まるで真夏の筑波大会!

画像: 30台超えのエントリーとなったJP250。筑波と250ccってすごくスケール感がピッタリです!

30台超えのエントリーとなったJP250。筑波と250ccってすごくスケール感がピッタリです!

全日本ロードレースは第4戦・筑波大会を迎えました。
筑波サーキットでの一戦は、コース環境を理由に2022年から変則開催となり、J-GP3とJP250だけが1Day制で開催され、ほか時間にエキシビジョンレースとして、筑波独自のレースである「マイスター」クラスが走るようになりました。
今年の筑波大会は、1Day開催ということもあって、お客さん多かったですね。梅雨の晴れ間に……というか暑すぎでしたけど、雨より100倍いいねー、ってのがあいさつ代わりでしたけどね。

サテWebオートバイが熱烈応援しているJP250クラスですが、この大会では30台のエントリーがありました。ちょっとこのクラスがかわりつつあるな、と思ったのが出場マシンについてで、今大会にはヤマハYZF-R3が8台、KTMのRC390が6台出場! 残りはホンダCBR250RRで、これは22年の筑波大会に、R3は3台、RC390も3台だったことを考えると、マシンのバラエティが出てきましたね! 
ちなみにCBRのエントリー占有率は、22年:17台/24台=約70%だったものが、今大会では16台/30台=約53%となりました。速い、強いマシンが多くなるのは当たり前ですが、少数派のマシンが多数派のマシンをやっつけていくのを見るのも楽しいもんです!

画像: 「JPは初年度ですが、マシンはTEC2さんが仕上げてくれて、チームがセットを出してくれるので、走り始めからいいペースでタイム出しできるんです」と荻原

「JPは初年度ですが、マシンはTEC2さんが仕上げてくれて、チームがセットを出してくれるので、走り始めからいいペースでタイム出しできるんです」と荻原

1Day開催ですから、公式予選を午前に、決勝レースを午後に、というスケジュール。公式予選では、ここまでもてぎ大会→SUGO大会と国内クラス2連勝を飾っている荻原羚大(ベスラレーシングTEC2&YSS)がポールポジションを奪取! 2番手には国際クラスでここまで2連勝している千田俊輝(SDG N-PLANレーシング)がつけ、このふたりがCBR勢。3番手にはYZF-R3の高橋匠(bLUcLU NORICK&ランクアップレーシング)が入り、4番手は飯高新悟(KIJIMA KISSレーシング)のCBR。

ここまでの4人がレコードブレイクで、予選トップの荻原から4番手の飯高まで0秒473差! ちなみに22年のポールタイムから0秒451も短縮しています。JP250がスタートした16年、筑波のポールタイムは1分06秒176でしたから、1秒825も速くなってます!

画像1: まるで真夏の筑波大会!

決勝レースの焦点は、やはり千田vs荻原です。このふたりは、開幕戦もてぎ大会で千田が、第2戦SUGO大会では荻原が勝っての1勝1敗。千田19歳、荻原14歳というヤングライオンどうしの戦いで、そこに高橋や飯高といったメンバーがどう絡んでくるか。決勝レースはまず、荻原のホールショットで幕開けです。

画像: 2周目の1コーナーでは#97荻原、#95千田、#16高橋がトップ3に

2周目の1コーナーでは#97荻原、#95千田、#16高橋がトップ3に

当然のように千田が2番手、高橋、飯田に続いて、RC390の小室もトップ争いに絡んできます。
荻原→千田→高橋の順で周回しはじめますが、3周目の第2ヘアピンで、なんと千田が転倒!

「レースは千田さんをマークしてて、ずっと後ろにいたのは分かったんですが、急に音が聞こえなくなって、あれ、ミスでもして間隔ひらいたかな、と思ってたんです」と荻原。荻原はS80からJ-GP3を経てのJP250の1年生で、J-GP3→ST600の経験がある千田をマーク。やっぱり600経験者だけあってうまいし速いなー、と思っていたそうです。

画像: トップ3を追う序盤の4番手争いは#32小室、#73飯高、#61タイヨーの3人

トップ3を追う序盤の4番手争いは#32小室、#73飯高、#61タイヨーの3人

千田の転倒で、荻原を追うのは高橋と飯高。しかし、このふたりがバトルすることで、荻原は2番手以降との差を広げていきます。その差1秒、3秒、5秒――。サインボードで2番手との差を見ていた荻原は、5秒差がついたあたりでペースをコントロール。高橋vs飯高は、スタートでやや出遅れて小室の先行を許していた飯高が、レース中盤に高橋をパスして2番手に浮上します。

