タンデムデート。(その2)
6日目は他の取材があって乗れなかった。考えてみりゃ一週間毎日乗るなんて、通勤や仕事で乗る人じゃなきゃありえない。この企画、大丈夫か? もともと担当の福助の「思い付き」で始まったからなあ……と心配しながら、タンデムデートの続き。逆タンデムのち峠道、のち豪雨!
タンデム適性をパッセンジャーとして体感
タンデム走行でもライダーの負担がまったく増えないことは分かったけど、パッセンジャーの快適さも体感してみたい。『え……。止まるとき、大丈夫かな……』とビビるメグミの後ろに乗ってみたら、僕が前寄りに座れば両足が着くことが判明。メグミと合わせて4本足で支えられりゃ、坂道でも砂利道でも大丈夫でしょ。
パッセンジャーシートの居住性はなるほど快適。座る位置の自由度が高くて窮屈さはない。トップケースに寄り掛かって居眠りできそうなほど。ただ、トップケースのヒンジ部分が背中に当たると痛い。脊椎パッド入りのジャケットを着ていれば問題ないが、そうじゃない場合はクッション材を貼りつけたほうがいい。
二人の体格差だとライダー(メグミ)の頭の上から前が見えるから次のアクションに備えられるし、解放感もある。120km/hを超えたあたりから徐々に乱流が強くなって二人ともヘルメットが揺すられるけど、軽く前傾すれば解消される。交通の流れに乗っている限りは不満なしだ。
いよいよ碓氷峠! と思ったら豪雨……
上信越道の碓氷軽井沢ICを降りていよいよ峠道。ソロなら攻めて楽しむところだけど、タンデムなのでパッセンジャーを怖がらせないよう、ソロの3割引きペースでスムーズにライディング。
どんどん標高が上がっていってもエンジンフィーリングは変わらず。こんなときに大排気量+インジェクション+低中速重視特性は強い。
ただ、渋滞路でも感じたが、油温が上がるとシフトタッチが少し渋くなる。もしかすると試乗車がオイル交換時期だったのかもしれないが、夏場は少し粘度の高いオイルを入れたほうがいいかも。
峠の途中で走り撮影を始めた途端、とうとう落ちてきやがった……雨。しかも雨粒がでかい。たちまち路面はビッチョリで、道路標示や橋の継ぎ目の鉄板部分は恐ろしいほど滑る。
こんな状況で威力を発揮するのが標準装備のABS。グリップを探りながら恐る恐る掛けなくてもいいし、フロントブレーキも初期の喰い付きが穏やかな特性だから、路面状況が刻々と変わる雨の公道では心強いことこの上ない。ABSは中型以上のロードスポーツに標準装備すべきだと改めて思った。
さて、雨足は強まる一方。レインウエアを着込んで、軽井沢の小洒落た店にまったくそぐわない姿に変身。「軽井沢のカフェでお茶」をあっさり断念し、タンデムデート終了。
と思ったら、『ここまで来たら雨の中もタンデムで行きましょうよ!』と小娘が妙にハイになっている。実は僕も大雨の中を走るのが嫌いじゃなくて、むしろ好き。よっしゃ! 走ったろうやんけ!!
フルカウルは雨にも強い!
夕立みたいな豪雨の中でツーリングスクリーンが有効なのは当然だけど、改めて気付いたのがフルカウルによるウインドプロテクション効果。メッシュシューズのまま3時間ほど走ったんだけど、ほとんど濡れなかった。これなら寒い時期でもつま先が冷え切らないはず。こうした細かなポイント
も、スポーツツアラーにとっては重要だ。
結局帰りはずっと雨。髪が濡れて絡まってモデルとは思えない姿になったメグミを自宅に送って帰宅。今日の走行距離は約450kmだったけど、さほど疲れは感じない。自分のVTR1000Fだったらグッタリのはず。バンディットで良かった……。(本日の走行 0km 太田安治)