生成AIがさかんに取り沙汰されるようになった昨今、日課のネットサーフィンをしていた筆者は、写真から3Dデータを生成できる最新の生成AIサービスを発見! 早速3Dプリンターをを駆使して、実際にバイクのミニチュアづくりに挑戦してみたぞ!
まとめ:八橋秀行

精巧な3Dデータが写真だけで作れるってマジ!?

ChatGPT、Gemini、Grok等々、生成AIサービスはここ数年で急激に普及し、私たちの仕事や生活を効率化する一助となっている。それらは「プロンプト」と呼ばれる指示情報を入力することで、そこから文章や画像、果ては動画の生成までこなし、日々目覚ましい勢いで進化を遂げている。

かくいう筆者も日頃の業務や趣味において、さまざまなシーンで生成AIを活用しており、最新の生成AI情報にはアンテナを張っている。そんな中、ふとチェックしたSNSでこんな投稿を目にした。

画像: ▲「数枚の写真から精巧な3Dデータが生成できた!」というもの。ちなみにこれも、生成画像だ。※イメージ画像であり、本投稿は実在しません。

▲「数枚の写真から精巧な3Dデータが生成できた!」というもの。ちなみにこれも、生成画像だ。※イメージ画像であり、本投稿は実在しません。

「3Dデータ」というと、BlenderやFusion360など、専用モデリングソフトを使ってゼロから何時間もかけて作っているイメージがあり、技術や知識も必要なのでそう易々と素人が手をつけられるジャンルではないと思っていた。それがなんと静止画の写真から簡単に生成できるというのだ。

投稿されたSNSを掘り進めていくと、以下のサイトに辿り着いた。

画像: Hitem3D www.hitem3d.ai

Hitem3D

www.hitem3d.ai

「Hitem3D」はMath Magicという香港の会社が運営する最新の生成AIサービスで、1枚または複数枚の画像から、高精細な3Dモデルを自動生成できるのが特徴だ。

初回登録時は3Dデータを生成するのに必要な「クレジット」と呼ばれるポイントが貰えるので、このクレジットを消費して、最低1回は無料で3Dデータをつくることができる。※詳細は本サイトをご覧いただきたい。

画像: ▲サイト内にアップされていた像。ブロンズの質感が緻密に再現されている。なお、これら3Dデータのダウンロードは無料だ。※データの使用は個人利用にとどめること。

▲サイト内にアップされていた像。ブロンズの質感が緻密に再現されている。なお、これら3Dデータのダウンロードは無料だ。※データの使用は個人利用にとどめること。

このサービスは、生成モデルの圧倒的な解像度と精細さが売り。サイト内に並んだデータを見ると、動物の毛並みや質感まで、まるで本物のような精巧さで作られている。

このサイトを見て閃いた。

「これ、バイクの3Dデータも作れるのでは……??」

ということで実際にバイクの写真を集めて、3Dデータを生成してみた。

写真からバイクの3Dデータ生成にトライ

今回はテストとして、今年発売されて話題を集めたホンダ「CB1000F SE」を出力してみた。

生成に当たっては1枚の写真でも可能なのだが、より精密な3Dデータを生成するのは前後左右の写真が必要。それも、背景の写り込みが少ない写真を選ぶのが良いだろう。※写真の使用は個人利用にとどめること!!

画像1: 写真からバイクの3Dデータ生成にトライ

ということで実際に生成された3Dデータがこちら。

ヘッドライトカウルについている謎のパーツやタンク横側についた四角形など、ところどころ「ん?」となるような箇所はあるが、ラジエータのメッシュ構造や、タンクからリアにかけての流れるようなデザインは一目でCB1000F SEだとわかるような出来栄えとなっている。

ちなみに生成スタートから完成までの時間は約10分程度。これだけの精密なデータをたった10分でできるというのだから驚きだ。

楽しくなってきたので色々生成してみた。

画像1: KAWASAKI CORLEO

KAWASAKI CORLEO

二輪バイクはそこそこの精度で出力できることがわかったので、今度は次世代モビリティの生成にチャレンジ。選んだのは先日の大阪万博でも展示されたカワサキの新型モビリティ「CORLEO(コルレオ)」

生成されたデータを見ると、コルレオの特徴的な円形を中心としたデザインや足の蹄のような形状。跨った際に足を置くステップなど、かなり忠実に再現されていた。では対照的に四角形を基調としたモデルはどうだろうか?


画像2: 写真からバイクの3Dデータ生成にトライ

そこで頭によぎったのが、webオートバイでも密かに人気を集めている連載コンテンツ【世界でがんばる!! 日本メーカーの珍車大図鑑】で取り上げられていた“カクカクズーマー”こと、ホンダ「スクエア X 125」だ。

これまでの流線型を多用したモデルとは異なり、まさに“カクカク”したデザイン。では生成してみよう。

ややリアタイヤがペシャっとしているものの、特徴的な“カクカク”の再現度はばっちり。「おっ、いいじゃん!」と思ったのたが……よく見て欲しい。本来右側だけに装備されているはずのマフラーとサイドテーブル(キャリア脇の箱がそれにあたる)が両側についているではないか!

