スズキ車の魅力である「通勤快速」ぶりは健在

スウィッシュの洗練されたスタイリングは上質感があるが、乗ると『通勤快速』として名を馳せたアドレスシリーズのDNAがしっかり受け継がれていて、スズキらしい質実剛健なオートバイ作りは全くブレていない。

画像: 最高出力:9.4PS/7000rpm 最大トルク:1.0kg-m/6000rpm 価格:31万8600円 発売:2018年6月1日

最高出力:9.4PS/7000rpm
最大トルク:1.0kg-m/6000rpm
価格:31万8600円
発売:2018年6月1日

車体はアドレス125よりも全長が70㎜短く、全幅はほぼ同じ。車重は5㎏ほど軽く、PCXやNMAXに比べると明らかに軽量コンパクトだ。このあたりは前後10インチという小径ホイールの採用も大きく影響してるはず。取り回しの良さはズバ抜けている。

試乗前にスペックを見て気になったのはアドレス125と変わらない9.4馬力というパワー。トルクの発生回転数を見ても、特に低回転トルクを重視したタイプではないから、12馬力のPCXとNMAXに対して動力性能は不利に思える。ところが、乗り比べると引けを取らないどころか、ゼロ発進から60㎞/hまでがとにかく速い。クラッチミートは約3000回転で、スロットル全開時は最大トルク発生回転の6000回転をキープして元気いっぱいの加速を見せる。パワー/トルクのピーク値だけでは判断できないエンジン特性と、絶妙な変速セッティング、車重の軽さの合わせ技といったところ。最高速もライバルと大差ない。カタログ数値で判断するのは早計だ。

試乗前にもう一つ気になったのがハンドリング。アドレス110は前後14インチ、125は前12、後10インチホイールを採用しているが、スウィッシュは前後10インチで、アドレスV125と同サイズ。荒れた路面では安定性不足になりがちだが、新設計の車体が低重心化されていることと、前後サスペンションのグレードを高めたことでアドレス125と同等以上のスタビリティを見せる。意図的に大きなギャップを超えると小径ホイールのピョコピョコ感が出るが、日本の市街地の道路状況なら何ら不安なく、むしろ小径ゆえの軽快性が前面に出ている。

装備面も豪華さを演出するのではなく、通勤通学といった現実的な使用環境下での実用性を最優先したもの。個人的にはフラットなフロアボードの実用性も評価したい。自動車で言うなら、必要な装備を完璧に備えたスタイリッシュなバン。この路線で勝負に出たスズキの戦略は大正解だと思う。

画像: スズキ車の魅力である「通勤快速」ぶりは健在

SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 1830×690×1095mm
ホイールベース 1250mm
最低地上高 120mm
シート高 760mm
車両重量 114kg
エンジン形式 空冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量 124cc
ボア×ストローク 52.5×57.4mm
圧縮比 10.3
最高出力 9.4PS/7000rpm
最大トルク 1.0kg-m/6000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 5.5L
キャスター角/トレール 25度50分/77mm
変速機形式 Vベルト無段変速
ブレーキ形式 前・後 ディスク・ドラム
タイヤサイズ 前・後 100/90-10・100/90-10

DETAIL

画像: 精悍で、印象的なフロントマスク。大きな導光タイプのポジションランプ、ヘッドライトともにLEDを使用して個性と上質さを強調。

精悍で、印象的なフロントマスク。大きな導光タイプのポジションランプ、ヘッドライトともにLEDを使用して個性と上質さを強調。

画像: エンジンは空冷で、環境に優しいSEPユニットを採用。パワーは9.4PSだが、軽量な車体をキビキビと走らせるうえ、省燃費も達成。

エンジンは空冷で、環境に優しいSEPユニットを採用。パワーは9.4PSだが、軽量な車体をキビキビと走らせるうえ、省燃費も達成。

画像: リアサスペンションはコンベンショナルな2本ショックを採用。ばねを不等ピッチとすることで、しっかり踏ん張る設定としている。

リアサスペンションはコンベンショナルな2本ショックを採用。ばねを不等ピッチとすることで、しっかり踏ん張る設定としている。

画像: アドレスV125同様、フロントタイヤは10インチで、小径ならではのクイックなフットワークを重視。ブレーキはシングルディスク。

アドレスV125同様、フロントタイヤは10インチで、小径ならではのクイックなフットワークを重視。ブレーキはシングルディスク。

画像: シート下のラゲッジスペースは容量十分。ヘルメットやバッグなどを気軽に放り込める、開口部の大きさがポイントだ。

シート下のラゲッジスペースは容量十分。ヘルメットやバッグなどを気軽に放り込める、開口部の大きさがポイントだ。

画像: 一体型の大きな液晶デジタルメーターを採用。十分な見やすさを得られるサイズの液晶だ。夜間照明は見やすさにこだわったアンバー。

一体型の大きな液晶デジタルメーターを採用。十分な見やすさを得られるサイズの液晶だ。夜間照明は見やすさにこだわったアンバー。

画像: 給油口はスズキの国内向けスクーターとしては初となるフロント配置。右サイドには、クラス初のUSB充電ソケットが備わる。

給油口はスズキの国内向けスクーターとしては初となるフロント配置。右サイドには、クラス初のUSB充電ソケットが備わる。

画像: テールランプはストレートタイプのLEDを採用。通勤快速モデルらしく、リアキャリアはしっかりしたものが標準装備となっている。

テールランプはストレートタイプのLEDを採用。通勤快速モデルらしく、リアキャリアはしっかりしたものが標準装備となっている。

RIDING POSITION(身長:176cm・体重:62kg)

低めのフロアボードで足元の窮屈さはないが、走り続けているとシート形状の関係で腰が前にズレてくるのが気になる。シート高は760㎜で、このクラスでは標準的。シート下スペースの容量を考えれば妥当なところ。

画像1: RIDING POSITION(身長:176cm・体重:62kg)
画像2: RIDING POSITION(身長:176cm・体重:62kg)

撮影/南 孝幸、森 浩輔 

 

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