急遽決まった参戦、その舞台裏は…??
来週末に開催される「ボルドール24時間耐久」でスタートする、2016-1017年シーズンの世界耐久選手権。先日お伝えしたように、フル参戦を表明しているF.C.C. TSR HONDAが、参戦発表記者会見の場で急遽、ライダーのひとりに伊藤真一さんを起用することを発表しました。
F.C.C. TSR HONDAの総監督・藤井正和さんは、「記者会見の当日に伊藤に電話して決めた」と言っていましたが、ライダー起用ってそんな突然に決まるものなのでしょうか(笑)。
タイミングの良いことに、オートバイ本誌の連載企画『ロングラン研究所』の取材で、出発直前の伊藤さんにお会いした我々。
せっかくなので、伊藤さんの参戦がどんな風に決まったのか、改めて聞いてみました。
初の挑戦となる24時間耐久、1人8時間の走行となるが…
ーTSRホンダからボルドール24時間への参戦は、本当にいきなり決まったんですか?
伊藤「そうそう。藤井さんから突然電話がかかってきて、来週からスケジュール空いてるかって聞かれて。でも俺、ホンダ系ライダーのアドバイザーを務めてる、全日本選手権のテストが来週に入ってたのね。だからそれを伝えたら、『よし、ホンダに掛けあって、休む許可が出ればいいんだな』って(笑)。次に電話かかってきた時には、もう『ホンダの許可取れたぞ』って報告で、参戦が決まったんだよね」
ーそんなに突然の決定で、気持ちも身体も準備は大丈夫だったんですか?
伊藤「ちょうどいいことに、最近ちょっと怠けていたけど、身体を絞ろうかなってジムに行き始めてたタイミングだったんですよ。だから、まあ大丈夫だろうと。でも、受けてから気がついたんだけど、24時間耐久でライダーが3人だから、一人で8時間走るんだよね。今まで8時間も走ったことないけど、ちゃんと走れるのかな(笑)」
ー1人で8時間は相当ハードですよね。
伊藤「燃費の関係もあって、1スティントで1時間50分くらい走るはず。レーススピードでそんなに連続して走ることなんてまずないから、未知の経験だよね。マシンは壊せないから、転べないし。でもたぶん、後半の方がラクだと思う。8耐でも、2人体制だと1人で4スティントを走るんだけど、1回め2回めより、3回め4回めの方がラクなんですよ」
ー後半の方がラクとは意外です。
伊藤「たぶん身体が慣れるんでしょうね。まあ、2年ぶりのレースで体力は多少落ちてるけど、どうにかなるでしょ。8耐は本当にハードなので、出るとなったら3ヵ月くらいかけて身体を作るんです。今回はまだ一週間くらいしか身体を作れてないけど、暑さと湿気がないだけで全然違うからね。走ってみないとわからないけど、表彰台には乗りたいな」
出発前準備でバタバタの状況の中、取材に対応してくださった伊藤さんですが、24時間耐久への参戦を、気負わずに、でもかなり楽しみにしているようでした。
オファーを受けた時の正直な気持ちは?と聞いたら、「外国好きだし、海外のレースに行けるならいいかな〜って」だそうです。さすが大物ライダー、肝の座り具合が半端じゃないです。
12日早朝の便でマルセイユに向かうという伊藤さん。
9月17日、18日にかけて行われるボルドール24時間、TSRホンダの吉報を楽しみに待ちたいと思います!