まとめ:沼尾宏明
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高齢者の技能検査は現在クルマのみ、バイクは対象外
普通免許(四輪)を更新する75歳以上で、一定の違反歴があるドライバーに「運転技能検査」(実車試験)が義務付けられている。これが2027年中に厳しくなる方針だ。
この「運転技能検査」は、免許更新までの3年間に信号無視や速度超過など、重大事故を起こす危険性がある違反をした75歳以上が対象。2022年5月の改正道路交通法で導入され、自動車教習所などのコースを実車で走る。
今後は、検査項目に「方向転換」や「安全確認」を追加。アクセルとブレーキペダルの踏み間違いのほか、見通しの悪い交差点などでしっかり首を振って左右確認しているか検査する。また、従来は一時停止での減点が20点だったが、これを40点に引き上げる予定だ(詳細は後述)。
バイクではどうなっているのかと思い、調べてみると、高齢者向けの運転技能検査は普通免許(四輪)のみ対象。二輪免許(原付、二輪、小型特殊等)しかない場合は対象外だ。
なお、バイクの技能検査は行われていない。二輪および四輪免許を所有する75歳以上の人が、二輪で一定の違反歴があった場合もやはり運転技能検査を受けるが、現状はクルマで検査を行うことになる。
また、70歳以降の免許更新から全国の指定自動車教習所等で「高齢者講習」の受講が義務付けられているが、四輪免許では座学&運転検査(60分)と実車指導(60分)の受講が必要。これに対し、二輪免許のみの場合は実車指導がない。つまり、高齢者向けバイクの実車指導自体が存在しないのだ。
ライダーの観点からすれば、実車指導を受けずに済むのは時間的にも金銭的にもありがたい。その一方で、客観的に安全対策の観点から見ると、バイク専用の運転能力をチェックされないまま免許が更新されることに課題は残る。

警視庁HPより。75歳以上の四輪免許更新時はクルマでの実車指導があるが、二輪免許のみの場合はなし。
二輪の実車指導がないのは「四輪による死亡事故がほとんど」なのが理由
免許関連を管轄する警察庁に、高齢者の運転技能検査について質問してみた。まず二輪に技能検査がない理由を訊いてみると、次の回答があった。
「高齢運転者による死亡事故についてみると、普通自動車等の四輪の自動車によるものがほとんどを占めていることから、高齢者講習の実車指導の対象は、普通自動車を運転することができる免許(大型免許、中型免許等)を受けた者としています」(警察庁広報室)
四輪に比べ、二輪の死亡事故が少ないことが、二輪に実車指導がない理由という。さっそく死亡事故について調べてみると、2025年における75歳以上の自動車乗車中死者数は306人(70歳以上だと414人)。
一方、75歳以上の自動二輪車乗車中死者数は13人(70歳以上29人)。一般原付乗車中は39人(70歳以上51人)で、計52人(70歳以上80人)となる。確かにバイクでの死者数は自動車の約6分の1ではあるものの、見過ごせない数字だ。
検討会で二輪の議論はされている? 今後の導入予定は?
続いて、今後の動向について質問してみた。高齢者の運転技能検査に関して、警察庁は「運転技能検査の見直しに関する有識者検討会」を行い、その結果を踏まえて検査を厳しくする方針を固めた。この検討会で二輪車に関する議論はされているのだろうか?
「運転技能検査の見直しに関する有識者検討会は、学識経験者等を構成員として令和8年7月から8月にかけて3回開催し、運転技能検査の内容の充実に係る方向性等について幅広い観点から議論を行いました。
有識者検討会においては、運転技能検査の内容や実施方法のほか、今後の検討課題の意見がありましたが、二輪車(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び一般原動機付自転車をいう。以下同じ)に関する意見はありませんでした」(警察庁広報室)
今後、二輪車への運転技能検査は検討されているのだろうか。
「先述のとおり、高齢運転者による事故は、普通自動車等の四輪の自動車によるものがほとんどを占めているため、現時点において、二輪車による運転技能検査は検討しておりませんが、引き続き、二輪車による交通事故等の実態を注視してまいります」(警察庁広報室)
現時点では検討会で議論に挙がっておらず、技能検査の検討もしていない。しかし今後、事故の実態によっては導入の可能性があることに含みを持たせている。
運転のハードルが高いだけにバイクも技能検査が必要? 皆さんの意見は?
今のところ、高齢者への二輪免許に関して技能検査は検討されていないことがわかった。
二輪免許のみの保有者数は、筆者が調べた限り統計がなかったが、少数派と思われ、四輪免許も同時に取得している人が大多数。判断や認知機能に問題があれば、四輪免許の技能検査でスクリーニングできると思われる。
また、行政の立場では、二輪の実車指導を導入するにしても、会場や試験車両、試験員の確保など、様々なハードルがあるだろう。
とはいえバイクは、クルマに求められる判断や認知機能に加え、身体のバランス感覚や独自の操作も求められる。そのため、クルマより加齢による運転のハードルはやはり高い。そして、原付&二輪乗車中の死者数は決して少なくない。
筆者の感覚では、体力に限界を感じ、クルマより自主的にバイクを降りてしまう高齢者が多いように思う。個人的にはできるかぎり乗り続けたいと考えてはいるが、年齢の壁は誰しも無関係ではない。超高齢化社会を迎えるにあたって、二輪免許にも技能検査導入の是非を考える時が来ているのかもしれない。ライダーの皆さんはどう考える?

ライダーは体力の衰えから自主的に乗るのを諦める人も多い。自己判断か、行政に判断を任せるか。導入の是非が問われるところだ。
【解説】高齢者の四輪技能検査が厳格化、今までは合格しても事故率3倍だった!
普通免許(四輪)を更新する75歳以上で、一定の違反歴があるドライバーに実施されるのが「運転技能検査」(実車試験)だ。
現在は右左折など5項目の検査で100点満点から減点する方式。普通一種免許の場合、70点以上で合格となり、2025年の更新で高齢者講習を受けた75歳以上の運転者約278万人のうち約15万人が検査対象となった。
しかし調査によると、なんと検査合格者の事故が同じ世代の2.8倍も発生。現在の検査が十分機能していないことが判明したのだ。
そこで、新たに二つの検査を追加。「方向転換」は車庫入れを想定し、ハンドルを切りながらバックして停止した後、逆方向にハンドルを切って発進する。アクセルとブレーキペダルの踏み間違いが原因で重大事故が発生していることを考慮した。
さらに「安全確認」も追加。見通しの悪い交差点や一時停止の際、しっかり首を振って左右確認しているか検査する。また、従来は一時停止で車体が飛び出した場合の減点が20点だったが、これを40点に引き上げる。

75歳未満と75歳以上の高齢運転者による 死亡事故を比べると、75歳以上は操作不適による事故が多く、中でもブレーキとアクセルの踏み間違いが多い。※警察庁資料より(以下同)

アクセルとブレーキの踏み間違いによる死亡事故の多くが、75歳以上の高齢運転者によるものとなっている。

現状の運転技能検査は5項目。受検者1人あたりの走行時間は概ね10分以上、検査全体で概ね20分という。
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