サンデークロスカントリーレースのWEXイースト開幕戦に、OFF1編集部がチャレンジ。90分のレース、体力は十分にもったのだけれど……

遊びとはいえ、たくさん人がいるレースは楽しい

画像1: 遊びとはいえ、たくさん人がいるレースは楽しい

Off1のスタッフでよくレースに出ている二人のうち、本当のビギナーの方ことジャンキー稲垣です、こんにちわ。日々もう一人の方の伊井君を追い越したいと思いつつ、全然かないません。いつも仲間の顔ぶれを見ては「そろそろあの人より俺の方が速くなってるかも!」と妄想をいだき、そして例外なくコテンパンにやられていて、本当に自分はメンタルだけは強いよなぁ、と思ったり思わなかったりしています。嘘です。毎晩枕を涙でぬらしてんだよ?

さて、ここ最近乗るのが本当に楽しくってやたらとレースに出てますが、今回は日本最大のレースシリーズJNCC、その弟分であるWEXに参戦してみました。WEXというのはウィークエンドクロスカントリーの略で、JNCC(全日本クロスカントリー)に出るにはまだちょと自信がない、と思うライダー向けに用意された若干ハードル低めなサンデーレース的カテゴリーです。50分、90分、120分の3つのレースがあって、それぞれがさらにA〜Dのクラスに分かれているため、幅広いレベルのライダーが楽しめる仕組みになっています。僕は元々エンデューロが大好きで、その好きが高じて身の程知らずにもJNCCの3時間COMP-GPに出たことがある。その後もたびたびJNCCに挑んでは、レース中にバイクから降りて地べたに座り込んでしまうほど撃沈している。だが、「好き」と「やれる」は違うということを人類はついに知ったのだ。今度こそゼッタイにそのようなレベル違いのレースに出ないよう、念には念を入れて90分の最もビギナー向けクラス「D」にエントリーした。「え? ちょっとまって。Dはないでしょ、おかしいでしょ!」とたくさんの知り合いに言われたけど、僕は自分のレベルの低さに対して容赦しないことに決めたのだ。ほんのちょっと「Dならさすがに表彰台乗れるかな?」とか思っていたのは秘密である。最近真面目にモトクロスに取り組んでいるし、今回のレースはモトクロスコースのオフロードヴィレッジだし、あまりにトップを独走しちゃうようだったら非難囂々かもしれないので後半ゆっくり走ろうとか思っていたのも、今となってはいい思い出です(死にたい)。

画像2: 遊びとはいえ、たくさん人がいるレースは楽しい

ともかく、400台を超えるエントリーがあるということで、それだけで気分がめちゃめちゃ上がる。小学校のマラソン大会で「ゆっくり一緒に走ろうね、まさのりくん」と言ってくるやつは大体敵だった。今回参加したDクラスの顔ぶれを見ても、そんな敵ばっかりだったように思う。ゆるく……なんて言いながら、なんだかんだいってみんなレースしたくて来ているんだなと。そういう血気盛んな400台と遊ぶんだからそりゃ楽しいに決まってるよ。

※血気盛んに見えたのは、あくまで稲垣のスタート時の緊張している時の感想です。実はここのところJNCCやWEXに出るたびに、昔より全然初心者に優しくなっていて、どんなレベルの人でも出れるようになったなぁ! と思っています。これはたぶん主催側が「大声を出したりあおったりするのはマナー違反」と啓蒙し続けたからでしょう。とにかく遅い人に優しい。というわけで僕にも優しくしてください

