オートバイ誌連載の「梅日和」バックナンバーをお届け!
私は元々サーキットでレースを観るのが好きで、そこからバイクに乗りたいと思ったので、サーキット走行をすると聞いた時は、まさか自分が走るなんて…と不安でした。レース観戦に行く時はサーキットをひたすら歩き回り、コース以外のいろんなエリアから観て楽しむので、1日があっという間。それがサーキット走行した日も同じで、「サーキットが好きだな」と改めて感じたのには、自分でも驚きでした。
サーキット初日は、グロム自体に慣れないこともあり、全然上手くいかなかったのですが、唯一みなさんに褒められたのは“体幹”。きっと他に良い所がなさすぎるんだ、と感じるくらい褒めてもらいました(笑) 。でもひとつでも良い所があったおかげで、自信を持てる武器になったりも。先生役の太田さんから無線で「開けて!」とアクセルのタイミングを教わっているうちに、だんだんわかってきて、終盤では波に乗っているような感覚になれた気がします。
コーナーでブレーキが遅れて上手くいかないと、「あー、さっきのじゃだめだ」と不安定になるけど、ストレートからリセットできるように、「行くぞ!」ってまた気合いを入れ直してワクワクドキドキ。
そんな繰り返しが、すごく幸せな時間でした。波に乗れるとコーナーで地面が近く感じて、なのになぜか恐怖心はなく、むしろ安心できてより集中できる。「普通は地面が近いほうが怖い」と教わったけど、ホント不思議な感覚です。その感覚がすごく快感で、「いけいけー! 絶対できる!」って思えるのが楽しくて。休憩するのがもったいなくて、頭の中を整理する時以外は、周りに止められるまで走行を楽しんじゃいました。
しかし! そんな気持ちが「ある出来事」をきっかけになくなってしまったんですが…このお話はまた次回。
PHOTO梅本まどか