AMAプロモトクロスがコロナ禍の最中に開幕して2週目。例年より圧倒的に少ないヒート数のなかで、いかに集中したリザルトをマークできるかが、シーズンランキングを求める下田丈たちにとってのキーポイントになる。しかし、大勢の意に反して2戦目のロレッタリンは、さらに大荒れ。ロレッタリンのあるテネシーは、雨の多い地域である…。
下田がはじめて体験する、プロモトクロスでのマディ
「前週のレースから、コース整備がしっかり入って、掘り返したところに雨が降っているので、マディの土はめちゃくちゃ重かったです。スピードが乗らず、バランスをとるのも難しい。ペースが上がらないレースでした」と下田は言う。開幕戦もマディではあったものの、ここまでひどくはなかった。
17番手でオープニングラップをまわったモト1。「5周目くらいまではペースがよかったんですが、シングルを飛んだ直後に転倒してレバー類が駄目になってしまいました。前ブレーキはスカスカになってしまうし、かなり苦戦を強いられました」とのこと。最終的には18位をキープ。
続くモト2では、この難しいコンディションでスタートを4番手でファーストコーナーを曲がる快挙。このまま苦境を脱したいところだったが、天はそれを許さず。2コーナーを曲がって直後のストレートで前転を喫し、スタック。このモト2でも前ブレーキを失い、レースはほとんど消化試合になってしまった。
「今回はガイコだけで6台ものDNFが出たほど、荒れたレースでした。天候がよくなってほしい。普通のレースがしたいですね…。あまり言いたくはないんですが、アンラッキーが続いてしまっていると思います。3回転倒して、3回とも前ブレーキを失っているんですよ。もうバイクが壊れるレースはいやです」と下田は振り返る。もちろん、マディにおけるスキルが不足していることは重々承知していることで「アメリカのマディは、難しい」とも言う。
次戦、アイアンマンへ向けて
さて。開幕前に肩を負傷していた下田だが「タイムクオリファイでは少し痛みましたが、レースでは不意に振られなければ痛まないです。前回のロレッタリンからも2回乗っています。次週のアイアンマンまでには、トレーニングメニューも戻せそうですね」とのこと。だいたいテネシーからロサンゼルスまでは、飛行機で5時間。空港から自宅までも1時間以上あり、東海岸方面でのレースが続くと移動日の負担が非常に大きい。「が、あまり問題はありませんね」と下田は言う。
アイアンマンは、デビューイヤーの昨年最終戦だったラウンド。14−16で13位のリザルトを残しており、「スピードが乗って、大きなジャンプが魅力」と下田も気分が乗っている様子。プロを1年続けてきたことで「レースに変な緊張をしてしまうことも無くなったし、身体もよく動くようになりました。心と体の準備はできているんです」と、晴天でのレースを熱望する。