ホンダとUber Eats Japanが配達パートナー向け「二輪車安全運転診断アプリ」の実証実験を全国で開始しました。一体どんなアプリなのか、体験取材会に参加して、実際の使用感を確かめつつ。実験の背景について紹介していきます。

まとめ:石神 邦比古
▶▶▶写真はこちら|ホンダ「二輪車安全運転診断アプリ」実証実験

ホンダが開発したウーバーイーツ配達パートナー向けアプリを実体験

画像1: ホンダが開発したウーバーイーツ配達パートナー向けアプリを実体験

今回、ホンダが開発した「二輪車安全運転診断アプリ」のメディア向け体験取材会が交通教育センターレインボー埼玉で行われ、現地で実際に試してきました。

実際にアプリを起動してコース内をバイクで走らせてみると、コーナーやブレーキのたびにインカムから「95ポイント」など、その時の運転を評価した点数が聞こえてきます。

画像2: ホンダが開発したウーバーイーツ配達パートナー向けアプリを実体験

特に使用したバイクに後付けでセンサーを取り付けたり、特殊な装置を身に着けたりといったことはしていません。

試しにあえて荒い運転をしてみたところ、「24ポイント」という辛辣な点数を頂き、センサーがしっかりと運転を監視していることが確認できました。※

画像: 終了時に自分の運転スコアを確認できました。

終了時に自分の運転スコアを確認できました。

本田技研工業(以下、ホンダ)とUber Eats Japan合同会社(以下、Uber Eats)は、このアプリを用いて、二輪車を利用する配達パートナーの交通事故低減に向けた実証実験を国内で開始しました。

実験には全国1500名の配達パートナーが参加し、安全運転スコアが高かった参加者を対象にUber Eats Japanから追加の報酬といったインセンティブが付与されるようです。

※音声フィードバックは今回の体験時のデモアプリのみ実装。

実証実験の背景と狙い

画像: ホンダが配達パートナー向けに開発した「安全啓発コンテンツ(危険予測トレーニング)」。

ホンダが配達パートナー向けに開発した「安全啓発コンテンツ(危険予測トレーニング)」。

ホンダは「2050年に全世界で交通事故死者ゼロ」という長期目標を掲げており、世界中にネットワークを持つパートナーとの連携を模索していました。

一方、国内に約12万人の配達パートナーを抱えるUber Eatsにとっても、二輪車配達の割合が50%を超える中、安全対策の強化は最優先課題。

両社はすでに2025年から連携をスタートしており、Uber Eatsのドライバー向け専用アプリを通じて、ホンダのノウハウを活かしたシミュレーション型の「安全啓発コンテンツ(危険予測トレーニング)」を配信するなど、安全意識の向上に向けた取り組みを進めてきました。

両社の考えが一致したことで、ホンダの高度な安全知見とUberのプラットフォームを掛け合わせた今回の実証実験が実現しました。

また、世界的に二輪車のデリバリーが拡大する中、交通量が多く複雑な日本の都市環境を実証実験の場に選ぶことで、アプリが正しく動作するかを見極める狙いもあるといいます。

スマホ単体で高精度の運転診断を実現

画像: スマホ単体で高精度の運転診断を実現

このアプリは、スマホのセンサーを利用して曲がる際や停止する際の挙動を監視し、運転の丁寧さを点数で可視化するといったものです。

最大の特徴は、車両側のセンサーなどの専用機器の後付けが不要で、どんな配達パートナーでも自分のスマホ単体で機能する点です。

二輪車は姿勢変化や振動が激しく、スマホのセンサーだけで正確な挙動を把握するのは困難とされてきました。

しかしホンダは、長年蓄積した実走データと、教習所のプロインストラクターが持つ「良い運転・悪い運転の暗黙知」を数値化。ノイズの影響を受けずに「加速・減速・コーナリング」を高精度に判定する独自のアルゴリズムを構築し、この課題をクリアしました。

幅広いライダーが手軽に利用できるよう、スマートフォンの機種(安価なモデルから高価なモデルまで)によるセンサー精度のばらつきやノイズの影響が出ないよう、綿密にチューニングされているのもホンダの技術ならではの強みです。

なお、現時点ではこのアプリを一般ユーザー向けに展開する具体的な計画はなく、まずは今回の配達パートナー向けの実証実験を通じて、安全意識の向上や運転改善への効果をしっかりと検証していくとのことです。

インセンティブで「行動変容」を促す

画像: インセンティブで「行動変容」を促す

実証実験は9月1日から28日までの4週間。応募者の中から選出された約1500名の配達パートナーを対象に実施されます。

走行中の運転行動をアプリがバックグラウンドでスコアリングし、安全運転スコアが高かった参加者には、Uber Eatsから追加報酬などのインセンティブが付与される仕組みです。

ホンダの開発担当者は、「自身の運転に対する納得できる評価と、前向きなインセンティブ(動機付け)を組み合わせることで、ドライバー自らが安全な運転を選択する『行動変容』に繋がるかを見極めたい」としています。

複雑な交通環境を持つ日本で実効性が確認できれば、将来的には一般ユーザーへの展開や他のモビリティへの対応、グローバル展開も視野に入れられています。

テクノロジーと動機付けの融合が、交通安全にどのような変革をもたらすのか、実証実験の成果に期待が高まります。

おすすめ関連記事

This article is a sponsored article by
''.