街と峠と高速と。トリプルフェイスに魅せられて

最初に好きになったもちろん彼のルックスでした。ちょっと危険な香りがするムチムチボディ。カッコいいんだもん。
でも乗ってみると違うんです。GSX-S1000はただの筋トレ野郎ではありませんでした。
【④ 高速道路編】からの続きです
タフなボディとそのパワーは、れっきとしたスポーツマン。イメージとしては『ボクサー』なのです。それでいてデートのときはやさしく手を引いてくれる……そんなGSX-S1000のこと、好きにならないわけがないじゃないですかッ!

以前にもお伝えしたかとは思いますが、GSX-S1000は街乗りでは初心者にやさしく手を差し伸べているかのごとく穏やかで、とても扱いやすい印象です。
これまで大型バイクは「通勤がしんどそうだから」という理由で「街乗りは中型バイクが一番!」と思っていたわたしは、その低中速でのストレスのなさに驚きました。
峠道では高いコントロール性能と鋭いスロットルレスポンスで、本来のアグレッシブな性能を見せつけてくれました。不用意にアクセルを開けたら怖いぞっていうことも、はじめてGSX-S1000に教えてもらいました。

そして、このバイクとなら上手くなっていけるかもしれない……! なんて感じてしまうのがクセになるポイント。
大型バイク初心者を突き放さない『素直なハンドリングと滑らかな加速』は、なんだかこう……イケそうでイケない絶妙な駆け引きをされている気分でますます虜になってしまいます。
高速道路では「ザ・リッター・スポーツ」たる加速感と車体のガッチリ感を体感できました。高い速度域でも車体がブレない感じ。それでもまだまだゆとりがある感じ。頼もしいかぎりです。

実燃費と各部装備をお届けします
ちょっと燃費の話に触れるタイミングがなくて忘れかけていたのですが実燃費についてご紹介します。1度目の給油ポイントまでで197.5km走行、12.37L給油して満タンになったので燃費は15.96km/L。
いまいち比較する対象がわたしの中にはないので、言えることはひとつ。4気筒エンジンの大型バイクってこんなモンなんでしょうかね(笑)というくらいです。

愛車は400ccですから交通量の多い都内でも大体22km/Lくらい走りますし、おまけにレギュラーガソリンですから、まあお財布にも優しめ。
けれどもこの子ったら……もう、仕方ないんだから。
高速道路での渋滞が響いた可能性が高いので、快走路をずーっと走る分にはもう少しマシな値が出そうな予感です。

今回は街・ワインディング・高速道路問わず、基本的に走行モードは『A多め』で走っていたので、そういったことも関係しているのかもしれません。
とはいえWMTCモード値が16.2km/Lであることを考えると、ほぼほぼスペック値通りではありました。
快適フィールを生み出すのは『装備のおかげ』もあるのかも?

ここまで色々書いてきましたが、ちょっとエンジンのパフォーマンスからは離れて、GSX-S1000ならではの装備について触れたいと思います。
とくに気に入ったのがアップダウンのギアチェンジに対応した双方向クイックシフター。1、2、3……と低いギアからパンパン上げていったとき、変に嚙み合わせてしまった時のような「引っ掛かり感」みたいなものがなく、とってもスムーズだったのです。
もちろんシフトダウン方向も然り。回転数と変速のタイミングをしっかりあわせて変速できたときのような滑らかなフィーリングでした。

もうひとつ、クラッチについて。
現行モデルへのモデルチェンジ前のGSX-S1000に乗ったことがある方だと「クラッチ軽いねえ!」と思わず叫んでしまうくらい、現行型のクラッチは軽いらしいです。大型バイク初心者のわたしとしては、まあ普通くらい。
正直Uターンなんかは1速では回り切れそうになかったので半クラッチを多用していたわけですが、たくさんにぎにぎしていると、さすがに疲れを感じてしまいます(女子なので)。

そんなことを踏まえて考えると、このクイックシフターってスポーティな走りをするときはもちろんですが、それ以外の時……それこそ街中で頻繁な変速が必要な場面などでも、すごく役立つ装備だなと思いました。
(わたしの場合)半クラッチを多用するときは多少頑張る必要がありましたが、そうでない時はクラッチを握らずに変速していたので、ものすごくラクができました。長距離のツーリングにおける左手の疲労が大幅に軽減されそうです。
大型バイク初心者の方にも一度乗ってみてほしいです!
ここまで、読んでくださりありがとうございました。
ちなみに乗る前までは……
GSX-S1000はかっこいいけれど多分街乗りは向いていない→やっぱり愛車の400ccは手放せない→増車はしんどいから今回の試乗で満足しよう! というストーリーが頭の中で出来上がっておりました。
しかしこのバイク、乗れば乗るほど「この1台で良いのではなかろうか……」と思わせられ、決して売ることはないと心に誓った愛車の買い取り相場を(一応)調べる始末。ああなるほど、こんな感じね(売らないけどね)。

けれどもGSX-S1000の価格は150万円強。通帳の残高を見てがっくり肩を落とすわたしを西日が淡く照らします。仕方ないか……憧れは憧れのままでいいんだ……
後ろを振り返ると、そこには物憂げな表情を浮かべるGSX-S1000が。夕陽に照らされたタンクの、それはそれは綺麗なこと。でもわたしには愛車がいるのよ。彼と過ごしたこの数日間を思い起こして、最後にひと言。
(下に続きます)
ごめん、やっぱり好きだわ、あなたのこと。
しんみり想いを馳せているエモーショナルなわたしを遠目に、不敵な笑みを浮かべているのは『スズキのバイク!』編集部の面々。
だれか……だれか、あたしを止めてっ!









