突如として、2021年の全日本モトクロス最終戦で発表された、山本鯨の引退。これが理由だ、と言い切ることはできない。言えないこともある。ただ、ここに綴られたのは正直なチャンピオン山本鯨の心情。天才の第二の人生は、いかに。

次の一手。山本がはじめる「アカデミー」

そして、いますでに山本がSNSなどで公表しつつあるネクストアクションが、アカデミーだ。ライディングスクールの一種に聞こえるかもしれないが、実はそうではない。

画像: 引退後、神戸の海沿いで、プライベートの山本にインタビュー。

引退後、神戸の海沿いで、プライベートの山本にインタビュー。

「子供たちから、エンジョイライダー、プロまで、色んなことに対しての学びやディスカッションできる場があまりないので作っていきたいと考えています。スポンサーの人に来てもらって、なんでモトクロスに力を入れているのか、なんでサポートをしているのか、ライダーに求めていることなどの想いを話してもらいます。これまでの暗黙の了解じゃなくて、明確にしてもらう。スポンサーにとってはライダーにこうしてもらうことがメリットですということを明確にしてもらうんです。ライダーは承知した上でレースをしていくようになるわけです。

そうじゃないと、今はアバウトすぎますよね。もちろん表向きにできないことは業界的にもあると思いますが。例えばなんでSHOWAはスポンサー活動をやっているのか、ただサスペンションを作っているだけではないですよね。ブリヂストンだったら、こういう形態でモトクロスタイヤを開発します。だからうちに優秀なライダーが欲しいとか。それって業界にとってすごくプラスなことじゃないですか。ライダーが全員山本鯨を目指さないといけない訳ではなく、業界の構造をちゃんと理解できる場です。それを共有できるのが全日本チャンピオンを5回とった山本鯨であり、その周りの人たちだと思っています。ホンダさんなどの一流企業の話を聞くなんて、お金払ってもできないじゃないですか。それができたらすごくありません?

ライディングももちろん教えられるけど、誰しもが山本鯨になる訳ではないということも伝えていきたい。僕はそこしか見ていなかったので。針の穴に糸を通すくらいのとんがった場所でやってきましたが、別にモトクロスやモータースポーツって楽しみなんていくらでもあるんです。どれだけリスクを下げて、楽しみを増やして、人生の豊かさに繋げられるかというのが最重要なのかなと。それを手助けできるアカデミーを作りたいと思っています」と。

結果を追い求める、尖った場所にいたからこそ見えるモトクロス業界の疲弊した部分。現在、モトクロス業界は苦難のステージいることは、明確だ。ただ、それをただ見ているだけでは、本当に終わってしまう。山本のネクストアクションは、いわばその苦難を着実に、地道に一歩ずつ超えていくための施策だと言えるだろう。

画像: 次の一手。山本がはじめる「アカデミー」

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