免許証を返したあとの移動を、誰かの都合に預けたくない。だがシニアカーは歩く速さで、二輪の特定小型原付は止まるたびに足を着く。Sun Emperor LBIRDなら、そんな不満とは無縁。停止中も足を下ろさずに済む四輪の特定小型原付で、重さは原付スクーターの半分ほどの38.6kg。価格は29万7000円だ。

文: 石川順一
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免許を返しても、出かける足は自分で選びたい

運転に不安を覚える前にと、自分から免許証を返す人は少なくない。警察庁の令和7年版の運転免許統計では、2025年の1年間に本人の申請で免許を取り消した件数が43万5067件にのぼる。

バイクとともに年を重ねてきた人にとって、それはクルマとバイクの両方から同時に降りる日でもある。翌朝からは、スーパーへ行くのも病院へ行くのも、家族の車が空いている日を聞いてからになる。

代わりの足を探してみても、すんなりとは決まらない。歩行者として扱われるシニアカーは、出せる速度が時速6kmまで。二輪の特定小型原付は時速20kmまで出せるが、信号のたびに足を出して車体を支える動作はバイクと変わらず、荷物を積んだ日ほど気を使う。

求めているのは、免許証なしで乗れ、止まったときに支えなくてよく、それでも乗り物らしい身軽さを失っていない一台だろう。その答えのひとつとなるのが、Sun Emperorの「LBIRD」。16歳以上なら免許不要の、車輪を4つ持つ特定小型原付だ。

画像: 前2輪・後2輪のSun Emperor「LBIRD」。車体の中央をまたいで座る

前2輪・後2輪のSun Emperor「LBIRD」。車体の中央をまたいで座る

止まっても足を着かない、38.6kgの四輪

LBIRDは停止しても車体はそのまま自立するので、赤信号で足を下ろさなくていい。店先でも、降りて手を離せばスタンドをかける手間もない。両手で買い物袋を扱えるから荷物も載せやすい。

それに四輪と聞くと重い車体を想像するかもしれないが、軽量なアルミ合金のフレームを使っているため、LBIRDの車両重量はわずか38.6kgに収まっている。原付一種のスクーターの半分ほどで、同じ四輪タイプの特定小型原付が41kgから100kgに散らばるなかでも軽い側に入る。降りて取り回したり、玄関先の置き場に移動させる際も苦にならない重さだ。

画像: シート高は64cm、ステップ高は18cm。ハンドルの高さは84cmから90cm

シート高は64cm、ステップ高は18cm。ハンドルの高さは84cmから90cm

乗車姿勢はバイクに近い。地面から64cmのシートに、車体の中央をまたいで腰を下ろし、足は左右にある高さ18cmのステップへ置く。足元が平らなスクーターとは違って、乗り降りのたびに脚を上げてシートを越えることになるが、シート高は原付スクーターよりも低く、またぐあいだも車体は傾かない。長くバイクに親しんだ人には体が覚えている動きだ。

走り出してからの足まわりとブレーキもしっかりしている。タイヤは14インチで、路肩の段差を越えるときも安定しやすい。先の信号が赤に変わってアクセルをゆるめると、その途端にモーターが発電機の役へまわり、車体の勢いを電力に変えながら減速を始める。特定小型原付ではあまり見ない回生ブレーキで、制動力と電費の向上につながっている。そこからブレーキを握れば、操作に合わせて前後の効きを電子制御で振り分ける前後連動式が働く。とっさに握っても、前と後ろのかけ具合を考えなくて済むため安全だ。

遠くまで走る日が多いなら、オプションとして設定されているバックレストの導入も検討しよう。背中を預けて座れるようになるので、長距離の移動がさらに快適になる。

画像: オプションのバックレスト。シートの後ろに取り付ける

オプションのバックレスト。シートの後ろに取り付ける

5km先のスーパーまで、ひとりで行って帰れる

ふだんの買い物に出る日を、家を出るところからたどってみよう。

まず気になるのはバッテリーの残量だが、満充電なら最大50km走れる。スーパーまで片道5km、往復10kmの道のりなら、毎日通っても5日はもつ計算だ。残量が減ってきたら、バッテリーだけを車体から外して部屋で充電すればいい。かかるのは約7時間なので、寝る前にコンセントへつないでおけば、翌朝にはまた出かけられる。

道路に出れば、時速20kmまで出せる。5kmの道のりだって、15分ほどで着く。時速6kmのシニアカーでは50分かかる距離だから、買い物のために半日を空けておく必要はない。

基本は車道の左端か自転車道を走ることになるが、交通量の多い区間ではクルマの往来に不安を感じることだろう。そんなときは、いったん止まって時速6kmの歩道モードを選ぶことで歩道も走れるようになる。対象は「普通自転車等及び歩行者等専用」の標識が立つ歩道のみとなるので、そこは注意しておこう。

途中に坂が待っていても、LBIRDは心強い。左右の後輪に250Wのモーターを1つずつ備えており、上れる坂は最大で勾配約33%。大きな商業施設の立体駐車場でも、スロープの傾きは法令上17%が上限ということを鑑みると、LBIRDはその2倍という力強さだ。