15周のレースは、12周目に多重クラッシュが起こったことで赤旗中断、規定周回数をクリアしていたことでそのままレース成立となり、荻原→飯高→高橋の順でフィニッシュ。この3人すべてが国内ライセンスで、荻原14歳、飯高13歳、高橋15歳というおっそろしい年齢での表彰台となりました。ちなみにJP250クラスで国内ライセンスライダーが総合の表彰台を独占したのはこれが初めてです。

画像: 千田が転倒してからはほぼ独走劇を演じた荻原 ド派手なマシンと真っ白Araiヘルメットのコントラストが新鮮

千田が転倒してからはほぼ独走劇を演じた荻原 ド派手なマシンと真っ白Araiヘルメットのコントラストが新鮮

決勝レースの4番手以下は、スタート直後に一時は総合3番手まで浮上した小室が、これも国内ライセンスのアクス・タイヨー(bLUcLU TEAM JPドッグファイトレーシング)を引き離して4位フィニッシュ。5位に入ったタイヨーはオーストラリアから日本のレースに参戦する、お父さんがトルコ人、お母さんが日本人というハーフで、開幕戦は2周目にリタイヤ、SUGO大会は15位からの、筑波大会で総合5位と自己ベストですね。

画像: スタートで後方に下がったものの、追い上げて2位フィニッシュの#73飯高 開幕戦3位からの自己ベストです!

スタートで後方に下がったものの、追い上げて2位フィニッシュの#73飯高 開幕戦3位からの自己ベストです!

6位争いはそのまま国際ライセンスの表彰台争いになり、CBRの中沢寿寛(iファクトリー& Mガレージ)が、R3の加藤祐樹(ガレージL8&スガテック)とRC390の比企 徹(KTM川崎中央& Voice!)を振り切って国際ライセンス2位となりました。
この6番手争いは中沢、小池亜久里(ランドスケープレーシング)、加藤、土岩直人(SHINライディングサービス)、比企、桐石世奈(チャレンジFOXレーシング)、池田優介(bLUcLUガレージL8レーシング)の7台という大集団バトルをしていたんですが、土岩、小池、桐石が多重クラッシュしての赤旗提示となったのです。
この多重クラッシュは、小池に土岩が追突、桐石が巻き込まれたようで、土岩は危険行為で失格となりましたが、その土岩はレーシングアクシデントでの転倒として、この失格に異議申し立てをしているとのことでした。

画像: ついにKTMがJPの表彰台のてっぺんに! J-GP3時代からKTMと走り、このJPに向けてRC390を仕上げてきた小室、快心の優勝です!

ついにKTMがJPの表彰台のてっぺんに! J-GP3時代からKTMと走り、このJPに向けてRC390を仕上げてきた小室、快心の優勝です!

画像: 6番手争いの8台集団 ここから#4小池、#22土岩、#17桐石が多重クラッシュしてしまいます

6番手争いの8台集団 ここから#4小池、#22土岩、#17桐石が多重クラッシュしてしまいます

ティーンエイジの国内ライセンスライダーによる総合の表彰台独占、YZF-R3やRC390の躍進と、注目ポイントがどんどん増えているJP250クラスですが、これにて23年シーズン前半戦は終了。次戦は9月2~3日のオートポリス大会です。うぅぅ、インターバル長いぃぃ。

ちなみにこの筑波大会には、昨年の国内ライセンスチャンピオンの山根昇馬、国際ライセンスランキング2位の石井千優が姿を見せていました。山根はbLUcLUヤマハYZF-R3ワールドカップに、石井はアジア選手権AP250に参戦と、JP250出身のふたりともが海外レースに飛び出していますが、JP250参戦の若いライダーは、もうこのふたりを目標としているかんじでしたね。
いい風吹いてきたかな、JP250!

画像: 国内ライセンスクラスが、そのまま総合の表彰台となりました。荻原(左)、飯高(右上)、高橋(右下)というアンダー15な表彰台となりました

国内ライセンスクラスが、そのまま総合の表彰台となりました。荻原(左)、飯高(右上)、高橋(右下)というアンダー15な表彰台となりました

画像: 国際ライセンスクラスは、小室(左)がRC390を仕上げてついに優勝! 中沢(右上)、加藤(右下)KTM→ホンダ→ヤマハという顔ぶれの表彰台となりました

国際ライセンスクラスは、小室(左)がRC390を仕上げてついに優勝! 中沢(右上)、加藤(右下)KTM→ホンダ→ヤマハという顔ぶれの表彰台となりました

画像2: まるで真夏の筑波大会!

写真/小縣清志 中村浩史 文責/中村浩史

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