オートバイを題材に取り上げた小説というのは、
たくさんあるようで、現在書店で買えるものは案外少な
いんですが。そんな中、今回紹介するのは最近発売さ
れた超変化球「レーシング・ガールズ」。
この作品はライトノベルです。
ライトノベルってのは、萌え系キャラのイラストが表紙や
挿絵に使われることが多い、中学生〜20代前半あたり
をターゲットにした手軽に読めるエンタメ系小説のことで
すが、この作品はその中でもかな〜りユニーク、という
か極北にあります。題名から考えれば、このイラストの
女の子がレースするんだろ?
と思っちゃいますね。確かにその通りですよ。
しかし舞台になるのは、世界GPでも全日本ロードレース
でも、ましてやモトクロスでもトライアルでもない。
何と公営ギャンブルの「オートレース」なんですよコレが。
グラビアアイドルだった主人公・篠原菜月(表紙の子)が、
事務所の社長に騙され売り飛ばされ、オートレース業界
を盛り上げるための「オートレース萌え化プロジェクト」の
女子選手となるべく、選手養成所に放り込まれる、という
所からスタート。
非常に荒唐無稽な設定と展開なんだけど、
それを納得させてしまうのがオートレースの競走車や
オートレース場の雰囲気といったディテール描写の細かさ。
オートレースを知らなくても違和感なく作品世界を把握で
きます。作者のオートレース愛が伝わってきますな。
ライバルである、ロードレース経験のある飛鷹涼葉、
超マニアックなオートレース好きの菊地絵梨佳との切磋
琢磨と友情、プロジェクトを潰そうとする選手会会長の登
場など、ストーリーやキャラクター設定は典型的なスポ根
系。シンプルで分かりやすく、スイスイ読めるのもラノベら
しいです。実はこの作品内では、主人公たちの選手として
のデビューまで描かれてないんで、ベテラン選手や観客
からプロの洗礼を受ける続編に期待したいなぁ。
あの表紙を堂々とレジに出せる人ならお勧めです!
私は全然平気でした。
徳間書店
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