KTMをベースとしながら本来のテイストを巧みに再現

ハスクバーナは歴史あるオートバイメーカーだが、紆余曲折を経て、現在はオーストリアのKTM傘下。マシンはKTMのオフロードモデルがベースだ。しかし、実際に乗ればわかるが、ハスクバーナは健在だ! と感じることができる仕上がりなのだ。

結論が先になったが、KTMのオフロードモデルとパーツはほぼ同じでも、KTMがレーシング志向なら、ハスクバーナはオフロードバイクとしての乗りやすさと性能を追求している。その最たるモデルがFE250だ。

画像1: KTMをベースとしながら本来のテイストを巧みに再現

非力な4スト250を、とにかくパワー感とレスポンス感を出して、ピックアップの良さを上げようとしているKTMに対し、ハスクバーナのアプローチは全く逆で、とにかくマイルドに、乗りやすさこそがオフロードで一番だ! という味付け。だから、上級者だと「遅い!」とさえ感じる。リアを流そうにも、パワー感がなく流せないし、フロントも簡単には浮かない。

ただ、これは実際に遅いのではなく、そういうセッティングなのだ。何せKTMと同じパーツ。レスポンスを重視することはできるが、それを敢えてしないのだ。なぜか?

その理由は「オフロードに無駄は必要ない」というコンセプトにある。リアが流れればそれだけパワーロスになるし、フロントを浮かせる力があるならバイクを前に進めたい。無駄を抑え、とにかく効率よくバイクを進めたいという狙いなのだ。だから、超がつくほどのフラット特性になるのだが、おかげで長時間のライディングでも疲れないし、結果的に早く走れるという、まさにオフロード職人が喜びそうな味付けになっている。

画像2: KTMをベースとしながら本来のテイストを巧みに再現

それはまるで、ひと昔の国産トレールバイクの様な乗りやすさ。初心者にも乗ってもらいたい優しい味付けと言っていい。加えて、フレームの縦剛性を下げたことで、しなり感を出している。これで乗り心地の硬さがなく、とても柔らかい感じで乗ることができる。これも初心者にはとても優しい。

サスペンションの動きもしなやかで、ゆっくり走ってもギクシャク感はない。レースで使うのに、こんなに柔らかくて大丈夫なの? と心配になるが、木の根や石がゴロゴロした路面では、この方がむしろ楽。KTMの様にがっちりとした車体の方がダイレクト感があって良さそうに思うが、その分、ライダーはしっかりとした体づくりが必要になる。

どっちがいいか悪いか、どちらが速いか、ではなく、どっちが好きか? 両車の差はそういう違いだと言えるだろう。

これじゃ物足りない、というなら350を選ぶといい。250の特性と乗りやすさはそのままに、パワーとレスポンスもわかりやすく、これなら遊べるだろう。

こうした味付けは、KTMが作り上げたハスクバーナ像ではない。ハスクバーナとはこういう乗り物なのだ。それをKTMがうまく再現しているのだ。聞けば、KTMの社長がハスクバーナのファンなんだとか。納得!

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 NA
ホイールベース 1495±10㎜
シート高 970㎜
車両重 約105.8[106.8]㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
総排気量 249.91[349.7]㏄
ボア×ストローク 78[88]×52.3[57.5]㎜
圧縮比 12.8[12.3]
最高出力 NA
最大トルク NA
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 約8.5ℓ
キャスター角/トレール量 63.5度/NA
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式(前・後)φ260㎜ディスク・φ220㎜ディスク
タイヤサイズ(前・後)90/90-21・140/80-18

PHOTO:南 孝幸

公式サイト

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