12年落ちでも元気いっぱいのVツインスポーツ
オートバイのテスト&インプレッション歴32年の「オータ」こと太田安治です。WEB担当の福助が『あっ、スタッフの愛車紹介なんてブログ向きかも……』と無責任に思い付きやがったので、WEBネタとしての様子見も兼ねて、僕が普段の足にしているVTR1000Fを紹介することに。
登録が平成9年11月なので今年13歳だけど、走行距離は2万5000kmと少なめ。実はこのVTR、昨年秋に編集部のフト松がCBR1000RRに買い換える際に手放したもの。フト松が異常なまでに大事にしていたので程度がいいことは判っていたし、アチコチ手が入っていて僕好みの仕上がりだったから、
それまで乗っていた輸出仕様のノーマルVTR1000F(走行距離不明のガタガタ中古だけど購入価格は破格の5万円)を処分して入れ替えた。CBRの頭金工面に焦っていたフト松の足元を見まくって交渉したので、お支払いもリーゾナブル。どうせ『わらしべ長者』だよ!
用途はさいたま市の自宅から新橋の編集部まで首都高速メインの通勤と、年に4~5回の1泊ツーリング。もちろんカスタマイズは、こうした使用条件に合わせたもの。その内容は……
通勤・ツーリング用にカスタム化!
●エンジン:ノーマル(カムシャフト以外はフルパワー化済み)
●マフラー:レオビンチ チタンスリップオンサイレンサー
●前後ホイール:ゲイルスピード
●リアサスペンション:オーリンズ
●Fブレーキキャリパー:CBR954RR用純正
●ヘッドライト:ソーラム HID
●スクリーン:MRA スモーク・レーシング
●タイヤ:ブリヂストン BT021
●ナビ:ホンダ ギャザズM(キジマ・テックマウントで装着)
といったあたり。
ほかにもETCとグリップヒーターと電波時計が付いてたり、フロントウインカーが埋め込みタイプになってたり、シート表皮がノンスリップタイプになってたり、前後フェンダーとアンダーカウルがカーボン製だったりと、なかなかツウ好みのカスタム。
高速走行ではMRAのスクリーンが効果絶大で、秋から春先まではグリップヒーターが思いのほか役に立つ。ま、ほとんどは前所有者のフト松が頑張った(手間も費用も)んだけどね。
VTRのシート下スペースは小さいんだけど、自分でセレクトした車載工具とレインウエア、メッシュジャケット用の防風インナー、ツーリングネット、アンテナ別体式ETC、インターホンの充電器を収めてある。
使用エンジンオイルはベリティのFS-HR(10W-40)。パフォーマンスに不満はないけど、そろそろ交換時期なので次はホンダのウルトラG4かモチュールを試すつもり。
ベースは国内仕様で、フルスケールメーターやリミッターカットと合わせてフルパワー化済み。カーボン製のメーターパネルカバーは非売品。オートバイ誌の「ギアーズテスト」で電装品をテストするときや、ツーリングでタナックスのGPSレー探を装着するときは、スピードメーター横に付いているニューイングのDCステーション(12v2連防水ソケット)が役立つ。
ツーリングはもちろん、初めの取材先に行くときにも欠かせないナビ。ギャザズMはブルートゥースを2チャンネル搭載しているので、セルラーラインのインターホン(ブルートゥースヘッドセット)と、携帯電話(現在はドコモP906i)に接続。ワイヤレスで音声ガイドが聞け、走行中に電話の発着信も可能。高速利用が多く、すぐには停車できない僕には必需品。ホンダ純正マウントにはVTR1000F用がないので、キジマのテックマウント(ステム装着用)を使用。取り付けアームの可動範囲が大きいので、見やすい位置にセットできるのもいい。ナビの地図データが古くなってきたので、最新版地図を買うか、新型のギャザズM・G3に替えるかが目下の悩み。
この写真だけで車種が判れば相当なマニア。ホイールもキャリパーもフェンダーもウインカーもノーマルじゃないし。リアのオーリンズとバランスを取るため、つい先日、フロントフォークのオイル粘度と油面を変更し、乗るたびにイニシャルとダンピングをいじってセットアップ中。街乗り用にイニシャルもダンピングも弱めにセットしてあるので乗り心地抜群。中年オヤジ向けセッティングというわけ。ガチガチだと手首も腰も痛くなるからね。青と緑を混ぜたような微妙な色合いのボディカラーは、ヨーロッパ向けに1年間だけ存在した純正色なんだそうだ。←前所有者のフト松情報
首都高通勤でも充実感のあるスポーツ性
フルパワー化してあるとはいえ、110馬力程度。でも200馬力近い最新SS
モデルから乗り換えてもパワー不足は感じない。低回転域で「ドガガッ!」
中回転域で「ドゴゴン!」とトルクの立ち上がりを実感させてくれるエンジン
特性のおかげだろうなあ。個人的には並列4気筒の特性が好きなんだけど、
大排気量Vツインは味が濃いので、首都高を走るだけでも充実感あり。
ハンドリングが軽くてヒラヒラとラインを自在に変えられるのもVTRの魅力。
ピボットレスフレームやサイドラジエターも独創的だし、これといって古さは感
じないから、満足して乗っていられるんだと思う。
不満点は航続距離の短さ。平均燃費は約15km/Lで、初期型はタンク容量が16L(01年型から18L)しかないので満タンで240kmが限界。300kmぐらい走れれば安心なんだけど。純粋なスポーツバイクだからしょうがないかな。前に乗っていたノーマルのVTRはブレーキの効きやサスの動きに不満があったけど、このVTRはカスタマイズでネガ部分を解消してあるから、どこをどう走ってもイラッとすることはない。
でも、あと何年乗るんだろうなあ。2台のVTR1000Fで合計4年以上年乗ったから、そろそろ替えてもいいんだけど。新型VFR1200FかZ1000かトライアンフ・デイトナ675かBMW S1000RRに乗り替えたいなあ……と、アルミパーツに白い粉を吹いたVTRを磨きながら夢想する今日この頃です。