されるときは、もっとガッチリ周知宣言しないとさぁ……。
 ともあれ、タカはこれで最後尾グリッドへ。この、後方グリッドがどこなのかの解釈もわからないし、さっきのレース1終了時の順位で再スタート、とされていたから、タカはロウズ、ルティと一緒に、またフロントローからの再スタートだったのに、なぜか最後尾。
うわぁぁぁぁ…「これのどこがジャンプスタートだよぉ」って不運を嘆いた開幕戦と同じ展開だ……。

最高峰からの追い上げで9位フィニッシュ!

21周だったはずのレースは、10周で行なわれます、との発表の後は、もうあんまり覚えていないです。それだけタカにとっては最大のチャンスだったし、こんな外的要因で最後尾スタートなんてかわいそうすぎる……。さぁぁやるぞぉぉ、って気合入れてフロントローにマシンを並べた30分後には最後尾グリッドにいるなんて、なんですかコレ、でも誰に文句言ったらいいの、レース始まっちゃうの、なんでオレ、最後尾にいるの……って精神状態で決勝レースが始まっちゃうんだものなぁ。
結局タカは、最後尾27番グリッドから周回ごとに前にいるマシンをパスしまくって、なんと9位までポジションを上げてフィニッシュ。ほぼ20台抜き、獲得ポイントは7……。レースはザルコ、バルダサリ、ロウズ、ルティ。この中にタカ、いるはずなのに!

画像1: 最高峰からの追い上げで9位フィニッシュ!
画像2: 最高峰からの追い上げで9位フィニッシュ!

それでもタカは、気丈にもこうコメントを出しています。
「イタリアGP決勝は、なんとも言えないグダグダな進行で、混乱するレースでした。なぜか最後尾スタートにされ、レースはたったの10周。なにくそで追い上げたけど、9位が精一杯でした。最後尾スタートで10周は正直キツかったです。悔しいレースでしたが、次戦リベンジするしかありません。今回も応援ありがとうございました! レース後のアイスクリームで少し元気が出ました」
きっと、会って話をすると「60秒以内で出なかったボクが悪いんです」「最後尾でも全員抜かなかったボクが悪いんです」ってタカは言うでしょう。それにしても応援している、見ている側としては、残念すぎて、気の毒すぎて、本当にもったいない、なんなんだこれは、っていうレースでした。
次戦カタルニアは、デビューイヤーで6位入賞を果たし、ベストリザルト5位を記録しているサーキット。タカ、走り、いいぞ! 予選も、アベレージもいいぞ! 負けんなよー! あとDORNA! しっかりせぇよ!

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