マジでこいつはオフロードレースのスタンダード、YZ250FX

今まで秘密にしてきていたのだが(誰に?)、実はOFF1編集部のガレージにはYZ125(2022年式)だけではなくYZ250FX(2020年式)がある。それというのも、YZ125はモトクロスにはいいけど、さすがにクロスカントリーを楽しもうと思ったときにつらいな、と思って増車したのだ。ところがどうだ、走ってみるとモトクロスビレッジのようなコンパクトなモトクロスコースでも、アクセルあけ放題の(気分になれる)モトスポーツランドしどきでも、YZ250FXのほうがタイム的に圧倒的に速いし、ライディングの気持ちよさもモトクロッサー同様にある。正直言って悔しい。2年ほどYZ125ばかり乗って修行し、モトクロッサー乗りとしてだいぶ成長したような気になっていたのに、YZ250FXのほうが速いのだ。映像で自分がYZ250FXで走るところを撮ってもらうと、サスが全然入ってなくて、ビョンビョンとおつりをもらっているのがだいぶダサイんだけど、それでも乗っている当人からしたらシャキッとしているように感じている。それに、自分が今飛べる最大のジャンプ(ご想像におまかせします)はしっかり飛ばせてくれる上に、まだまだ飛べるよとサスが話しかけて来てくれる。言われても飛べないけどな。

画像: マジでこいつはオフロードレースのスタンダード、YZ250FX

ヤマハの開発ライダーも務めるオフロード界のご意見番、鈴木健二さんの言葉を借りるなら、「多くの人にはYZ250FXで十分」である。なんなら全日本モトクロスのIBクラスまではYZ250FXで十分戦えるらしい。スポーツランドSUGOのどでかいジャンプもすべてYZ250FXで余裕で飛べるという。いろんな意味でYZ250FXは日本のオフロードバイクのスタンダードに位置するマシンなんだとつくづく思った。迷ったらこれを買っておけば、いろんな楽しみ方ができる。相当乗れるようになっても、まだまだマシン側には余裕がある。

YZ125で修行のようにオフロードビレッジを走るのもありだったけど、今回は迷わずYZ250FXをトランポに積み込んだ。だって楽なんだもーん。

ここまで凍ってる路面は初めてでした……

話は飛んでレース当日、スタート前。90分レースに参加する血気盛んな約100台のライダーたちとスタートに並ぶ。2人の息子と妻もめずらしくスタートまで見に来てくれたので、気分もだいぶ朗らかである。以前も書いたように、モトクロスの横一線スタートは超絶長手な僕も、WEXならいきなり多重クラッシュに巻き込まれるような心配はないんじゃないかとすこしリラックス気味。みなさん、スタートはそっとゆっくり出るんでしょう、そうでしょう? ゆっくり走りましょうね、と時間があるなら並んでいるみんなに言って回りたい気分である。そして、のそっと走り出すみんなを尻目にスタートダッシュを決めたい。

画像: 「ね、みなさんゆっくり走りましょうね」と言って回る僕

「ね、みなさんゆっくり走りましょうね」と言って回る僕

画像: さくっとおいて行かれるスタートシーン

さくっとおいて行かれるスタートシーン

Twitter: @dirtthe3rd tweet

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ところが実際にはそんなわけはなくて、フラッグが振り下ろされるやいなやビギナー揃いであるはずのDクラスライダーたちは我先にと1コーナーに飛び込んでいくのであった。予定通りのそっとスタートした僕の前には、あらぬ方向を向きながら転んでいるライダーたちが複数名。「路面凍ってるんで気をつけましょう」と主催者から聞いてはいたものの、マジで開始10秒でバタバタ倒れるほどに凍っているとは思わなかった。見た目がドライなのでなおタチが悪い。よく見れば土がまるまる凍っていて、その凍土に乗るとほとんど何をしても足下を掬われるようだ。眼の前で次々と転ぶライダーに阻まれ、結局いつも通り最後尾からのスタートとなった。

