名車列伝part01
1983年スズキRG250Γ編は
たくさんの方にご覧いただいたようで、ありがとうございます。
そこで、少なからずの人たちが「感想」をお寄せ下さったんですが
Γ編の本文中に出てきた「あるモデル」に、やはり皆さん興味があるようです。
それがホンダNSR250R。
2ストローク250ccモデルが続きますが、Part02はNSR250R編といたしましょう。

「レーサーレプリカブーム」絶頂から終焉へ

90年に新型NSR250R=MC21が発売された頃は、実は市販モデルとしてのレーサーレプリカブームは、いよいよ陰りを見せ始めていた。ひとつモデルが発売されると、それに負けじとニューモデルが発売され、さらにより速く、より軽く、よりハンドリングがいい、レースでの戦闘力を少しでも高めたニューモデルが発売される、という繰り返し。
その争いが激しくなったのは、85年11月にヤマハがTZR250=1KTを発売したあとで、86年10月にNSR250Rが登場した、このあたりだろう。
時系列にライバル登場を書き出してみると、マイナーチェンジを含めて、こんなにある。太字はフルモデルチェンジと言える内容のモデルだ。

85年11月 TZR250=1KT

86年10月 NSR250=MC16

88年1月 KR-1=KR250B
88年1月 NSR250R=MC18
88年3月 RGV250Γ=VJ21A
88年7月 TZR250=2XT1

89年2月  RGV250Γ/RGV250Γ SP=VJ21A
89年2月 NSR250R=MC18後期
89年2月  TZR250=3MA1
89年4月 NSR250R SP=MC18
89年4月  KR-1S/R=KR250C

90年1月  RGV250Γ/RGV250Γ SP=VJ22A
90年2月  NSR250R=MC21
90年2月  TZR250/TZR250 SP=3MA3/3MA4
90年4月  NSR250R SP=MC21

91年1月  NSR250R=MC21
91年1月  RGV250Γ=VJ22A
91年3月 TZR250R=3XV1
91年5月  NSR250R SE=MC21
91年12月 RGV250Γ SP/SPⅡ=VJ22A
91年12月 TZR250R SP=3XV2

92年に馬力自主規制が更新され、最高出力が45ps→40psになるまでのモデルチェンジはこんなかんじだ。

画像: 90年のNSR250R=MC21 ガルアームが外観上の識別点

90年のNSR250R=MC21 ガルアームが外観上の識別点

90年のNSR250R=MC21は、89年モデルMC18後期モデルから一気にフルモデルチェンジ。
フレームとスイングアームはメインパイプの断面形状を変更し、リアホイールを18→17インチに小径化。フロントフォークは、各メーカーで実用化され始めた倒立フォークをあえて採用せずに正立フォークのまま、チャンバー容量を稼いでもスイングアームと干渉しないよう、ガルアームも新採用した。

特に関係者全員が驚いたのがディメンション変更で、ステアリングヘッドをエンジンに7mm近づけたため、それによるエンジンとフロントタイヤのクリアランス確保のためにプラグキャップ全長を短縮したこと。レーシングマシンか、と思うほどの微細なチェンジ内容だ。

少しでもライバルに先んじるための、微に入り細に入る、まさに重箱の隅をつつくようなモデルチェンジ。このとき、55万9000円だった初期モデルMC16は、90モデルMC21で60万9000円となり、89年から3%の消費税がかかるようになったため、62万7270円になっていた。これは決してユーザーのためになっていないことは、作る方も買う方も気づいていたことだろう。

画像: 大きく5世代に分けられるNSR250R ⑤7が最終モデルと言える93年モデルMC28 プロアーム、カードキーを採用した

大きく5世代に分けられるNSR250R ⑤7が最終モデルと言える93年モデルMC28 プロアーム、カードキーを採用した

ちなみに、83年にデビューしたRG250Γが、先代のRG250Eから16万5000円アップの46万円で発売されたとき「250ccが46万円もするなんて!」と言われたものが、90年型RGV250Γには60万9000円に、80年に35万円だったRZ250は、90年型TZR250で61万9000円になっていた。

90年型NSR250R=MC21は、この年のベストセラーの座を獲得。NSR250Rがベストセラーとなったのは88年以来だったが、その販売台数は88年の約半分まで落ち込んでいた。

画像: 89年3月発売のCB-1 400ccネイキッド初といえるモデルだったが……

89年3月発売のCB-1 400ccネイキッド初といえるモデルだったが……

画像: CB-1より後に発売されたZEPHYR レーサーレプリカブームを終わらせたといっていいモデルだった

CB-1より後に発売されたZEPHYR レーサーレプリカブームを終わらせたといっていいモデルだった

高性能になりすぎ、高価格となったオートバイたち。その反動か、89年3月にはホンダが400ccのネイキッドモデルCB1を、4月にはカワサキが、おなじく400ccのネイキッドモデル、ZEPHYRを発売する。CB1は59万9000円、ZEPHYRは52万9000円。高性能すぎて手に負えなくなりつつあった2ストローク250ccよりも、身の丈に合った、街乗りにもツーリングにも扱いやすい400ccネイキッドの方に人気が流れていったのだ。

80年8月にRZ250が登場してから、90年2月にNSR250Rが登場するまでの10年間。レーサーレプリカブームという時代は、ネイキッドと呼ばれる西からの風に吹き飛ばされてしまったのだ。

<つづく>

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