全日本ロードレース全日程終了!

9月19日、これからスポーツの秋もバイクシーズンもやってくるのに、全日本ロードレース選手権は最終戦を終了、全日程を終えました。これは、当初予定されていた最終戦「MFJグランプリ」鈴鹿大会の日程が、当初は鈴鹿8耐が開催されるはずだった7月中旬にスライド、かわりに開催されるはずの鈴鹿8耐も中止になったことで、その日程がすっかり空白になってしまったからです。
あ~あ、もう終わっちゃった……と思っていたところに、2022年の暫定カレンダーも発表され、もうアタマを2022年に切り替えなきゃいけない日本ロードレース界です。

2022年全日本ロードレース 暫定開催日程
開幕戦 4/2-3 ツインリンクもてぎ 全クラス
第2戦 4/23-24 鈴鹿サーキット 2&4:JSB1000のみ
第3戦 5/21-22 オートポリス 2&4:JSB1000のみ
第4戦 6/4-5 スポーツランド菅生 全クラス
第5戦 6/25-26 筑波サーキット ST1000/ST600/J-GP3
第6戦 8/27-28 オートポリス 全クラス
第7戦 9/17-18 岡山国際サーキット 全クラス
最終戦 11/5-6 鈴鹿サーキット 全クラス

2021年のスケジュールに、5月のオートポリス2&4が1戦追加され、岡山とオートポリスの開催順が逆になった形ですね。まだ発表されてはいませんが、7月最終週末には世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレースもスケージューリングされるはずです。もちろん、このまま新型コロナウィルスの感染拡大防止が図られるなら、という条件付きですけどね。
ただし、このままアタマを2022年に切り替えるのも惜しい、ってことで

https://www.autoby.jp/_ct/17479211
↑コチラで実験的に導入した「実際に使わなかった写真供養」をもう一度。供養、ってのもおかしな言い方なので「使わなかった写真をもう1回使ってプレイバック」的な企画にしましょう、ウンそうしよう。

上の1回目にテスト掲載で、さっそくカメラマンの後藤 純さんが反応してくださったので、まずは最終戦から振り返ってみます。

「プロになって、15年目。
MotoGPを廻る為に月刊オートバイ誌のドア叩いてからお世話になって、11年?!
気がつけば、子持ち住宅ローン持ちのアラフォーです。(笑)
写真を撮っている時間が人生の40%になってしまいました。
経験は人を強くしてくれます。
でも数々の失敗も含まれる経験は人を臆病にもします。
それはカメラマンも、写真を撮る事も同じです。
安パイなレンズ選び、いつも同じ撮影ポイント、初めてパドックに入った時は置いてある中古タイヤでさえドキドキしたあの頃の気持ち。
webオートバイの中の人が唐突に「使わねぇ写真、供養するぞ」と言い出した岡山ラウンド。
「それならオートポリスで勝負してやるっ!」と用意しました。
皆様のスクロールする手がが少しでも止まります様に・・・。
プロに「ギャラは払えねぇけど」と言い切る、中の人。
ぼく個人のインスタのアカウントくらい宣伝してください。(笑)」(後藤 純)
**https://www.instagram.com/pointplusphoto/**

純めぇ、カッコいい写真ばっかり送ってきやがって(笑) お、カッコイイ、と思ったら上の後藤純インスタに行ってみてください^^

画像: J-GP3 #32小室旭

J-GP3 #32小室旭

今シーズンをフル参戦のラストイヤーと決めて臨んだ小室旭。今年44歳のベテランは、これまで全日本の軽量級を中心に参戦を続けてきて、実はメジャータイトルには無縁。ランキング2位が最高だったんです。
その小室、2019年にフル参戦をお休みして、2020年から自らのチーム「Sunny moto planning」を新結成。マシンは初挑戦のKTM RC250R、チーム員はバイク好きだけれどほぼレース未経験、スタッフみんながチームのスポンサー、という異例のチームで、小室はその熱意に報いるためにもチャンピオン獲得を絶対テーマとしてシーズンに臨んでいたのです。
開幕戦こそ尾野弘樹に優勝をさらわれたものの、菅生→筑波大会2レースと3連勝。鈴鹿→岡山も尾野が優勝し、3勝vs3勝で迎えた最終戦では、尾野が優勝しても3位に入れば小室のチャンピオン決定、というレースでした。
レースは、スタートから尾野が飛び出し、小室も中盤まで2番手につけていたものの、3番手グループが追い付いてきての4~5台の2番手争いで、周回ごとに順位を入れ替えつつ、最終的に3位の細谷 翼に0秒008差で4位フィニッシュ。獲得ポイントは尾野と同ポイントながら、優勝回数で負け、ランキング2位に終わってしまいました。
「思い描いた最高の結果にはなりませんでしたが、2年間サニーモトプランニングとしてチャンピオンを目指して取り組めたことは、生涯忘れることのできない大切な経験となりました。チームに協力いただいた各社スポンサーさんをはじめ、最後まで弱音を吐かずについてきてくれたチームメンバー、関わってくれたみなさん、ずっと支えてくれた家族、本当にありがとう。これで全日本フル参戦は最後、今後はライダーとして競争の場から少し距離をおいて、第二のバイク人生を歩んでいこうと思います。全日本参戦20年、レースを見届けていただき、ありがとうございました」(小室 旭)

