進化したトータル性能、ロードからサーキットまで対応!
今回セパンで試乗をしてきた『ディアブロ・ロッソ3』は、『ディアプロ・ロッソ2』の後継にあたるモデルで、実用性の高い汎用ハイグリップタイヤというキャラクターを与えられている。普段はストリート、峠道で使っていて、たまにサーキットをスポーツ走行するようなイベントに、そのまま行っても十分なグリップ力を発揮するというものだ。
汎用性が強化されているスポーツタイヤだが、ロッソ2に対して全ての使用状況下での性能が向上しているというのがセールスポイント。ライフが伸び、ウェット性能が上がり、高速安定性やスポーツハンドリング(旋回性とか軽快さと説明していた)もだ。
そのため、リアタイヤには耐久性のある70%シリカのコンパウンドをセンターに、ウエット&ドライのコンディションを選ばずハイグリップを発揮する100%シリカのコンパウンドを両サイドに配置。フロントは全トレッドにこの100%シリカのコンパウンドを使うんだが、その配合シリカ自体もこれまでとは大幅に変更されており、素早い暖気とウェットグリップを手に入れたそうだ。
また、タイヤプロファイルも変更されている。セミレーシングに近いスポーツタイヤ、『スーパーコルサ』のように、リアはトレッドサイドが横に張り、フロントはセンターが高くなりサイドに回り込む形状に。フロントの動きが軽くなり接地面積も広がるので、リーンに合わせて舵角も入りやすくなってるし、トラクションも発揮しやすい。変更箇所をざっくりと説明するとこんな感じだ。
試乗地、セパンで試してみたのはBMWのS1000RRと、アプリリアのRSV4、それにスズキGSXーF1000。200㎞/hほどでの車線変更では、S1000の場合は重く、粘るような動きになる。RSV4では少し軽快になって、コーナリング中の身のこなしもシャープになる。GSXーFも同様の変化だが、直進時、ハンドルが軽く、外乱の影響を受けやすくなった。増大したリアのトラクションと、かかるフロント荷重の違いによる感触の違いだろうが、フロントが軽めのバイクではより軽快に、重いバイクでは粘りが増す傾向のようだ。
その全機種に共通するはっきりとした特徴はコーナリング中の優秀な接地性。つまりグリップ力。ロッソ2と比べると、粘り着くような感触が増しており、S1000やRSV4の深いアングルのフルバンクに十分に耐える。ロッソ2に対してだけでなく、このクラスのスポーツタイヤの中では1、2を争うグリップ力だ。トラクション・コントロール機能を解除して、旋回中にオーバーパワーをかけても、滑り出しがわかりやすく、唐突な印象はなかった。その粘着系の接地感を維持したまま、ズルズルし始める。そんな感じだ。コーナーリング前半のフロントからの回頭性もいいし、バンク中のライン変更などは、その粘るような接地感から想像できない軽さで安定して行なえる。上級スポーツタイヤの『スーパーコルサ』にもよく似た運動特性で、リーンしてるのが楽しいと感じる。これはこのタイヤ最大の魅力だ。しかもアブレーションも抑えられており、オールマイティなスポーツタイヤらしい耐久性もみせた。
スーパースポーツだけでなく、スポーツネイキッドでワガママに使っても、使い勝手のいいタイヤだ。
[ DIABLO ROSSO III サイズ表 ]※価格はオープンプライス
FRONT
110/70 ZR 17 M/C (54W) TL
120/60 ZR 17 M/C (55W) TL
120/70 ZR 17 M/C (58W) TL
REAR
150/60 ZR 17 M/C (66W) TL
160/60 ZR 17 M/C (69W) TL
180/55 ZR 17 M/C (73W) TL
180/60 ZR 17 M/C (75W) TL
190/50 ZR 17 M/C (73W) TL
190/55 ZR 17 M/C (75W) TL
200/55 ZR 17 M/C (78W) TL