これは、生成に必要な車体の両側から見た画像を添付しなかったため、AIがマフラーとサイドテーブルが両側についているものだと判断し、本来はあるはずのないマフラーとテーブルをデータ上で再現してしまったのだ。

やはり精巧な3Dデータを生成するためには、前後左右の4面図が必要であるということが、このスクエアX 125“モドキ”のおかげで裏付けられた。

生成した3Dデータ×3Dプリンターでミニチュアを制作

最新の生成AIを使って精巧な3Dデータができた!……では終わらない。

今回は実際に3Dプリンターを使って、3Dデータを現実まで落とし込んでみようと思う。今回使用した3Dプリンター(筆者の私物)の詳細は本リンクを参照して欲しい。

画像: ▶▶▶Amazonはこちら|価格をチェック  Bambu Lab A1 mini 3D プリンター amzn.to

▶▶▶Amazonはこちら|価格をチェック
Bambu Lab A1 mini 3D プリンター

amzn.to
画像: 生成した3Dデータ×3Dプリンターでミニチュアを制作

細かい設定などの説明は省略するが、生成した3Dデータを3Dプリンターに流し込む前に「スライス」という3Dデータを1層ごとに分割する作業を行う。

とは言っても難しいことは何もなく、専用ソフト(無料)に読み込ませて「スライス」ボタンを押すだけだ。

画像: ▲印刷物が黒いのはブラックカラーの樹脂材料を使っているため。黒々としてやや気持ち悪い……。

▲印刷物が黒いのはブラックカラーの樹脂材料を使っているため。黒々としてやや気持ち悪い……。

印刷時間は2時間半程度、バイクを包む黒い枝状のものは「サポート」と呼ばれるもの。

3Dプリンターでは、樹脂材料を下から順に積み重ねて造形していくため、ハンドルやリアフェンダーのようにボディから左右へ張り出した部分は、直下に支えがない状態になってしまう。

そこで必要となるのが「サポート」だ。造形中、下から骨組みのような支えを同時に印刷することで、宙に浮いた部分も正確な形状で成形できる。しかし、印刷後はそれらのサポートを剥がしていく作業が必要となる。

ということで出力されたのがこちら。

サポート剥がし後のバリ(印刷時にできる不要な突起やささくれのこと)でやや荒い面があり、バリを剥がしていく過程でブレーキディスクが脱落してしまったり、実車よりもタイヤが細くなってしまったりと、問題点は多々あるが全体としてはかなりハイクオリティな仕上がりだ。

各部を見ればところどころ本物とは異なるものの、まだプラモデルやミニチュア等で立体化がされていない超最新モデルのミニチュアが、難しい知識や技術要らずで手に入れられるのは大きな魅力。

せっかくなのでコルレオとスクエア X 125も出力してみた。

どちらもなかなか実物をお目にかかれないモデルで、「欲しいけど今は手に入れられないもの」や「試作機止まりでもう見ることができないもの」が立体化できるのは面白い。

画像1: 愛車を手のひらサイズに! 生成AIと3Dプリンターでバイクのミニチュアを作ってみた
画像2: 愛車を手のひらサイズに! 生成AIと3Dプリンターでバイクのミニチュアを作ってみた
画像3: 愛車を手のひらサイズに! 生成AIと3Dプリンターでバイクのミニチュアを作ってみた
画像4: 愛車を手のひらサイズに! 生成AIと3Dプリンターでバイクのミニチュアを作ってみた

最後に筆者の愛車である、BMW G310 GSを大きめに印刷、ざっくり簡単に塗装してみた。

まだアラはあるが、特徴的なクチバシやブロックパターンのタイヤ、エンジンガードが再現されており、満足の仕上がりとなった。なお、ミラーはサポート剥がしで折れてしまったので金属線で代用してみた。デスクに置いて眺めているとなんだかいつもより仕事が捗る気がする(?)

ここまで3Dプリンターを使った例をお見せしたが、いくら低価格で使いやすくなったとはいえ、自宅に3Dプリンターがない人がほとんどだろう。

しかし昨今は、3Dプリントを外注してくれるサービスが増えてきているので、もしこの記事を読んで「興味あるけど3Dプリンターがないよ!」なんて人がいたら下記のリンクを参照してみてほしい。

なお、3Dデータ生成のための写真はあくまで私的利用の範囲で使用すること。バイクのデザインは意匠権(デザイン権)の保護対象であるため、使用の際は注意しておこう。

写真・テキスト:八橋秀行

This article is a sponsored article by
''.