ライブ中継を通してみる、第12戦の下田丈はどこか苦しそうだった。どうにか、もっと本来のキレのようなものを取り戻してもらいたい…そんなことを思わせたが、下田自身も同じようなことを考えていたようだった。
Rd.11の途中離脱が、Rd.12まで影響していた
「コロナの影響もあって、コンディションを整えるのも難しかったんですが、気温は高いし、標高も1300mほどあるソルトレイクシティで15分のヒートを走るのが初めてだったこともあって、息切れも出てしまうくらい辛いレースになりました。今まで走ったスーパークロスの中では、一番タフだったかもしれない。中盤は横っ腹が痛くなりました」と下田は吐露する。ここにきて、3日前にレースを離脱していたことが、影響していた。
そもそも、振り返ってみると、下田のRd.12は逆境だらけだったのだ。
「ヒートレースのスタートは、まぁまぁのところにいたんですが…フープスあとのコーナーで転倒してしまって、クラッチ無しで走ることになってしまったんです。パワーシフトで凌いだのですが、転倒の最後尾からの追い上げは苦しく、9位。つまり、スターティンググリッドが選べない状況でした。
メインイベントで僕が選んだのは、大外のグリッドでした。内側は空いていなかったので。それに、ホールショットデバイスがスタート直後に外れてしまったんですよ。一回それを戻して、後ろからイン側に切れ込むようなラインをとったんですが、ほぼ最後尾でした」とのこと。大外であること、そしてスタート自体も失敗したことを、なんとか挽回しようとした苦肉の策であった。それでも、当然ながら苦戦を強いられ、1周目は17番手で戻ってくる形だった。
強烈なパッシングで最後尾から追い上げたセクストン
コースは、Rd.11とさほど大きな違いはなかったと下田は言う。ただし「フープスが長くて、それに荒れていたのが勝負ポイントになりました。メインレースでは、スキミングすると振られてしまう(※スキミング…フープスを飛ばずに、頂点を駆け抜けるような走り方)ほどで、フープスで転倒するライダーも多かったですね」とのこと。
最後尾からの追い上げとなると、これはいかに下田といえど苦しいレースになる。それに加えて前述したとおり、状況はかなりキツイ。下田のコンディションもよくなく、キレがないのもうなずける。ただ、前を走る8−9番手を抜いた後半は、中継を通してみても普段の走りを取り戻せていたように見えたし、下田本人も「ペースを取り戻せた」といい、実際ラップタイムも1秒ほどいい。