画像: ST1000 #39岡本裕生 #3作本輝介

ST1000 #39岡本裕生 #3作本輝介

2020年からスタートしたST1000クラスは、改造範囲をごく狭く、ノーマルになるべく近い姿で戦う新カテゴリー。当然、市販状態のノーマルでの性能が戦闘力につながるレースで、つまりは新しいマシンほど速い、強い、ことが多いものです。
そのため2019年開幕戦から、ST1000クラスをブランニューモデルのホンダCBR1000RR-Rが圧倒。初代チャンピオンは高橋裕紀、ランキング2~3位も名越哲平、作本輝介というCBRユーザーでした。
ここに立ち向かったのがヤマハ勢。特にST600チャンピオンの岡本裕生は、その身体能力もあって、早くから大排気量マシンに向いていると言われていた逸材で、開幕戦のもてぎ大会から3位入賞。続く菅生大会→筑波大会Race01ではトップを走っていながら、ウェット路面に足をすくわれての転倒リタイヤでしたが、鈴鹿大会では2位入賞。しかし、これが車両規定違反(インジェクターの内部パーツを、純正ではないスペアパーツに修理交換していたため、性能向上がないパーツにもかかわらず、純正部品ではない、という判定)を取られて失格。それでも走りの面では、もういつ勝ってもおかしくないという状況でした。
続く岡山大会でも、作本に逃げられての2着。どうしても最後に1勝、と期して臨んだ最終戦では、スタートから作本とバチバチの一騎打ちで、ポジションを入れ替えながらのトップ争い。岡本は最終ラップに作本をかわし、逆転を狙った作本が、最終コーナー前でリアをツルッと滑らせて追いつけないままフィニッシュ。岡本は、CBR1000RR-Rの連勝を10でストップさせてのST1000初優勝となりました。
岡本は7戦で3回のポールポジション、フロントロウからのスタートは6回を数え、優勝1回のランキング5位。ノーポイントレース3回が響きました。岡本に敗れたものの、作本のシーズン終盤の圧倒的な速さも印象に残ったシーズンエンドとなりました。
「YZF-R1のST1000クラス初優勝、自分もST600からのスイッチで、最終戦でようやく勝てて、自信につながるし、素直にうれしいです。シーズンを通して少し成長できたかな、と思います。スポンサーの方々、チームのみなさんと、支えてくれた方に感謝しかありません。7歳くらいからレースをしてきて、この優勝がいちばん嬉しい!」(岡本)

画像: ST1000 岩戸亮介

ST1000 岩戸亮介

このコロナウィルスのパンデミックで、もっとも開催に影響を受けた身近なチャンピオンシップと言えばアジア選手権でしょう。なにせ、最後のこの選手権が行なわれたのが2020年3月7~8日、つまり昨年の3月です。それからずっと、開催スケジュール変更→延期→中止の発表ばかりで、今年もレース開催はナシ。せっかく日本から世界選手権へのステップボードとして確立しそうなチャンピオンシップだっただけに、参戦が決まっていたライダーは宙ぶらりん。南本宗一郎は全日本フル参戦に体制を切り替え、岩戸亮介、伊藤勇樹、井吉亜衣稀といったメンバーは走る場所が未定のまま、のシーズンでした。
「これから」のライダーたちが多いアジア選手権組、このままレース開催なしでは彼らの将来にかかわる、とサポートの手が広がり、伊藤はMFJグランプリ鈴鹿大会に、井吉は鈴鹿大会とオートポリス大会、岩戸は岡山大会とオートポリス大会に、それぞれST1000クラスにスポット参戦できることになったのです。
注目されたのは岩戸。次期カワサキのエースとしてのアジア選手権参戦だっただけに、走る舞台がないことを残念がる声は大きく、20年のオートポリス→鈴鹿大会に続く、約1年ぶりの岡山大会への期待が高かったのです。岩戸は地元・熊本のHSRでのモタードトレーニング、それにプロ級の脚力まで備わってしまったロードバイク(自転車ですね)トレーニングの毎日。ちなみに筆者も別件の熊本取材の折、南阿蘇で自転車をもがいている岩戸に出っくわしたことがあります。毎日のように走ってる?(笑)
そして岩戸は、その期待に応え、岡山大会では単独転倒を喫してしまいましたが、それまでは4位を走行、オートポリス大会でも、終盤に順位を下げてしまいますが、トップグループを追う位置を走行。フル参戦だったら、ワールドスーパーバイクチャンピオンマシンZX-10RRのポテンシャルを日本でも見られただろうになぁ……。
「全日本参戦にあたってご支援いただいた皆様、誠にありがとうございました。ふがいない結果で本当に申し訳ない。この2シーズン、なかなか実戦に参加できず、実戦に向けた日々の過ごし方、そして実現した全日本スポット参戦と、ひとつひとつが僕にとっての大きな経験となりました。また今日から、次に向けた日々を頑張っていきます」(岩戸)

