WEDNESDAY / 250PRO SPORTS MOTO2
圧倒的な強さ。これが真の下田だったのだ

画像1: WEDNESDAY / 250PRO SPORTS MOTO2 圧倒的な強さ。これが真の下田だったのだ

そしてむかえた250Proのヒート2。やはりナーバスなムードを醸す下田だったが、3度目の正直でスタートを成功させた。5番手での立ち上がりで、ロレッタリン3ヒート目にしてようやく勝負をかけられるチャンスが到来。しかし、こういう時にはライバルもスタートを成功させており、ジェットは瞬く間にトップへ躍り出る。

画像: スウォル VS 下田。あっという間に、パスしてしまう

スウォル VS 下田。あっという間に、パスしてしまう

下田は、またもラインチョイスに手間取りペースのつかめない序盤。しかし、それはトップクラス比であって下田は5番手から着実に一人ずつ仕留めていく。スウォルを料理してから、あっさりランス・コバッシュをパスして2番手へ上がった中盤、トップで十分な逃げを引くジェットは4秒前にいた。

画像: ジェットを追い詰める下田

ジェットを追い詰める下田

下田には、コース後半にジェットより速い区間があった。だから、フィニッシュ前でぐっと差をつめることが見て取れたし、もし最終周でもつれたとすると、その区間でパスできる可能性も見えてきた。だいぶ離れているものの、勝利への糸口が見えてきていた。

画像: 斜めにジャンプからの…

斜めにジャンプからの…

画像: 轍壁面に当て込んで間髪入れずに加速

轍壁面に当て込んで間髪入れずに加速

だが、ジェットの神がかったフローは、見ているモノを困惑させるほど。相手が悪い。天才的なテクニックとスピード、そしてスパートをかけられる技術…そんな思いを去来させたのも束の間…。下田のラインがつながったようだった。ペースがグイグイとアップする。中盤で実にジェットより1秒以上速いラップを刻み始め、おいつくのだろうか、と思われていたジェットとの距離はあっという間に無くなった。レース後半にきて、思いどおりに展開を書き換えられる「強さ」。これこそサムライ・ジョーの真の姿だ。

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「本当は、リズムセクションで仕留めようと思っていた」とは下田。イン側を締めにかかるジェットに対して思い切りアウトからスピードをのせ、ジェットにフロントフェンダーを見せるシーンが2周も続いただろうか。この後半、誰の目にも下田が優位にあることは明確だった。ジェットが十分なほど逃げに逃げ、2番手以下を引き離していたにも関わらず、下田はジェットを追い詰め、執拗にではなく実にスマートにしかける。

勝負はあっけなく決まった。ジェットがラインをミス、すかさず見逃さなかった下田がするっと前に出て、ラスト2周をスパート。

画像: 最終ラップ、もう後ろにジェットは見えていない

最終ラップ、もう後ろにジェットは見えていない

ジェットのペースは息も絶え絶え、明らかにタレているのに対し、下田のペースはまだ上がる。ジェットとの距離は1周で拡大。下田は、このスパートの周で勝利を確信した。ようやく胸をなで下ろしながら、「ラストラップは落ちついてまわることができました」と振り返る。

画像: なかなか表情に感情を出さない下田が、ゴール後、顔をゆがませた

なかなか表情に感情を出さない下田が、ゴール後、顔をゆがませた

正直な話、ロレッタリンにおける4秒はかなり遠い存在だった。ジェットのペースも速かったし、もう届かないかもしれない、と撮影しながら思っていたが、下田はまったく逆のことを考えていて「100%のペースなら届く距離だと思っていましたよ」と冷静に分析。あっというまに詰められたジェットは、恐怖感すら覚えたに違いない。応援している側のひいき目もあるかとは思うが、あまりにこのヒートにおける下田の圧倒的強さには、下田の器の大きさを改めて思い知らされた。スタートさえしくじらなければ、如何様にも勝つことが出来る、だろう。明らかに、このロレッタリン会場で一番強いライダーは、下田だと確信が持てる内容だった。この1勝はとても大きい。

画像3: WEDNESDAY / 250PRO SPORTS MOTO2 圧倒的な強さ。これが真の下田だったのだ

下田は言う。
「勝てたことで、落ち着くことができました」。明言はしないが、これまでの3ヒートのスタートにかかっていた重責はとても大きなものだったに違いない。ひとまず、全米1位をひとつ確保。ここから、さらに追い上げたい。

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