KTMのニューミドルアドベンチャー、890 ADVENTUREがドロップした。790はオフロード仕様のRしか乗ったことがないのだが、今回は890の無印を試乗できたので、サンデーライダー目線でインプレッションをお届けしたい。旧モデルである790 ADVENTURE Rはアフリカツインやテネレといった国産アドベンチャーモデルに比べて高いオフロードの走破性を誇っていただけに、いやが応にも期待が高まる。

広いシート幅を
ネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるか

画像1: 広いシート幅を ネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるか

アドベンチャーバイクの購入を検討する際に多くの人が悩むのが、足つきだろう。890アドベンチャーのシート高はスペック上だと850mm。この車両は830mmに下げた状態で試乗している。問題はこのシート幅に広さ。

写真がなくて恐縮なのだが、身長173cm短足の僕が普通にまたがって両足を下ろすと、両足の指の付け根くらいまでは地面に着くので、まぁ大きな問題はないレベル。では僕よりも身長の低い人はどうすればいいのか、と言うと、この広いシート幅を生かして、思い切ってお尻を半分ズラしてしまうのが良いと思う。そうすると、足がまっすぐ地面に降りるので、片足だが、ベタ足で安定感は抜群。

普通のバイクでこのポジションを取ると、お尻がシートの角に当たって痛いし、不安定で精神的にもよろしくないのだが、この幅広シートを装備した890アドベンチャーなら、お尻をズラしてもしっかりシートの範囲に収まり不安定感は皆無。むしろこれを狙って設計したんじゃないかと思うくらいだ。実際にはヨーロッパの足長族用に開発されているので、そんなことはないだろうが。

画像2: 広いシート幅を ネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるか

この幅広シートのもう一つのメリットとして、ニーグリップのしやすさが挙げられる。もはや「しやすさ」ではなかった。強制的にニーグリップさせられるのだ。無意識に、普通に座るだけでがっちり膝がシートをホールドしてくれて、それはスタンディングでも変わらない。おかげでマシンはめちゃくちゃ安定するし、加速・減速時も自在に姿勢をコントロールできた。

普通のオフロードバイクに乗っていると、ともすればライディングに集中するあまりニーグリップを忘れてしまうことに気づかされることが度々ある僕のようなライダーには、これはとても大きいメリットと言えると思う。

ここまでの総評としては、とにかく疲れないバイクという印象だ。これは無印モデルだから特にそうなのかもしれないが、滅多にツーリングに行かないようになってしまい、往復200kmくらいで「もういいや」ってなる僕が、自走で富津まで行って、オフロードコースを走って、自走で帰ってくる。その帰りに「もう疲れて乗りたくないなぁ」と思わなかったのは、かなりすごいことだと思う(笑)。

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