画像: まるでバイクを寝かせられないフラットコーナー。まわりの人との差をぜひ温かい目で見守って欲しい

まるでバイクを寝かせられないフラットコーナー。まわりの人との差をぜひ温かい目で見守って欲しい

画像: このテーブルトップの上、全部氷だった

このテーブルトップの上、全部氷だった

僕にとってさらに難しかったのは、スタート直後にあるカチパンフラットコーナーセクションだ。カチパンというのは、カチカチ(硬い)でパンパン(?)な路面。基本フラットで砂が浮いており、バンクコーナーのようにアウトを回るわけにもいかず、グリップのきっかけをつかむわだちもないので難しい。モトクロスに取り組んでみて思ったんだけど、こういうカチパンのフラットコーナー、つまりどこの林道にでもあるようなコーナーこそが最も難しく感じる。心底、ダートトラックの練習を積んできたらよかったと思う。たぶん1年後にも同じことを思うんだろう。とにかくこのフラットコーナーではバイクを寝かせればフロントから、アクセルを開ければリヤからスリップダウンするイメージしか想像できず、誰一人として抜くことができなかった。

ところが、あとからリザルトを見返してみると、総合順位で1周目117位、2周目112位、3周目103位とあり、わりとコンスタントに追い上げをしていたことになる。転倒者による自然浮上の説もあるが、90分の長丁場、慣れてくればそこそこペースアップできるのでは、という感触が走っている時にもあった。だがそれも通常のモトクロスコース部分の話。問題は丸太にあった。

画像: ここまで凍ってる路面は初めてでした……

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僕は元々オフロードバイク雑誌で編集者をしていた際に様々なライテクページを20年にわたって作ってきた。だから、いまさら丸太の越え方をレクチャーしていただく必要はない(えらそう)。鈴木健二さん曰く、フロントのアクスルシャフトの位置よりも低い丸太は特に何ももしなくても通過できるそうだ。バイクから降りて押しても丸太をすっと通過できる。僕の目の間に現れた丸太は、どう考えてもアクスルより低いのだけど、映像の通りである。丸太が下手すぎて、だいたい1周につき10名ほどにパスされている。このていたらくには応援してくれていた二人の息子達もあきれかえって車に戻り、タブレットのアニメに興じる始末だった。トライアルスーパーIA藤○慎也を起用して某誌で「ぶっ刺し先生」という言葉をつくったのは僕である。だから、丁寧に丸太に超低空でぶっ刺していたのだ。効果はまるで無かったけど。てか刺せてないじゃん。

クラス順位は42人中14位でトップに1周差。走れ過ぎちゃったらどうしようとか考えていた自分が実に恥ずかしいです。どうやら90分Dクラスが自分にベストマッチな模様。なお、丸太で1周につき10名ほど抜かれて総合は99位だった。つまり丸太がなかったら総合1位になれるかもしれないから丸太がないレースに出よう(んなわきゃーない)。

画像: 90分Cには同じ大学のサークルの後輩、梅田くんが参戦。去年からTM Racingのインポーターをはじめたので、全身ピンク。密かに抜かしてやろうと思っていたのに、コース上で見かけることはなかった(つまり僕の方が遅い)

90分Cには同じ大学のサークルの後輩、梅田くんが参戦。去年からTM Racingのインポーターをはじめたので、全身ピンク。密かに抜かしてやろうと思っていたのに、コース上で見かけることはなかった(つまり僕の方が遅い)

画像: 50分にはデカイバイクもたくさん出てる。凍った路面にこいつで挑むとかちょっとおかしいんじゃないですか?

50分にはデカイバイクもたくさん出てる。凍った路面にこいつで挑むとかちょっとおかしいんじゃないですか?

画像: 手前#221はインドのHeroというブランドのバイク(X-PULSE 200 4V)で50分に参戦したOff1編集部伊井。しっかりジャンプも跳べるじゃんってことで、このバイクの評価はめっちゃ高かったです。Heroは今年のダカールでステージ優勝してるからね……映画RRRもぶっとんでるし(関係ない)インドはまじすげぇよ

手前#221はインドのHeroというブランドのバイク(X-PULSE 200 4V)で50分に参戦したOff1編集部伊井。しっかりジャンプも跳べるじゃんってことで、このバイクの評価はめっちゃ高かったです。Heroは今年のダカールでステージ優勝してるからね……映画RRRもぶっとんでるし(関係ない)インドはまじすげぇよ

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