安定感にスポーツ性をブレンドしたハンドリング
正直に言いましょう。4日目は走ってません。つーか、触ってもいません。だって朝からず~っと雨だったんだよ。しかもシールドやスクリー ンに細か~な水滴が付いて見えなくなるタイプのシトシト鬱陶しい降り方。ああ、もう何とでも言えばいいさ。修行じゃないんだから、楽しさ のカケラさえ感じられない状況でなんか乗るもんか!
と開き直ったところで、前日のソロツーリングで感じたハンドリングの話を。
“3日目”に書いたように、低中回転域で超フレキシブルなエンジン特性はゆったりツーリングに理想的。だけど、それだけで快適さや楽しさ が決まるわけじゃない。操縦性を抜きに、全体の評価なんかできません。
専用セッティングの前後サスがイイ感じ
結論から言うと、ハンドリングは予想以上に直進性重視。バンディット1250のルーツであるGSF1200はショートホイールベースが特徴で、簡単にフロントが浮いたりリアが流れる暴れ馬っぽい動きが特徴だったけど、バン ディットはドシッと落ち着いていて、とにかく横風や路面の段差といった外乱に強い。ホイールベースが長めいうことに加えて、専用セッティングのフロントフォークと、リンク式モノショックのリアサスがいい仕事をしているのだ。
峠道でのフットワークにも不満なし
前後サスペンションのセッティングが国内モデルとしては硬めで、1G(ライダーの体重が乗った状態)でのフワフワ感がない。市街地のように速度域が低いところではライバルの大型ネイキッドよりゴツゴツするけど、不快というほどじゃない。むしろ路面状況が把握しやすくて、無駄な挙動変化も抑えされているところが気に入った。
このジャンルのオートバイは、市街地での乗り心地より、高速クルージングや峠道ででビタッと安定して走ることが大事だもんね。
でも、『安定性と引き換えに、峠道では鈍重でつまらないんじゃねーの?』という疑問もわく。僕も高速道路を走っていたときはそう思った。だけど一般道に降りてワインディング区間を走っても、これといった不満は感じない。
フィーリング的にはリアから旋回を始め、半テンポ遅れてフロントが追随してくるタイプ。フロントからグイグイ旋回するわけじゃないのでダイレクト感には欠けるけど、荷重配分とかトラクションとかを意識しないで済むから精神的に疲れない。
でもクルーザーに似たハンドリングを想像するのは全くの見当違い。フルバンク中はオン・ザ・レール感覚の安定感があるし、バンク角も充分深い。寝かしたり起こしたりという操作にはそれなりの手ごたえがあるものの、その気になればけっこう過ぎるペースで走れちゃう。
この懐の深さもヨーロッパで大人気を博している理由の一つなんだろうな。ベーシックな大型ロードスポーツとしての素性がいいということです。
ただし、サイドケースを装着すると重量的にも空力的にもリア回りが重くなって、120km/hあたりからハンドリングが粘っこくなる。妙な振られたりすることはないけど、サイドケースを付けたら脳内モードもクルージング用に切り替えることが重要だね。(本日の走行 0km 太田安治)