目標走行距離1250km以上!(梅雨なのに……)

 クッキリ日差しに爽やかな風という絶好バイク日和のある日、編集部で「こんな日はブラッとツーリング行きたいね~」と上機嫌で雑談していたら、机の向こう側から福助がユラ~リと立ち上がり、
嘘くさい笑顔で揉み手しながら近付いてきた。
『そうおっしゃるのをお待ちしておりました。まさにツーリングにうってつけのニューモデル、バンディット1250Fをご用意いたします。1000km以上お好きなだけ走ってらしてください。あとはパチパチッと写真撮って、チャチャッと感想を書いていただくだけでよろしいわけでして。はい。』と、執事のようにシレッとぬかす。
なんだよ、結局は奴が担当してる“1週間インプレ”の仕事じゃねーか。
 バンディットでのツーリングには心惹かれるけど、1週間で1000km以上はちょい厳しい。「梅雨時期だし、原稿仕事もあるし……」と躊躇していると、腹黒執事めは一歩ズイッと近寄り、『潤沢な取材費もお預けいたしますよ』と耳元でささやく。
  ……ならいーか。仕事とはいえ、好き勝手に走れるからプライベート感覚だし。目標走行距離は排気量の“1250”キロ以上。雨、降らなきゃいいなあ。

画像: 目標走行距離1250km以上!(梅雨なのに……)

市街地だって超快適!!

 スズキワールド新宿でテスト車をピックアップ。オプションのトップケースとサイドケース、ツーリングスクリーン装着済みで、見るからに高速クルージング向き。
 でもヘソ曲がりの僕は、あえて夕方渋滞の一般道を使ってさいたま市の自宅へ。まずは市街地での扱い勝手をチェックしないとね。

画像: インプレ開始時のオドメーターは2116km。さて、何km走れるのか……。

インプレ開始時のオドメーターは2116km。さて、何km走れるのか……。

 この水冷4気筒エンジン、アクセルの開け始めと戻した瞬間の反応が実に穏やか。大雑把な操作でもギクシャクせず、発進停止が多くて流れの速さも一定しない都市も楽に走れる。
 排気量の余裕で低回転域トルクも太く、アイドリング回転のまま発進できるし、ポンポンとシフトアップして3速に入れておけばオートマチック感覚。市街地で流れに乗って走るなら、4000回転以下で事足りる。ほぼアイドリング回転の6速・40km/hからでも何とか加速するほど粘り強い低回転特性だ。これはすごく楽。
 ただ、渋滞している車の横を抜けるときにはサイドケースの張り出しに気を使う。サイドケースの幅はハンドル幅と同等なので、バイクが直立状態なら抜けられるわけだけど、実際の間隔はバックミラーでも見えないから慎重にならざるを得ない。ましてバンクさせて車列を縫うなんて無謀。渋滞には素直にはまっていたほうが精神的に疲れない。
 達観して後続バイクに道を譲りながら走ったら、帰宅所要時間はいつもの2割増し。僕がオーナーなら、ケースの両端が見えるバックミラーを付けるだろうな。

画像: 意気揚々とスズキワールド新宿をスタート。この直後から渋滞にはまり、サイドケースの張り出しに苦労させられた。

意気揚々とスズキワールド新宿をスタート。この直後から渋滞にはまり、サイドケースの張り出しに苦労させられた。

 帰宅後、いつも使っている大型ネイキッド対応サイズのボディカバーを被せようとしたら、ケース類を全部外さないと無理だった。ケース装着状態に対応したカバーは少ないので、これはぜひディーラーかメーカー側で用意してもらいたいところ。
 ということで、初日は引き取ってきただけ。晩酌しながら取扱説明書に目を通し、メーターの機能やシート高の調整機構を「へぇ~」とか言いながら確認。新車を買ったオーナー気分に浸れました。(本日の走行 約40km・太田安治)

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