スーパーに着いてから助かるのがバック機能だ。店の駐輪場へ頭から入れても、出るときはシートに座ったままバックすればよく、車体を引っ張り回す手間がない。

画像: オプションのフロントカゴトレーには、買い物かごがそのまま載る

オプションのフロントカゴトレーには、買い物かごがそのまま載る

買い物を済ませて戻ったら、荷物はシートの前に備わるセンターバッグへ入れることができる。内寸は幅が約20cm、奥行きが37cm、高さが約30cmあり、買い物袋を十分に入れておける大きさだ。とはいえ、いつもより多めに買っておきたい日もあるだろう。そこで前輪の上に取り付けるオプションのフロントカゴトレーも用意されている。

店の買い物かごと同じ大きさのマイカゴを置けるので、レジを通したあと袋に詰め替えず、かごごと載せて帰れる。トレーの上限は5kgなので、飲み物のような重い物はセンターバッグに回し、かごには軽い物を入れるようにしたい。

このセンターバッグは、買い物のない日には犬の席にもなる。内側にはリードを留めるストラップが付いていて、約10kgまでの小型犬なら、ひざのあいだのバッグから顔を出した格好で、動物病院まで一緒に走ることだってできる。

車両は29万7000円、年の維持費は1万円に届かない

これだけ使えて、価格は税込29万7000円と原付スクーターとほぼ同等だ。ほかに送料が1万1000円かかるが、2026年11月8日までのキャンペーン中に買えば無料になる上に、先ほどのフロントカゴトレーも付いてきてオトクだ。

車体が届いたら、乗り出す前に済ませることは2つ。役所でナンバーの交付を受けることと、自賠責保険への加入だ。その先にかかるお金も知れている。毎年の軽自動車税は、標準税率で2,000円。自賠責の保険料は12か月で6,650円、保険の始まる日が2026年11月1日以降の契約からは7,430円に上がるが、どちらで入っても、税と合わせた年の固定費は1万円に届かない。

電気代にいたっては、気にするほどの額にならない。バッテリーの容量は0.624kWh、電力料金の目安単価は1kWhで31円だから、満充電1回ぶんは19円ほど。往復10kmの買い物なら、1回あたり4円ほどで済む計算になる。

買い方は2通りある。公式ECショップか楽天市場店で注文するか、全国の正規販売店で買うかだ。通販なら、9割がた組み立てを終えた車体が自宅に届き、残るハンドルとフェンダー、ミラーの取り付けは自分の手で行う。工具を握ってきたライダーには、乗り出す前のひと仕事として楽しめる範囲だろう。正規販売店とメンテナンス店を合わせた拠点は400店を超えるので、乗り始めてからの点検や修理を任せる先も探しやすい。

買う前に試しておきたい曲がり方

ひとつ注意しておきたいのが旋回時の感覚だ。四輪は二輪ほど小回りが利かず、右左折には少し慣れが要る。試乗の機会があれば、直線を走るだけで終わらせず、交差点を思い浮かべた旋回とUターン、それに乗り降りまで試しておきたい。

メーカーの支店は愛知県小牧市にあり、予約すれば試乗できる。近くの正規販売店を訪ねるなら、試乗車を置いているかを電話で聞いてからにしよう。親に勧めるつもりの人は、先に自分で乗って曲がり方を確かめておけば、自信を持って話ができる。

免許証を手放した翌朝でも、思い立ったら自分でスーパーへ向かえる。信号で止まっても、足はステップに載せたまま。LBIRDがあれば、バイク乗りの身軽さを残したまま、そんな毎日を続けていける。

Sun Emperor LBIRD 主要諸元

・車両区分:特定小型原動機付自転車(16歳以上は運転免許不要、ナンバー取得・自賠責保険加入が必要、ヘルメットは着用の努力義務)
・乗車定員:1名
・全長×全幅×全高:1,400mm×590mm×960mm
・車両重量:38.6kg
・シート高:64cm
・ステップ高:18cm
・最高速度:20km/h(走行モードは6km/h・約12km/h・20km/hの3つ)
・定格出力:500W(250W×2、後輪駆動)
・登坂性能:最大勾配約33%
・航続距離:最大50km
・バッテリー:リチウムイオン48V・13Ah、脱着式
・充電時間:約7時間(家庭用100V)
・ブレーキ:前後ディスク(前輪油圧式、後輪機械式)、電子制御CBS、回生ブレーキ
・タイヤ:14インチ
・サスペンション:後2輪
・最大積載量:120kg(搭乗者を含む)
・主な装備:バック機能、センターバッグ、スマートキー、セキュリティ機能、左右ミラー、デジタルメーター
・車体色:ピュアブラック、ピュアホワイト
・価格:29万7000円(税込、送料別)
・送料:全国一律1万1000円(税込)
・オプション:バックレスト(税込8,250円)、フロントカゴトレー、リアアンダーラック、予備バッテリー、予備充電器
・保証:1年(走行3,000kmまで)

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