AMAモトクロス/スーパークロスのシェアが高いODI製ハンドルの最高峰、CFTポディウムハンドルバーを試してみた
画期的なプロダクト「テーパーハンドル」を超えろ
オフロードバイクのパーツは、オートバイの進化やライダー達のスキル向上にあわせて進化を遂げてきた。中でもハンドルバーはスクランブラーと呼ばれるオートバイが走っていた頃にハンドルの強度を補強するためのブレースが備え付けられ、早い内からオフロードへの適性を高めていったものだと言えるかもしれない。材質は90年代にはアルミハンドルバーとなり、さらにはブレースの代わりにマウントで咥えるセンター部分を太く、握り部分を細く二段階の太さを使い分ける、テーパーバーが生まれていった。
このテーパーバーの発明はオフロードバイクのハンドルを考える上では、史上最大の転換期だったと言えるかもしれない。オフロードバイクのハンドルに求められる要素は、丈夫であることと適度なしなりがあること。ハンドルの材質を変えたり、ブレースを強化するだけでは丈夫さは担保されるがしなりが失われてしまう。しかしテーパーバーは、丈夫さとしなりを両立する最良の方法だった。各社がこのテーパーバーの生産に移行してからというもの、新しい構造を持ったハンドルは生まれることがなかった。
しかし、ここ数年、既存のテーパーバーに対して、各社がさらなる付加価値を見いだしはじめている。たとえばレンサルでは、日本に輸入されていないが既存の28.6mmテーパーバーを、なんと36mmまで太くしたFatbar36を展開している。またここ日本においても、奈良県のISAから内側にもテーパー加工を施した内外テーパーバーをリリース。世界的に見ても、いまハンドル界が賑やかなのだ。
ODI
CFTポディウムハンドルバー
ベンド :H901 HONDA/KAWASAKI、H902 マクグラス、H946 YZ OEM new
価格 :¥23,100(¥21,000)
今回テストしてきたのは、その新たなテーパーバーの中でもとりわけ革新的なODI CFTポディウムハンドルバー。このハンドルは、既存のテーパーハンドルにブレースが装着されていることが特徴だ。このブレースはエストラマー(弾性を持つ素材)がダンパーとして仕込まれていて、最適なしなり特性を生むというのが特徴だ。材質はハンドルバーによく用いられるアルミニウム7075-T6ではなく、あえてしなり要素の強い2014-T6を使用。ブレースで向上する強度とのバランスをとったのだろう。設計思想としては非常におもしろい。
ブレース中央のシルバー部分にエストラマーが仕込まれている。
ブレースがあるので、オールドスタイルにもマッチングよし。
MXoNなど大舞台でも同社CFTポディウムハンドルバーのシェアは大きい。
路面のインフォメーションを、太いハンドルで受ける感覚
テスターはOff1編集部稲垣。モトクロスヴィレッジを中心に1ヶ月ほど使ってみた。一つ断っておくとテスター稲垣は、自他共に求める永遠のビギナーで、オフロードバイク歴20年以上なのに草レースは万年ノービスクラスに参戦。早く上のクラスに上がりたい。
今回CFTポディウムハンドルバーを装着して思ったのは、なんかハンドルが太く感じるなということだった。物理的には28.6mmなので変わらないはずが、通常のハンドルよりも太く感じる。もちろんグリップも通常のサイズなので、握り部分はまったく変わらない。あくまで感覚の話しだけど、そのおかげで懐の深さを感じるし、乗っていて安心感がある。
そしてさらに感じたのは、路面インフォメーションを最適に整理してくれていることだ。ハンドルは手で触れるものだから、目の次に路面インフォメーションを伝えてくれる装置。路面インフォメーションは多ければいいというものではない。あまりに多すぎると、ライダーを混乱させるし、あまりに「凸凹してますよ」とハンドルで感じてしまうと、ビギナーは特にアクセルを開けにくくなる。つまり、必要の無い微細な情報をカットしつつも、それらよりも少し上の情報はクリアに伝えているようなフィーリング。ハンドル自体はしなるが、ブレースのダンパーが微細な振動のようなものを押さえ込んでいるのだとすると、理屈としては合うはずだ。
テストはYZ250FXと、YZ125の2車種でおこなった。YZ250FXではこのハンドルを装着したまま草モトクロスにも参戦している。前述した「太いな」と感じるところが、重量のあるYZ250FXにマッチしているように思った。また、YZ125のシャープすぎる部分をほんの若干ながらぼかしてくれるようなフィーリングもある。JNCCのような長丁場ではテストできていないが、おそらくガレの続くようなフィールドとも相性がいいはずだ。
そしてなんといってもカッコいい…。