モトクロスの本場、アメリカのとてつもないレベルの中で、孤軍奮闘する天才がいる。下田丈(しもだ・じょう)、三重県出身17歳。着実にアメリカでアマチュア選手権の階段を上がり続け、2017年にはホンダファクトリーの予備軍アムゾイルホンダに抜擢。現世代で、最も注目されているヤングライダーである。世界屈指の域に到達できる、いわばモトクロス界の羽生結弦、いや錦織圭、あるいはイチローだろうか…。まばゆい未来を、我々は下田丈に見る。
下田がプロデビューの歳を迎え、事実上最後と見られるロレッタリンを、Off1.jpで密着レポートする。
※ロレッタリン:全米アマチュアモトクロス選手権。年に一度、全米から予選を勝ち抜いてきたライダーが、50cc〜450ccまで様々なクラスで争う。現在、レジェンドや現役のAMAライダーのほとんどが、このロレッタリンから勝ち上がり、有名チームへ所属するための切符を手に入れた(下田は、すでにホンダの育成チームへ所属)。ちなみにLorretta Lynnはアメリカのスターフォークシンガーで、このロレッタ氏所有の牧場で開催されるから「ロレッタリン」と通称されている
7月30日月曜日、トレーニングデイ
ロレッタリンは、毎年8月の頭に1週間でおこなわれる。各クラス、3ヒート制でレース時間はバラバラ。下田は最上級の250Pro MX、Open Pro MXの2クラスに参戦。
7月30日火曜日 14:00 250Pro MXヒート1(日本時間7月31日 4:00)
7月31日水曜日 11:00 Open Proヒート1(日本時間8月1日 1:00)
7月31日水曜日 16:00 250Pro MXヒート2(日本時間8月1日 6:00)
8月1日木曜日 11:00 Open Proヒート2(日本時間8月2日 1:00)
8月2日金曜日 9:30 250Pro MXヒート3(日本時間8月2日 23:30)
8月2日金曜日 17:00 Open Proヒート3(日本時間8月3日 7:00)
というスケジュールだ。
7月30日の本日は、事前練習だった。下田は、伸びやかに練習走行を終えた。「調子は、まぁまぁ。轍がバンクしていない、轍が立っていて走りづらいよ」とのこと。この最近、アメリカンはハイスピードで曲がる轍を攻略しないとならなかったが、この「立っている轍」の表現は初めて聞いた。実際、傍目からみると轍がコーナーに沿っておらずストレートについているように見える。これが進化なのか、退化なのか。マシンや、ライダーの潮流によるものか。評価は、難しい。
目下、宿敵はジェットとスウォル
下田の世代、上下1〜2年はとてつもなくできのいい歳で、まさに下田は揉まれて育ってきた。この2019年ロレッタリンで下田を脅かす存在としては、まずハスクバーナのジャレク・スウォル。
すでにロックスター・ハスクバーナに所属。華もあって、線の太いライディング。
下田のチームメイトであるアムゾイルホンダ、ジェット・ローレンス。昨年プロデビューしているハンター・ローレンスの弟にあたる。こちらはスーパースムーズ。
ピアース・ブラウン。KTM秘蔵の若手ライダーだ。
FI仕様のCRF150Rファクトリーマシンを走らせていたことでも有名な、やはり下田のチームメイト、カーソン・マムフォード。とにかく派手。
下田のパーソナルトレーナーである、ヤニング・カーベラによれば、下田の状態はとてもよく仕上がっているし「Ready to WIN」だとのこと。大いに、この1週間期待しよう!!