写真、文:松本正雅
▶▶▶写真はこちら|ホンダ「WN7」白バイ仕様
ホンダ「WN7」白バイ仕様 発表セレモニーの概要
クリーンなEV白バイが来年1月の箱根駅伝に登場!

東京都は、2035年までに都内で新車販売される二輪車を100%非ガソリン化する目標を掲げている。こうした取り組みとEVバイクの普及促進をさらにアピールすべく、今回国産のEV白バイの導入が企画された。セレモニーには小池百合子都知事と、ゲストで俳優のつるの剛士さんが登壇。報道陣の前ででアンヴェールが行われ、注目のEV白バイが姿を現した。

小池百合子 東京都知事

俳優・つるの剛士さん

アンヴェール後、早速EV白バイにまたがり、パトライトを点灯させると、バイク好きで知られるつるのさんは「カッコいいなぁ」と大興奮。その後小池都知事とのトークセッションで「来年の駅伝で使われるということで…」と、アナウンス前にフライング発言をしてしまい、小池都知事が「スピード違反ですよ」と注意。これにつるのさんが「僕は4期連続ゴールド免許ですから」と返すなど、和やかな雰囲気のトークとなった。

HONDA
WN7(白バイ仕様)
このEV白バイは先にEICMA(ミラノショー)で発表されたホンダのEVファンバイク「WN7」がベース。スペアマシンも含めて4台が製作され、2026年1月2日にスタートする、第102回箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)で先導を務める予定。登場するのは東京都内の区間である、往路の1区と復路の10区。新世代のEV白バイの雄姿は、お正月のTV中継でたっぷり見ることができそうだ。
ホンダ「WN7」白バイ仕様 各部詳細チェック






今回登場した白バイ仕様のホンダ「WN7」は、バンパーやパニアケースを装着していない仕様で、取り締まり等の乗務には使用されないイベント用。車重はノーマル(海外仕様)の217kgから18kg増の235kgとなるが、白バイとしては圧倒的に軽く、サイズもコンパクトでスリム。ちなみに定格出力が18kWのため、日本国内では軽二輪登録となるが、まだ型式認定前ということもあって、ナンバーの軽二輪を表す数字は特別に「0」となっている。


前後のパトライトは先に登場したNT1100Pに搭載されているものと同タイプ。リアのパトライトステーやテールカウル、シングルシートカバーなどは新作された専用品。テールカウル上のボックスは警視庁のものだ。




メーターバイザー上には「POLICE」の文字が入り、左フロントフォーク脇には誘導棒を収納するためのケースが備わっている。バッテリーユニットの横には「警視庁」の文字が入る。ステアリングヘッド下のスペースには、バッテリー冷却用と思われる水冷式のクーラーユニットも顔をのぞかせている。

WN7は変速機構を持たないEVだが、左ステップ部にはシフトペダルのようなものが設置されている。これは白バイ隊員からの要望で「走行中に足のホールドを安定させたい」とのリクエストがあり、ペダルをステーとして使用、固定することで「簡易フットレスト」としているのだ。




ハンドルバーはノーマルのWN7と同様で、ミラーもそのままバーエンドミラーを使用。バーエンドミラーは白バイとしては初の装備となる。5インチカラーTFTメーターはノーマルと同様で、左スイッチボックス横にはサイレンとマイク、無線のスイッチボタンが追加され、右スイッチボックスには前後のパトライトスイッチが備わっている。これらのスイッチ類はNT1100Pなどに採用されているものと同タイプだ。

ベースとなったWN7も市販が予定されているだけに、白バイ仕様の登場は嬉しいサプライズ。2026年のお正月は、箱根駅伝の先導で活躍するWN7の雄姿に注目だ。
WN7白バイ仕様・開発者VOICE

田中幹二氏 本田技研工業株式会社 チーフエンジニア(WN7開発責任者)
「WN7の白バイ仕様の開発は、小池都知事からお声がけいただいたことがきっかけでした。600ccクラスのパワーを持つEVのFUNバイクであるWN7をベースにしていまして、車重は235kgで、白バイとしてはとてもコンパクトで軽量に仕上がっています」
「警視庁さんには、ノーマル車ではありますが、すでにWN7の実車確認をしていただいておりまして『静かでスムーズ』『とても軽い』と好評でした。車両自体は予備も含めて4台制作しています。WN7自体が日本国内では型式認定前であることもあり、ホンダがこれらを所有し、警視庁さんに貸与する形をとっています」
「今回は試験的な導入で、WN7が今後白バイとして制式採用されるかどうかは未定ですが、今後の反響次第ではそうした展開の可能性もあると思います。皆さんに実際の走行をご覧いただくのは箱根駅伝からとなりますが、ぜひ楽しみにしていてください」



