文:梅本まどか/写真:中村浩史/取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン
世界一のホンダ二輪車テクニシャンが愛車を整備してくれる!?
ホンダグローバルモーターサイクルテクニシャンコンテストは、世界中のホンダのサービススタッフ(=テクニシャン)がコンテスト形式で整備の知識と技術を競い、世界チャンピオンを決めるもので、今回は記念すべき第一回大会です。
この世界大会には、世界13カ国から23人のテクニシャンが参加。日本からは、私、梅本が今年3月に取材させていただいた「ホンダドリーム スタッフ技能コンテスト」を勝ち抜いたドリーム名古屋東の土居 偉さん、ドリーム高槻の阪田充宏さんのおふたりが出場しました。
コンテストは「コミューター」部門と「ファン」部門に分かれて行なわれます。コミューター部門はスーパーカブ110、ファン部門はCB650Rを題材に、オートバイの車体全体を題材とする「実車競技」と、パーツ単体の締め付けや交換作業を行なう「単品競技」に分かれています。
実車競技は、車両のトラブルを診断し修理するもの。これはCBR650R/スーパーカブとも、参加者が同じトラブルに対処するもので、制限時間があり、隣で審査員が目を光らせ、各国参加者の応援部隊、さらに私たち取材しているメディアの視線にプレッシャーを受けながら進めるわけです。
これがもう、スゴい緊張感の中で行なわれるもので、制限時間を表すタイミングモニターがどんどん数字を減らす中、あれでもない、これでもない、ここかな、いやこっちかな、って心の中が読めちゃうような時間帯でした。私も思わず「がんばって!」って心の中で叫んじゃいました。
単品競技の方は、机にセットされたボードに、複数のアルミパネルを正確な場所に正確なボルトを使って、正確なトルクで締め付ける、って競技が興味深かったです。パネルを配置する場所が違うとサイズが合わないし、ボルト径やボルト長も正しいものを選んで、そのボルトに合った締め付けトルクで正しく締めるんです。これ、制限時間さえなかったら楽しそうなのになぁ。
このように、1日目の知識競技とあわせて2日間の競技結果により、下の表彰式の写真のように入賞者が決まりました。優勝したインドネシアのマスムディンさん、台湾のチュンイさんは自国に帰って「初代グローバルテクニシャンコンテスト優勝者」という立場で仕事を続けて行かれるわけですね。お客さんも、コンテスト優勝者に修理や整備をしてもらえば安心だし、今回のコンテストに参加しなかったエリアのテクニシャンは、次の大会に出場し優勝するぞ! って目標ができると思うんです。
それがホンダ二輪テクニシャンたちの技術アップにつながり、ホンダ製品のユーザーさんたちも喜ぶ、っていうのが今大会の目的なんですね。
次回大会は、オリンピックみたいに「4年後」です。次回はホンダドリームで働く日本代表のテクニシャンさんが優勝することを、お祈りしています!
世界130カ国8万9000人の頂点は!
ファン部門
CB650Rを題材に行なわれたファン部門、優勝者は台湾代表・Wu Chun-Yi(ウ・チュンイ)さん。2位にオランダ代表・Jos Pols(ヨス・ポロス)さん、3位に日本代表・ホンダドリーム高槻の阪田充宏さん。
優勝(左から2人目の台湾代表、ウ・チュンイさん)
2位 オランダ代表、ヨス・ポロスさん
3位 ホンダドリーム高槻、阪田充宏さん
コミューター部門
スーパーカブ110を題材としたコミューター部門、優勝はインドネシア代表・Masngudin(マスムディン)さん。2位に中国代表・Xing Deqing(シン・トゥチェイン)さん、3位はベトナム代表・Nguyen To Bo(ニュエン・トゥボゥ)さん。
優勝(写真右のインドネシア代表、マスムディンさん)
2位 中国代表、シン・トゥチェインさん
3位 ベトナム代表、ニュエン・トゥボゥさん
「整備競技」の内容は?
単品競技
車両を対象とせず、締め付け/交換/測定/電気回路作成/分解組み立てを行なうのが単品競技。交換はIN/EXバルブステムシールを、測定はマイクロメーターを使ってのシリンダーボアを、分解組み立てはチェーンかしめやドラムブレーキの分解整備をしていました。
実車競技
CBとスーパーカブを題材に、故障診断と修理、さらに点検と必要があれば修理を実践。修理するだけではなく、点検をしたうえで修理箇所を特定しているか、車両や工具を正しく、丁寧に使用しているか、手順は整備マニュアルどおりか、もチェックされます。
「このコンテストを励みにホンダマンとしてのスキルを上げてほしい!」
「これまでも各国単位でも技能コンテスト的なものを行なっていましたが、今回はじめて、それを世界大会として開催出来ました。Hondaは世界中で約8万9000人のテクニシャンがいますが、このコンテストを日本で開催することによって、この大会を目指そうというテクニシャンのモチベーション向上や、もっと作業環境をよくしようとする活動に繋がればいいなと考えています。次回開催は4年後。今回、エリア予選を行なわなかった国や地域も参加してもらって、世界一のテクニシャンを目指してほしいです」。
文:梅本まどか/写真:中村浩史/取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン