SS600をメインクラスに行なわれているアジア選手権ですが、もうひとつ注目の高いクラスがあります。それがAP250(=アジアプロダクション250)クラス。日本ではJP250(=ジャパンプロダクション250)として行われている、市販250ccスポーツをベースに行なわれているプロダクションクラスですね。

画像: マニュアルテックカワサキのNinja250 第2戦オーストラリアでは表彰台をゲット!

マニュアルテックカワサキのNinja250 第2戦オーストラリアでは表彰台をゲット!

画像: ランキングトップを行くアストラホンダのCBR-RR このクラスのキングです

ランキングトップを行くアストラホンダのCBR-RR このクラスのキングです

現在、このクラスには3メーカーのモデルが参加していて、それがホンダCBR250RR、ヤマハYZF-R25、そしてカワサキNinja250。Ninja250はこの春発売されたばかりの、Ninja250シリーズでいえば3代目に相当するモデル。ライバル中では最新モデルです。
その次に新しいのがCBR、そしてR25――スズキは市販モデルに相当するクラスがあるものの、レース使用を考えていないGSX250Rをラインアップしていて、そのうちGSX-R250(車名に「R」のつく位置が違うのね)が発売されるんじゃないか?って言われています。

そのAP250、昨年のこの鈴鹿大会ではちょうどCBR250RRが発売されたタイミングだった、ってこともあって、注目度がものすごい高かった! 日本からも、ベテラン小山知良をはじめ、このAP250の初代チャンピオンの山本剛もCBRで走っていたし、シーズンの半分勝ったケイリー・サリムもCBR、そこに立ち向かうヤマハタイランドのエース、アヌパブ・サムーンとかね。
<去年のアジア選手権・鈴鹿大会の模様はコチラ→https://www.autoby.jp/_ct/17083454>
そこに、今年はNewNinja250が発売されたんですが、昨年のホンダCBR勢のような攻め込み感はなし。今大会ではAP250クラスのエントリー33台中、Ninjaは4台。うち1台はトリックスターレーシングからワイルドカード参戦の山本ですし、SICジュニアZKレーシングは新チーム。SICはセパン・インタナショナル・サーキット、MotoGPではmoto3クラスで佐々木歩夢が走っているチームですね。昨年からの継続チームは、SS600のトップチームであるマニュアルテックカワサキで、そのライダーであるアンディ・ムハマド・ファドリが孤軍奮闘、って感じ。第2戦オーストラリアでは3位表彰台にも立ちました。
今シーズン、このAP250クラスに日本人ライダーのフル参戦はTeamOneForAllヤマハの鈴木孝志のみ。その鈴木は、全日本選手権J-GP3クラスにも出場していて、けっこう面白い経歴の持ち主。何でも、鈴鹿8耐に「ヤング割」で観戦に来て、レースの面白さにドハマりし、バイク買ってハイエース買ってレース始めて、いま6年目――そんなキャリア。いつかじっくり話してみたいキャラですね。

そのため今シーズンのAP250は、CBR250RRの天下になっています。ニューモデルで1シーズン戦って2年目、となるとマシンの実戦開発の十分なタイミングですから、この強さ、速さもさもありなん。速すぎるよ、ってんで今シーズンのCBR250RRはウェイトハンディを背負わされています。
ここまでの2戦4レースでは、開幕戦レース1でヤマハのエース、サムーンが優勝! しかし続くレース2では女性ライダーであるムクラダ・サラプーチ(APホンダタイランド)、第2戦はレーザ・ダニカ・エーレンス(アストラホンダインドネシア)がWウィン。

画像: ブッチギリの速さを見せたレーザ・ダニカ・エーレンス ここまで3勝、ランキングもトップです

ブッチギリの速さを見せたレーザ・ダニカ・エーレンス ここまで3勝、ランキングもトップです

そのレーザ・ダニカが、この鈴鹿でぶっちぎりの速さを見せました。レース1では序盤から抜け出してぐんぐん2番手以下を引き離して独走。ダニカの3秒、4秒、5秒後方の2番手グループにはムクラダをはじめ、ファドゥリのNinja、サムーンのR25がつけるものの、周回が進むほどにホンダ勢が前に出つつ、マリオ・スリョ・アジ(アストラホンダ)、ムクラダ、アーウィン・サンジャヤ(アストラホンダ)、その後方にファドゥリのNinja、サムーンのR25というポジション。

画像: これたしかレース1の1周目 ここからぐんぐん差をつけます

これたしかレース1の1周目 ここからぐんぐん差をつけます

画像: 44ムクラダを先頭に198アーウィン、16マリオ、108ファドゥリ、35クリチャポン、500サムーンによる2番手争い

44ムクラダを先頭に198アーウィン、16マリオ、108ファドゥリ、35クリチャポン、500サムーンによる2番手争い

結局、ダニカが後方に5秒以上の差をつけて独走優勝! APといえば、最終ラップの最終コーナーでのごちゃごちゃがおなじみですが、ここでファドゥリが転倒、そのあおりか、ムクラダとアーウィンのCBRがポジションを落とし、2着にサムーンのR25、3位にアジのCBRが入りました。


日曜のレース2でも、またも1周目からダニカがスパート。2番手以下との差をぐいぐい広げて、どんどん先行します。昨日のレース1の再現?いやそれ以上のペース!
「オープニングラップから速いのは、とにかくバイクを信じてプッシュしてるから。ほかの人のことなんて、気にしている余裕はないんです」とダニカ。
2番手集団は、ファドリ、サムーン、ムクラダらの大集団で、トップを逃げるダニカ、それを5秒、6秒、7秒後方から追い上げる10台以上の2番手大集団、というレース1同様の図式ですね。ここから周回ごとに2番手集団の数が減って、ムクラダも序盤に転倒で戦列を去ることになります。

画像: 2周目にはもうこの差!ダニカ速い!強い!ミスもない!

2周目にはもうこの差!ダニカ速い!強い!ミスもない!

画像: 混戦のAP250だけに、これトップ争いに見えますが、ずーいぶん先にダニカがいるんです

混戦のAP250だけに、これトップ争いに見えますが、ずーいぶん先にダニカがいるんです

しかし、土曜のレース1と違っていたのは、カワサキNinjaの力走。ファドリは2番手集団を終始リードし、マリオ・アジ、アーウィン・サンジャヤのアストラホンダ勢、サムーン、ピラポン・ブーンラットらのタイランドヤマハ勢を押さえ込みます。

画像: まさに孤軍奮闘だったファドリ しかしデビューシーズンとしてはいい速さもってます!

まさに孤軍奮闘だったファドリ しかしデビューシーズンとしてはいい速さもってます!

けれど、ファドリの力走もレース中盤まで。終盤にはマリオに先行を許し、レースは3位フィニッシュ。オーストラリア大会のレース1に続く、今シーズン2度目の表彰台ですね。
「今年はバイクが新しくなって、エンジンパワーも増えたし、ハンドリングもよくなった。でもまだまだ開発していかないと、ダニカのホンダと戦えないよ」とファドリ。デビューイヤーで、最強CBRにここまで立ち向かえるとは、ニューNinjaのポテンシャルも期待大、ですね。
最終的に2レースともCBR+ダニカの独走に終わった鈴鹿大会ですが、熟成きわまるヤマハ勢、ベースモデルのポテンシャルが一気にアップしたカワサキ勢と、まだまだお楽しみはこれから! あとはスズキがここに割って入ると、もっともっと面白くなるんだけどなぁ!

写真・文/中村浩史

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