V・ロッシ選手がポールtoウィン!
ヘレスで開催されたスペインGPは、今シーズンのヨーロッパラウンド開幕戦でした。ヨーロッパに戻るとホンダが、つまりマルケスが強くなる、いやロレンソは去年ここから4連勝を決めて波に乗った、ってムードのなかの一戦。結果的に、このふたりよりチョイ落ち、だけど確実性とか、乱戦になった時(雨とか寒いとか、そーいうの)には抜群に強いロッシがポールtoウィンを飾りました!
ちょっと意外、それが正直な印象です。ここまでの3レース、勢いはマルケスにあったし、ロレンソはドゥカティ移籍を発表して、ぜったいにヤマハ最後の年にチャンピンを獲りたいだろうし、しかもヘレスはMotoGPクラス8年目で、1度しか表彰台を外していない得意なサーキット!
初日2回の走行では、ロレンソがトップタイム。2日目午前にはロッシにトップを譲ったものの、午後はトップ。結局予選もロッシにトップを譲ってしまいましたが、初日からトップに行くとそのまま……がロレンソのパターンでしたから、僕はここで、ははーん、今年もロレンソ行くのか、と思っていたんです。
しかし、決勝日朝に、ちょっとしたコンディションの変化があります。木曜からいい天気だったヘレスは、日曜朝に霧が出て、かなり路面温度も下がってしまったのです。路面温度は19度、奇しくもこれは、2日目の朝、つまりロッシがトップタイムをマークしたセッションと同じだったんですね。乱戦になると…ね。
ロッシとロレンソはタイヤの好みが違う??
朝のウォームアップでは気温が低く、路面温度も上がらなかったヘレスですが、決勝時刻にはきちんとスペインらしい陽気になって、路面温度は40度。やはりタイヤチョイスはフロントローのロッシ、ロレンソ、マルケスとも同じ、フロント:ハード、リア:ミディアム。そして、このハードタイヤも、ちょっとロッシ有利に働きます。というのも、そのライディングスタイルから、同じマシンでありながら、ロレンソとロッシは、タイヤの好みが少し違うんですね。
「ロレンソはどちらかというとベターッとマシンを寝かせて、特にフロントエッジグリップを使うタイプ、ロッシはその分ブレーキングが激しくて、硬いタイヤに強いんです」とは、YZR-M1プロジェクトリーダーの津谷さんに前に聞いたお話です。
しかも今回、ミシュランはハードタイヤに硬めのタイヤを持ち込んだのかもしれません。というのも、アメリカズGPでスコット・レディングのマシンにタイヤトラブルがあったこともあって、まだまだ安全性を完全に担保したいミシュランとしては、どうしても硬めのアロケーションとするだろうから、なのです。
結果、レースはロッシがスタートからトップを譲らずに快走し、そのまま後続に3秒近くの差をつけてフィニッシュ。一度、ロレンソがコーナー進入でロッシの前に出ましたが、立ち上がりのクロスラインでロッシが抜き返し、そのままポールtoウィンを飾ったことになります。
いやぁ強かった。レースは序盤とか中盤、終盤にいろいろ動きがあるわけですが、どのタイミングでもロッシのリードは脅かされず、今シーズン初優勝を飾りました。ロッシのヘレスでの優勝は、2009年以来7年ぶり。この間、ドゥカティ時代の不振の時期はありましたけど、ロレンソが、ストーナーが、そしてマルケスが台頭してきてから、久しぶりのヘレス優勝、ってこと。
この2シーズン、ヘレスで勝ったライダーがチャンピオンになっています。ここまでロレンソ1回、ロッシが1回、転倒ノーポイントレースをやってしまっていますが、このミスを取り返すとしたら……シーズン中盤には、新しい勢力図になっていそうですね。
■スペインGP決勝結果
①バレンティーノ・ロッシ
②ホルヘ・ロレンソ
③マルク・マルケス
④ダニ・ペドロサ
⑤アレイシ・エスパルガロ
⑥マーベリック・ビニャーレス
⑦アンドレア・イアンノーネ
⑧ポル・エスパルガロ
⑨ユージン・ラバティ
⑩ヘクトール・バルベラ
⑪カル・クラッチロー
⑫ブラッドリ・スミス
⑬ロリス・バズ
⑭ステファン・ブラドル
⑮ヨニー・エルナンデス