モトクロスウエアにも、そのカットやシルエットに流行廃りがある。90年代にはフリースタイルをイメージさせる太いバギーパンツが出てきたり、近年でも80-90sのオールドルックが流行ったりしてきた。そして今の流行と言えば、ピタピタ系スリムウエアだ。
コンプレッションウエアを彷彿するピタ系
こちらが、19モデルの先行型としてリリースされたアルパインスターズのスーパーテックシリーズ。ヴィジョンリミテッドモデル。見ての通り、ピタピタ。昔から、トライアルはその競技が必要からピタピタの上下を着用し、さらにはワンピースモデルへと進化した。
モトクロスウエアでも、このアルパインスターズが最初ではなく、すでに数年前からピタピタのウエアがリリースされている。どのブランドのモデルも、伸縮性のある新素材を使っていて、ライディングを妨げるどころか、競技モデルとしての性能が非常に高い。モトクロスウエアは、コットンやレザーが化学繊維に置き換えられてから、長らく進化する隙間すら考えついていなかっただろう。つまり、おおよそ40年ぶりに訪れたイノベーションというわけだ。
正直なところ、そこまでパツパツで着れるかというと、年齢によっては体格も気になるところ。JNCC鈴蘭で早速このウエアをデビューさせた釘村忠で言うと、こんな余り具合。ピタピタにしても、肩の部分にアクションプリーツが入っているので、動きにくさを感じることはなさそうだ。
それでも、ライディングする姿はスマートでカッコイイ!!
釘村によれば「今日はかなり暑くなったのですが、ジャージ・パンツともにメッシュ素材の面積がすごく多いので、汗っかきの僕でもほとんど汗をかかず、爽快に走ることができました。脇の下や膝の裏など、特に汗をかきやすい箇所にメッシュが配置されているので、効果的だと思います。あと、とにかく軽いですね。ジャージとパンツを合わせても、他モデルのパンツだけと同じくらいの重量に感じます。長時間のレースではぜんぜん疲れかたが変わってくると思いました。体にピタッとフィットする作りですが、伸縮性のある素材が使われているので、違和感はありません。余裕が欲しい人はワンサイズ上を選んでみてもいいかも知れませんね」
と言う。実は僕、稲垣もこの手のハイエンドウエアを1年着ていたことがあって、最初違和感を感じることがあった。特にヒザ周りまでスリムに作られているので、気になるライダーは特にパンツをワンサイズ上げる必要があるのかもしれない。
全日本モトクロスのトップランカーで言えば、山本鯨が小さなサイズを選んでいるとのことで、Sサイズを着用しているとのこと。
Off1.jpでも紹介したIBクラス瀬川開生は、たぶん全日本モトクロスでもっともピタ系。見ての通り、スーパースマート。アメリカでは、この手のピタ系が大流行していて、特にユースライダーは引き締まった体を見せつけるようなウエアばかりが並ぶ。アメリカでのモトクロス生活が長かったので、着こなしもアメリカ式といったところなのか…。
釘村忠のように、普通サイズで着用すればそこまで体型が露わになることもないだろう。でも、せっかくならジャージはワンサイズもしくはツーサイズ小さめを選んで、アメリカチックにスタイリングしたい。
ハイエンドプロダクトなので、正直コスト高。それでも、きっとその着心地を体験したら、もう戻れなくなること請け合い。