EICMA2025(ミラノショー)のMVアグスタブースでひっそり公開された1基のエンジンコンセプト。「チンクェ・チリンドリ(5気筒)」というネーミングだけが発表され、詳細は不明なものの、実はこのエンジン、とんでもないハイメカニズムの意欲作なのだ! ということで、実機を見ながらあれこれ推測していこう!
写真:松下尚司/まとめ:松本正雅
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MVアグスタ「CINQUE CILINDRI engine concept」の概要

画像: MV AGUSTA CINQUE CILINDRI engine concept エンジンコンセプト

MV AGUSTA
CINQUE CILINDRI engine concept
エンジンコンセプト

驚異のコンパクトさを実現するハイメカ5気筒!

その名が示す通り、この「チンクェ・チリンドリ」は5気筒。前からは3本、後からは2本のエキパイが伸びており、ヘッド上面には1気筒あたり2本、総勢10本のエアファンネルが顔をのぞかせている。見てくれからしてすでにただものではないオーラが漂っているが、このエンジン、実は非常に衝撃的なレイアウトを採用しているのだ!

画像1: MVアグスタ「CINQUE CILINDRI engine concept」の概要

通常、5気筒といえば、多くの人が思い浮かべるのはV型だろう。しかし、このエンジンを見て欲しい。シリンダーの前バンク、後バンクは離れておらず、むしろくっついて一体型のようになっているのがお分かりいただけるだろうか?

これは前バンクと後ろバンクの挟み角が小さい「狭角V型」ユニットにも見えるし、前後にシリンダーを配置した「タンデム型」ユニットにも見える。いずれにせよ、実質シリンダーの大きさは一体型に近いものとなる。シリンダー配置も、前バンクの3気筒のシリンダーの後ろに2気筒がくっついたレイアウトで、上から見るとピストンが隣接しているような構造となっているのだ。

画像2: MVアグスタ「CINQUE CILINDRI engine concept」の概要

一風変わったエンジン形式だが、このレイアウトには大きなメリットがあり、一番はそのコンパクトさ。前から見ればエンジン幅はわずか3気筒分しかなく、前後長も普通のV型エンジンより明らかに短い。5気筒でありながら、実質並列3気筒エンジンを少し大きくしただけのサイズに収まっているのである。

スポーツバイクにとって、エンジンはコンパクトで前後に短く、横幅も狭いのが理想的。それだけ車体の幅もスリムにできるし、いわゆるマスの集中という点でも有利。通常なら大きく重たいエンジンがギュッとコンパクトになり、車体の重心近くに配置できれば運動性能も向上し、ライダーはバイクを倒しやすくなるし、衝撃などの外乱も収束しやすくなり、優れたハンドリングを実現できるのだ。

画像3: MVアグスタ「CINQUE CILINDRI engine concept」の概要

現時点では「エンジンコンセプト」とだけアナウンスされており、詳細は公表されていないが、おそらく排気量はリッタークラスに近い800~1000ccぐらいと思われる。これだけのハイメカニズムユニットなので、おのずと搭載されるモデルも限られることは想像に難くなく、欧州のメディアの間ではフラッグシップの「F4」の次期モデル、すなわち「F5」に搭載されるだろう、とまことしやかに囁かれている。

一体このエンジンの実力はいかなるものなのか、どんなバイクに搭載されてデビューを飾るのか。「答」は来年のEICMAで披露されるかもしれない。今後の展開を期待しながら待ちたい。

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画像: www.autoby.jp
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