スーパー耐久のトヨタ・カローラにカワサキが水素を提供!

画像1: 写真:トヨタ自動車

写真:トヨタ自動車

水素エンジンを搭載したカローラでスーパー耐久シリーズに参戦しながら、カーボンニュートラル時代に向けた水素社会の実現に向けた実証実験を行っているトヨタ自動車。9月18・19日に行われたスーパー耐久シリーズ第5戦・鈴鹿大会では、なんとそこで使用する水素を川崎重工業などの企業連合が提供。新たな「水素仲間」として、歴史的なタッグを組んだのです!

画像: スーパー耐久のトヨタ・カローラにカワサキが水素を提供!

18日に行われた記者会見では、自らドライバーとして水素カローラのステアリングを握る「モリゾウ選手」こと、トヨタ自動車の豊田章男社長と、川崎重工業の橋本康彦社長がガッチリ握手。内燃機関に熱い想いを持つ2輪メーカーと4輪メーカーの歴史的コラボレーションが、この日始まったのでした。

クリーンなだけではなく、パワーもガソリンと遜色ないレベルに!

画像1: クリーンなだけではなく、パワーもガソリンと遜色ないレベルに!

水素カローラに搭載される水素燃料は約7.3kgほど。これで鈴鹿サーキットを30分ほど周回できるそうなのですが、水素チャージのための専用ピットに、今回川崎重工などが水素を提供したわけです。

画像2: クリーンなだけではなく、パワーもガソリンと遜色ないレベルに!

これがその水素。今回はオーストラリアで製造された褐炭由来の水素を岩谷産業がボンベに充填し、20本入りの「カードル」と呼ばれるケースで提供。これと、福島県浪江町(FH2R)で製造された「グリーン水素」がレースで使用されました。

画像3: クリーンなだけではなく、パワーもガソリンと遜色ないレベルに!

ちなみに、その水素の輸送にも、褐炭水素は奥の燃料電池トラックを、福島産のグリーン水素はトヨタ輸送のバイオ燃料使用トラックを使用するという徹底ぶりでした。

画像2: 写真:トヨタ自動車

写真:トヨタ自動車

ちなみにこの水素カローラ、搭載しているエンジンはGRヤリス用の3気筒ターボ。構造的にはインジェクターが違う程度で、基本的には同じエンジン。液体のガソリンではなく気体の水素を噴霧する仕様のものを搭載しているそうです。初期のころはパワーにも乏しかったそうですが、3度目の参戦となる今回はガソリンエンジンと同等のパワーを実現したそうです!

ちなみにこのマシン、よーく見ると、フロントバンパーとドアハンドル付近にカワサキのロゴが! トヨタのマシンにカワサキのロゴ! これも歴史的コラボです!

オーストラリアの褐炭から水素を製造、カワサキが日本へ運搬!

画像: オーストラリアの褐炭炭田の様子。写真提供:川崎重工

オーストラリアの褐炭炭田の様子。写真提供:川崎重工

今回川崎重工が提供した液化水素は、オーストラリアの褐炭から製造されたもの。褐炭とは水分の含有量の多い低品質の石炭のことで、取り扱いが難しく、これまでは現地で火力発電などに消費する以外、使いみちがあまりなかった天然資源でした。

ただ、褐炭にも、埋蔵量が多い、非常に安価などのメリットもあり、川崎重工、岩谷産業、J-POWER(電源開発)など7社が参画するHySTRA(CO2フリー水素サプライチェーン推進機構)は、埋蔵量の非常に多いオーストラリア現地で水素を製造し、これを海路で日本に運ぶことで、石油や天然ガスのような感覚で、低価格で水素を普及できるようにするための実証実験を行っているのです。

画像: 液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」 写真提供:HySTRA

液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」 写真提供:HySTRA

川崎重工はこの取り組みのうち、水素を運ぶ事業を担っています。すでに液化水素運搬船の「すいそふろんてぃあ」を使った準備が進んでおり、2021年度中には神戸に建造した貯蔵施設とオーストラリアとの間・約9000kmを16日間で結んで水素を運搬する実証実験がスタートする予定です。

画像: オーストラリアの褐炭から水素を製造、カワサキが日本へ運搬!

「すいそふろんてぃあ」で運ばれた液化水素は右に見えるタンクに貯蔵されます。ちなみにこのタンクの容量は150トン、トヨタの「ミライ」3万台分に相当する水素をストック可能なんだとか。この実験が成功したら、次は2030年度までに水素の運搬・貯蔵規模を128倍にまで広げ、発電などの大規模利用に対応できるサプライチェーンを構築する予定だそうです。カーボンニュートラルに向けた「水素時代」は、意外とすぐそこまで来ているようです。

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