画像: ST1000 渡辺一馬

ST1000 渡辺一馬

ST1000クラスに21年シーズンから新規参入してきた渡辺一馬。渡辺は、20年にスタートした新チーム、本誌でもおなじみの伊藤真一さんが監督を務めるKEIHINホンダドリームSIレーシング(21年からKEIHINの企業合併でAstemoホンダドリームSIレーシングに改称)からJSB1000クラスに参戦していましたがランキング5位、21年はチームの初タイトルを目指してST1000クラスにスイッチしてきたのです。
渡辺は開幕戦こそチャンピオン高橋に先勝を許したものの、菅生大会、鈴鹿大会で2勝をマーク。筑波大会Race02こそ、雨の影響でマシントラブルが出てリタイヤしてしまいましたが、第6戦・岡山大会を終えてランキング2位の作本に19ポイント差をつけてランキングトップにつけていました。
渡辺は一発のスピードはもちろん、かなりクレバーなライダーだという印象があります。勝てないときは可能な限りのポイントを狙い、チャンピオンを獲るために誰を対象に走ればいいか、自分がしなければならない仕事は何かを、きちんと考える。開幕戦は濡れた路面が乾き始めるコンディションで、スリックタイヤでスタート。レインタイヤ勢が前に行く中、乾き行く路面のなか、焦らずジリジリとペースを上げ、最終的にはチャンピオン高橋裕紀にかわされてしまったものの、1年間ST1000+ダンロップタイヤを経験してきたライダーに続いて、前年までJSB1000+ブリヂストンタイヤを履いてきた渡辺が2位フィニッシュ。高橋がEWC参戦のために数レース欠場することが予定されていたため、今年のチャンピオンは一馬だな、と予想した人は多かったでしょう。
シーズン終盤に作本がイッキに調子を上げてきたものの、最終戦の19ポイントリードは決定的。作本が優勝しても、9位に入ればチャンピオン決定。そして渡辺は、4位フィニッシュでチャンピオンを決めたのでした。
「勝って決めたいという思いもありましたが、最終戦は硬さが出て、カッコ悪いレースになってしまいました。ランキングをリードして迎える最終戦は、やっぱり特別なものがありますね。最高の結果で終わることができてすべてが報われる思いです。どんな時でも味方でいてくれたチームだからこそ獲れたタイトルでした。走ることが素直に楽しくて、いいバイクに乗せてもらってるな、と素直に思えた1年でした」(渡辺)

画像: JSB1000 中須賀克行

JSB1000 中須賀克行

全7戦で行なわれる全日本ロードレース、JSB1000クラスは1戦2レースに開催も多く、全11レースが行われました。J-GP3/ST600/ST1000クラスのチャンピオン決定が最終戦までもつれたのに対し、JSB1000クラスは中須賀克行が、自身10回目のチャンピオンを第4戦・鈴鹿大会のRace02で決定! 鈴鹿大会、7月でしたからね。もうチャンピオン決まっちゃった!って思って程です。 
悪天候のために菅生大会のRace01が中止され、予選順位に応じてハーフポイントが与えられたことで、予選2位の中須賀にはこの大会のフルポイントこそ与えられなかったものの、鈴鹿大会まで決勝レースは全勝。さらにチャンピオンを決めてからの岡山大会、オートポリス大会の3レースも勝ち、中須賀は全戦全勝でチャンピオンを獲得。最高峰クラスでの前戦優勝チャンピオンは史上初、チャンピオンを決めた鈴鹿大会は、ヤマハがWGPに参戦して60周年を記念した白×赤のストロボカラーで参戦し、この勝利が中須賀の通算60勝目だというおまけつき。持ってるライダー、何かが違う--。ホンダのWGP通算500勝を、バレンティーノ・ロッシが決めたことを思い出したファンも少なくなかったでしょうね。
10回目の全日本最高峰クラスチャンピオン、もうそろそろどんなモチベーションでレースやってるの?と聞かれることも多いという中須賀ですが、答えはいつもブレません。
「レースに勝つというのは、僕がレースに対する正しい手順をきちんと準備できたというときにもらえるもの。だから僕は、自分のやることをチームのみんなときちんとやるのが仕事。それで優勝できると、嬉しくて楽しくてしょうがないけど、レースに勝つのは結果であって目標じゃない。その積み重ねでここまでこれたんだと思います」(中須賀)
写真は、走行前にマシンまわりに盛り塩してお清めをする中須賀。塩をまくのは自分の身の回りに不吉なことや不運なことが起きる厄をはらう効果があります。実は中須賀、自他ともに認める弱気な性格で、これだけのベテランでありながら、レース前にはピリピリしたオーラを振りまくほどド緊張しているライダー。そのための、万全を期すためのお清めの塩なんでしょうか。
そういえば現ホンダTeamアジアの青山博一さんも、走行前に塩をまくことを欠かしませんでした。

続くか?この企画(笑)

この「使わなかった写真でシーズン振り返り」、しばらく不定期連載で続けてみましょう。後藤さんに続くカメラマンさん、登場お願いします!

写真/後藤 純 文責/中村浩史

This article is a sponsored article by
''.