2023年6月26日、glafitとOpenStreetは7月1日に新設された車両区分「特定小型原動機付自転車(特定原付)」に対応した新型車両「電動サイクル」のプロトタイプモデルを発表した。電動 "サイクル" という名前だが実際にはペダルがないので、自転車型バイクである。
レポート:スマートモビリティJP編集部
※この記事はウェブサイト「スマートモビリティJP」で2023年7月11日に公開されたものを一部編集し転載しています。

そもそも "特定原付" = "電動キックボード" ではない

特定原付=電動キックボードと勘違いしやすい理由

最近TVやSNSで話題になっている「特定原付」という新車両区分。メーカー各社からたくさんの電動キックボードが発売されているためよく勘違いされているが、そもそも特定原付は、形状に関して必ずしも "キックボード型" のみと規制されているわけではない。

ではなぜ、キックボード型が多いのかというと、今までLUUPやBIRDなど電動キックボードのシェアリングサービス(※特例で小型特殊自動車扱いだった)が実証実験として運用されており、シェアリング以外にも個人用(※原付一種扱い)に販売されるなど、電動アシスト自転車以外の電動モビリティとして最も浸透していたのが電動キックボードであったからだろう。

今回の法改正に電動キックボードが与えた影響が大きいことは容易に想像できるが、"特定原付" という規格自体は、スクーター型などキックボードタイプ以外の形状でも、長さ190cm、幅60cm以内というサイズ要件をクリアすれば認められるようになっている。

この柔軟な法規定になった背景には、従来の車両区分に関する規制が厳しすぎたことによる苦い教訓があったようだ。

セグウェイから学んだ教訓

glafit代表取締役CEOの鳴海禎造氏によると、20年ほど前に注目されていた「セグウェイ」が、結局受け入れられることなく消えていった理由は、日本の法規制では二輪車が "車輪が前後についているものである" と定義されているため、左右にタイヤがついているセグウェイは、車両として認められなかったからだそうだ。

反省を生かした "自由度の高い車両区分"「特定原付」の新設

このように、従来の車両区分はそれぞれの法律を制定した時代の人々が想定している車両の形状をもとに決められてしまっているため、数十年経って画期的な形状の乗り物や技術が生まれても、法改正が難しくお蔵入りしてしまうという事態が起きてしまっていた。

こうした事態を繰り返さず、イノベーションを阻害しないために生まれた自由度の高い新区分が "特定小型原動機付自転車(特定原付)" なのである。

画像: 今年新設された2つの車両区分。シニアカーなどの移動用小型車と特定原付の概要

今年新設された2つの車両区分。シニアカーなどの移動用小型車と特定原付の概要

では、ここで特定原付の車両条件をみてみよう。

【車体の大きさ】

 長さ: 190センチメートル以下
 幅 : 60センチメートル以下

【車体の構造】

  • 原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること。
  • 20キロメートル毎時を超える速度を出すことができないこと。
  • 走行中に最高速度の設定を変更することができないこと。
  • AT機構がとられていること。
  • 道路運送車両の保安基準第66条の17に規定する最高速度表示灯が備えられていること。

これをみると、確かに形状に関して "キックボード型" であるという条件はない。車体サイズ要件も一部の歩道で走行可能な "普通自転車" を踏襲したものだ。ちなみに、普通自転車の車輪数は、二輪・三輪・四輪となっているので、法律には明記されていないが、二輪〜四輪までは想定されているのだろう。

だからこそ、ホンダからは三輪の特定原付「ストリーモ」が、glafitからは今回紹介する「電動サイクル」が登場したのだ。むしろ今後は、車輪の数や配置に関する制約がない分、バイク型や三輪が増える、あるいは四輪タイプの特定原付も登場するかもしれない。

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