最新の電子技術は、もはやオートバイの進化のトドメのように思えてくる。トラコンがあれば滑らないし、転倒しない。パワーは満足できるだけ引き出せるじゃないか。

ところが、最近のオフロードタイヤの趨勢を見ている限り、オートバイはまだまだ進化の余地があるんだと思い直せる。それほどまでに通称「ガミータイヤ」は、オフロードバイクの革命を起こしているのだ。

見よこの柔らかさ!

画像: ガミータイヤを世の中に知らしめた、IRC ix-09wゲコタ。たぶん、世の中のブロックタイヤで一番柔らかい(当社触った比)

ガミータイヤを世の中に知らしめた、IRC ix-09wゲコタ。たぶん、世の中のブロックタイヤで一番柔らかい(当社触った比)

ガミータイヤというのは、タイヤのコンパウンド(ゴム)を思い切り柔らかくして、ざっくり言うと地面との接地面積を大きくとれるようにした特殊なタイヤだ。ただ接地面積を拡げるだけでなく、柔らかなゴムが路面を「掻く」ことに加えて、路面を「掴む」ように作用する。トライアルのタイヤがまさにそういった設計をしているのだけれど、ガミータイヤは「オフロード全般に使えるように、トライアルタイヤとオフロードタイヤをミックスさせた」と表現できるかもしれない。

※ソフトタイヤ、という表現は完全な誤り。オフロードタイヤは、ソフト〜ハードと区分されるけど、これは路面のソフト・ハードを指す。実際にはソフトタイヤのゴムは固く、ハードタイヤのゴムは柔らかい

ガミータイヤを日本中に蔓延させたのは、明らかにIRC社。ix-09wゲコタの登場は、世のオフロードバイク乗りを震撼させた。なんせ、それまでの常識を覆すグリップ力だったからだ。それまで上れない場所が、タイヤのおかげで上れるようになった。

なお、この流れは世界でも時期を同じくしており、世界最難のハードエンデューロであるエルズベルグロデオをはじめとして、多くの難レースがガミータイヤの登場のせいで、コースの難易度を上げざるを得なかった。2015年のエルズベルグロデオは、難しくしすぎて事実上のフィニッシャーが出なくなってしまうという事件が発生。つまり、タイヤのイノベーションに、競技がついていけなくなった瞬間だ。

だが、当然コンパウンドを柔らかくすれば、失うモノは大きい。
タイヤが柔らかいことは、コーナリングでのたわみに耐えられないことを意味する。ix-09wゲコタは、とかく極所戦闘的タイヤだった。「スピードが出るコースでは、使用できない」という、弱点があったのだった。

で、ガミータイヤは第二世代へ突入する

画像1: で、ガミータイヤは第二世代へ突入する

タイヤのイノベーションは、ハードエンデューロの人気に火を付けた。

2018年現在、日本ではハードエンデューロのシリーズが増加中で、日本のハードエンデューロの基幹をなすシリーズの一つ、CGCの開幕戦さわやかクラスは8分で参戦締め切りがされたと言われている。

ハイスピードコーナリングでの腰砕け問題を、いかに解決するか。IRC開発陣は、2017年その対応策の最終テストに入った。

画像2: で、ガミータイヤは第二世代へ突入する

アメリカ、テネシー州でおこなわれる北米最大のハードエンデューロ、通称TKOへの参戦だ。苔むした涸れ沢が見所になるこのレースは、とてつもなく路面グリップが悪い。さらに、スピードも必要になるということで、日本のハードエンデューロランカー、高橋博・和泉拓が開発先行のタイヤを履いて挑むことになった。

画像: 高橋の川のぼりセクション。十分なグリップに手応えを感じた

高橋の川のぼりセクション。十分なグリップに手応えを感じた

画像: 過酷なTKO!

過酷なTKO!

これがあれば、どこへでも…!

画像: これがあれば、どこへでも…!

というわけで、TKO参戦の甘酸っぱい夏のエッセンスをぎゅっと詰め込んだのが、このVS-33sゲコタだ。

VEシリーズは、特に九州地方を中心に「雨の日はVE-33」と太鼓判をされるロングセラータイヤだ。オフロードバイクのタイヤは、わりと短い数年スパンでモデルチェンジされていくのが通例だが、このVE-33は数十年高い評価を得てきている現役のタイヤ。というのも、いわゆるサーキットでの走行を中心に開発されたモトクロスタイヤとは異なり、オフロード全般をターゲットとしている。そのためか、ブロックの高さは他に比類なく、この高さとブロックの剛性が、圧倒的にエンデューロの世界で支持されてきたのだった。

今回の新ガミータイヤVE-33sゲコタは、このVE-33を踏襲しているが、完全に新設計されたブロックパターン。金型を流用してコンパウンドを変えたようなものではなく、形こそ似ているけれど、オールニュー。加えて、ガミータイヤの「どこでも上れる」グリップ力と、コーナリングでの腰の強さを合わせ持っている。つまり、オフロードで遊ぶならこのコンセプト以上にオールマイティなタイヤは無いって事だ。

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