イラン情勢が気になるサウジアラビアで開催中のダカールラリーは、ステージ4が終わったところ。全12ステージの序盤を超えたといえるだろうか。ステージ2-3のループルートを使ったスーパーマラソンを終え、ステージ4ではいよいよサウジアラビアの内陸へ入っていく。
PHOTO/RALLYZONE
サンド路面が23%。標高も少し上がっているのが特徴だ。
ステージ3で飛び出した、HRC
アメリカンのリッキー・ブラベックが絶好調
ダカールラリーは、フランスで発祥したもので、現主宰A.S.Oもフランスのもの。ざっくり言うと欧州の色が強く、ヨーロッパ人にとっての未知のアフリカ大陸への憧憬をフックにしたイベントだ。あまり実感がないかもしれないけれど、オフロード大国のアメリカは、ダカールラリーに大きなアドバンテージを持っていない。もとい、アメリカ人がダカールで活躍することは多くはなかった(とはいえど、それはオーストラリアも同じだったが、ご存じの通りオージーのトビー・プライスは現世代のトップライダーと言えるだろう)。
アメリカ人のリッキー・ブラベックが2019年に活躍したことは、センセーショナルなできごとだった。リッキー初のステージ優勝は2017年のことで、当然HRCの「勝ちを期待するメンバー」の一人なのだが、さらに2020年ダカールのステージ3で頭一つ飛び抜け始め、現実的タイトルに近づくリッキーのことを、注目せずにはいられない。
このステージ3では、12番目のスタート順だったが、おちつきつつもプッシュし続け、アメリカのヘア&ハウンドなどで培ってきたトップスピードを見せ付けた。
これに呼応するかのごとく、ステージ3はホンダ勢の活躍が目立つ。ステージ順位2位にホセ・コルネオ、3位にケビン・ベナバイズ。4位からはKTM群が追随、マティアス・ウォークナー、トビー・プライスと続く。役者は、揃った。
ステージ3後、総合順位
1 | 9 | RICKY BRABEC | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 10H 39' 04'' | |||
2 | 7 | KEVIN BENAVIDES | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 10H 43' 47'' |
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3 | 2 | MATTHIAS WALKNER | RED BULL KTM FACTORY TEAM | 10H 45' 06'' |
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4 | 12 | JOAN BARREDA BORT | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 10H 50' 06'' |
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5 | 17 | JOSE IGNACIO CORNEJO FLORIMO | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 10H 50' 23'' |
| 00H 01' 00'' | |
6 | 1 | TOBY PRICE | RED BULL KTM FACTORY TEAM | 10H 51' 02'' |
| 00H 02' 00'' | |
7 | 5 | PABLO QUINTANILLA | ROCKSTAR ENERGY HUSQVARNA FACTORY RACING | 10H 51' 41'' |
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8 | 16 | LUCIANO BENAVIDES | RED BULL KTM FACTORY TEAM | 10H 53' 24'' |
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9 | 3 | SAM SUNDERLAND | RED BULL KTM FACTORY TEAM | 10H 56' 14'' |
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10 | 10 | XAVIER DE SOULTRAIT | MONSTER ENERGY YAMAHA RALLY TEAM | 10H 58' 59'' |
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ステージ3後の、総合順位。ウォークナーがホンダ勢の中で孤軍奮闘、6位トビー・プライスがここからの巻き返しを図る構図。
ステージ4、さらに進むホンダ優勢
ステージ4、単体の順位
1 | 17 | JOSE IGNACIO CORNEJO FLORIMO | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 04H 24' 51'' | |||
2 | 7 | KEVIN BENAVIDES | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 04H 25' 26'' |
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3 | 18 | ROSS BRANCH | BAS DAKAR KTM RACING TEAM | 04H 25' 46'' |
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4 | 8 | PAULO GONÇALVES | HERO MOTOSPORTS TEAM RALLY | 04H 27' 02'' |
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5 | 9 | RICKY BRABEC | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 04H 27' 39'' |
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6 | 1 | TOBY PRICE | RED BULL KTM FACTORY TEAM | 04H 27' 50'' |
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ステージ4の順位から読み砕こう。ホンダの優勢は、さらに追い風。なによりも、コルネオが初のステージ優勝をこなしたことで、チーム全体の高揚感につながったはず。南米のケビンもそつなく上位に入っていて、リッキーも順当な位置につけた。勝負の分かれ目は、ラスト50kmほどの地点にあったとのこと。
リッキーはステージ3後の順位を反映して、1番手でのスタート。つまり、ワダチも何もなくルーティングを100%こなさなければならない難しいスタート位置になるのだが、これに対してリッキーは「ナーバスだった」というコメントを発表している。だが、走り出してみるとそつなくペースを守ることができたようだった。それに、250km地点からコルネオがリッキーに合流し、2台体制で難しいラスト50kmを乗り切ったのだ。
ステージで最も速かったのは、実はサム・サンダーランドであった。
15番目のスタートで、ダストが多く不利だったものの、低く伏せた姿勢でレースをスパート。だが、5分のペナルティを課せられたことで、順位自体は8位に沈む。ペナルティの情報は「speeding」とのことで、現時点では日本から詳細を確認できていない。
ステージ2で急浮上したロス・ブランチは、ステージ3で落ちてしまっているものの、ステージ4では3位に。
ステージ4後、総合順位
1 | 9 | RICKY BRABEC | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 15H 06' 43'' | |||
2 | 7 | KEVIN BENAVIDES | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 15H 09' 13'' |
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3 | 17 | JOSE IGNACIO CORNEJO FLORIMO | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 15H 15' 14'' |
| 00H 01' 00'' | |
4 | 1 | TOBY PRICE | RED BULL KTM FACTORY TEAM | 15H 18' 52'' |
| 00H 02' 00'' | |
5 | 5 | PABLO QUINTANILLA | ROCKSTAR ENERGY HUSQVARNA FACTORY RACING | 15H 24' 35'' |
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6 | 3 | SAM SUNDERLAND | RED BULL KTM FACTORY TEAM | 15H 25' 54'' |
| 00H 05' 00'' | |
7 | 12 | JOAN BARREDA BORT | MONSTER ENERGY HONDA TEAM 2020 | 15H 32' 03'' |
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8 | 16 | LUCIANO BENAVIDES | RED BULL KTM FACTORY TEAM | 15H 33' 13'' |
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9 | 2 | MATTHIAS WALKNER | RED BULL KTM FACTORY TEAM | 15H 33' 46'' |
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10 | 59 | SKYLER HOWES | KLYMCIW RACING | 15H 41' 11'' |
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という結果をふまえて、総合順位はさらにホンダ VS KTMの構図が明確に。ホンダは1-2-3を独占して、なおリッキーをトップに保持。追うKTM勢は、4位のトビー・プライスで12分遅れという位置にいる。ホンダ勢でもっともスピードを持つと言われる7位のホアン・バレダも、有力。ここまでで、現時点では25分の開きが生じている。
なお、今季よりGASGASのエースとしてダカールに現れた、女王ライア・サンツはステージ4終了時点で24位。