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普通二輪免許復権の予感

さて、いよいよ2024年です。まだまだ寒い日が続きますが、今シーズンの大きな注目点は「普通二輪」、中でも400ccモデルが来るんじゃないかと思っています。

400ccまでのオートバイに乗れる普通二輪免許といえば、日本固有の免許制度枠だと言われますが、ひところは「乗りたいバイクに乗れない元凶」なんて言われていた時期もありました。

日本の免許制度でバイクの免許が成立したのは1950年頃。昭和でいうと25年、戦後まだ5年ほどしか経っていない頃ですね。初めて「原付免許」って枠が出来たのが1953年、この頃は申請するだけで2サイクルは60cc/4サイクルは90ccのオートバイでも乗れたのです。

ホンダの第一号車「ホンダA型」が発表されたのは1947年。アサヒやみづほ、トーハツに昌和や陸王なんてメーカーがたくさんあり、それこそ日本人の生活手段のひとつとして爆発的にオートバイ人気が高まっていく頃ですね。

画像: 復活が予定されているメグロのスモールバイクたち。 写真は1954年式メグロ・ジュニアS2<250cc>

復活が予定されているメグロのスモールバイクたち。
写真は1954年式メグロ・ジュニアS2<250cc>

この頃から、バイクの免許は「自動二輪とそれ以外」という感じの区分けで、小さいバイクと無制限、という感じになりました。昭和40年にはバイクの免許が自動二輪と原付の2種類に大きく分けられます。それからヘルメット着用義務ができたり、高速道路でのふたり乗りが禁止になったり、自動二輪「小型」限定が成立したり。

そして400cc以下にしか乗れない自動二輪「中型」限定免許が成立したのが1975年の、たしか10月1日。あくまでも免許の種類としては「自動二輪免許」しかないんだけれど、条件に「小型/中型」があるということです。条件欄に「眼鏡等」と明記されている人が裸眼で運転しちゃいけないのと同じです。

画像: 1974年型CB400FOUR 排気量は408ccで、翌年に改正された免許制度で成立した「中型限定」では乗れなくなってしまった。

1974年型CB400FOUR
排気量は408ccで、翌年に改正された免許制度で成立した「中型限定」では乗れなくなってしまった。

画像: 法改正後に398ccとなって発売され直したCB400FOURとローハンドルのFOURⅠ(左)。セミアップハンドルのFOURⅡが発売された。

法改正後に398ccとなって発売され直したCB400FOURとローハンドルのFOURⅠ(左)。セミアップハンドルのFOURⅡが発売された。

この10月1日を境に、401cc以上のバイクには乗れないライダーが誕生したんです。この日の前後に16歳になっているかどうかは、当時の高校生最大の興味だったみたい。そりゃそうです、同じバイク免許なのに、10月1日以前に誕生日がくる高校2年生はZ2に乗れて、それ以降に誕生日が来る高2はZ400までしか乗れなかったんだから。ヨンフォアことホンダCB400Fourが一度408ccで発売されたけど、398ccにして再発売しなきゃいけなかったの、この免許制度改正のせいですからね。

画像: 日本初の400ccに認定!(笑) 72年式 スズキ ハスラー400は、71年の世界GPモトクロス500ccクラスのチャンピオンマシンRN71/TM400の公道バージョン。2ストローク単気筒400cc、オフロードスタイルだったからか、マニア向けの名車とも言えるが、当時は「ナナハン(=ホンダCB750Four)に勝てる」と言われた初代ナナハンキラーでもあった!

日本初の400ccに認定!(笑) 72年式 スズキ ハスラー400は、71年の世界GPモトクロス500ccクラスのチャンピオンマシンRN71/TM400の公道バージョン。2ストローク単気筒400cc、オフロードスタイルだったからか、マニア向けの名車とも言えるが、当時は「ナナハン(=ホンダCB750Four)に勝てる」と言われた初代ナナハンキラーでもあった!

この頃、本当に400ccは花形でした。なのにライダーといえば若い層、それも10代の高校生なんかもターゲットだったのに、免許制度改正のせいで、ナナハンには限られた人しか乗っちゃいけないことになった、じゃぁ400ccをたくさん売ろう、ってことになったわけです。

それが398ccのCB400Four、76年発売のスズキGS400、RD400、Z400、ホーク2といったモデルたち。CB400Fourが生産中止になって、4気筒モデルがなくなっちゃった、って悲しんでいたらZ400FXが発売されたのもこの頃、79年4月のことです。

では、国産モデルではじめての400ccモデルは? と調べてみると、発売されたての月刊オートバイ2024年2月号別冊付録「日本二輪車大全」によると、1972年式スズキ ハスラーTS400でした! 近いところでは、1953年式のメグロ・レックスY、富士ハリケーンRB11、陸王グローリーAが350ccですね。ホンダは初の350ccが55年のドリームSBです。

その後80年代にはCBX400Fをはじめ、どんどん400ccのスポーツバイクが発売されて、レーサーレプリカブームがやってきて、その後のネイキッドブームも400ccが主役だったけど、1996年の法改正で、はじめて「大型免許」が誕生。それまでは自動二輪免許の枠内に小型限定と中型限定があったのが、自動二輪大型/普通自動二輪に分かれて、大型免許も教習所で取れるようになりました。

そうすると大型免許を取りやすくなって、大型バイクに乗れる――となると中型モデルは人気が徐々に衰退。車検がなく、維持費が安い250ccはまだしも、大型免許と同じように車検も必要で維持費もかかる400ccの人気は次第に落ちて行った、というわけです。

画像: ハスラー400より先に「400cc」に迫った国産モデルといえば55年式ホンダ ドリームSB(350cc)。 ※写真は兄弟車・250ccのドリームSA

ハスラー400より先に「400cc」に迫った国産モデルといえば55年式ホンダ ドリームSB(350cc)。
※写真は兄弟車・250ccのドリームSA

それからというもの、オートバイ史でいうと、2000年頃から20年間は、400cc不毛の時代が続いてしまいます。もちろん、CB400SuperFourやSR400なんてモデルがずっと人気モデルだったり、ホンダが戦略的に500ccモデル群のCB500F/CB500X/CBR500Rを400cc化して国内発売してくれたり、カワサキがNinja/Z250を400cc化してくれたり、という局面もありましたが、今ひとつメインとなることはありませんでした。

その後、復活ののろしがあがるのが、2023年。CB400SuperFourが生産終了しちゃった、と悲しんでいたら、カワサキがNinja ZX-25Rを400cc化した、400cc唯一の4気筒モデルを発売しました。これ、CB400FourがなくなったあとにZ400FXが発売されたのと同じケースですね。
そして、2025年には、400ccに「もうひと波」がやってきそうです。そのきっかけは、ホンダでもヤマハでもなく、なんとトライアンフとハーレー・ダビッドソンという外国車メーカー!

<この項つづく>

写真/モーターマガジンアーカイブ 文責/中村浩史

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