オフロードバイク乗りがまず目標にするのは、トランポかな、と思う。
いきなりコースで乗り出しちゃうような人を除き、一般的には、トレールバイクに乗ってみて、もっと土の上を堪能したいとコースに行き始め、レーサーとトランポが欲しいとねがう。だから、トランポは僕らオフロードバイク乗りにとっての夢の城であり続ける。Off1編集部も、いつもトランポに寝泊まりしながら取材をしてるけど、なんだかんだいってトランポの居心地がいいからだ。
ザ・トランポ
中でも、オグショーでトランポをこしらえることは夢。トランポっていう概念がそもそもなく、バイクを運ぶ車としてしか見られていなかった時代から、オグショー創設者の小栗伸幸さんは「かっこよくバイクを運べたらいいのに」と思っていたという。
たまたま、ハイエースの買い換えを考えていた僕は、小栗さんの元にVANLIFEっぽい写真を持って行ってこんな感じで作れないかと相談した。
VANLIFEは、2010年代から一人歩きしはじめたバズワード。バンを居心地良く改造して、ロードトリップに出た写真家フォスター・ハティントンの写真集をハシリにしているんだけど、2010年代はこうした手法で生っぽいライフスタイルを描き出すクリエイターが多く、またたく間に様々なVANLIFEがInstagramでアピールされた。
いつしか、古材で覆った内装のシンプルなVANでの旅が、VANLIFEと言われるようになった。
キャンピングカーは、豪華さが終着点だ。いかに家と変わらない生活ができるか、コンフォートであるか。はたまた、いくら金をかけたか。そんな文脈で語られる。VANLIFEはそうではなく、モノというよりVANを使って何をするのかが、そんな文脈が大事。モノよりコト。だから、VANは質よくもミニマルなもの。そこが、受け入れられている。つまり、トランポは日本のVANLIFEと言えるのかもしれない。
小栗さんは、VANLIFEの写真をみて「わかる。僕が昔最初に作ったトランポも、実は木目を活かした内装だったんだよ」と言う。話を元に戻すと、オグショーは小栗さんの哲学において「カッコイイバイク積載」が原点であって、今はそれがいろんな遊びに拡大している。
間違いないクオリティ
オグショーのデモ車「Wピックアップトランスポーター」は、オグショーは「こんなことまでできるのだ」という職人ワザの結晶だ。
見ての通り、ハイエースがぶった切られてピックアップになっている。その完成度たるや、まるでこういうハイエースがあったかのようなのだ。
余裕ある5名乗車に、3台積載可能な荷台で4ナンバー。ある意味究極の形。
工場はいつもフル稼働で、ハイエースの人気ぶりと相まって常に予約でいっぱい。
きっちり水平が出た床は、とても質が高い。
店内には、トランポに選べるシートが試せたり…
パーツも豊富。
いま、オグショーは新製品をほとんどリリースしていない。これまでのプロダクトの完成度が非常に高められていることもあるけど「そもそもうちは、オーダーでなんでも作れるから、新製品を毎日だしてるっていえば毎日だしてるようなものかもね」と小栗さん。
オグショーは、東名高速浜松インターからすぐ。トランポを考えてるなら、話にいくだけでも物欲がわき上がるはず。