カフェスタイルに大変身した空冷スポーツの雄

いまや貴重な空冷4気筒を搭載するビッグネイキッド、XJR1300をカフェスタイルにアレンジ、昨年末のミラノショーで話題となったXJR1300Cがついに日本上陸を果たした。スポーティながらも斬新なフォルムも気になるが、走りはどう変わったのか、早速試乗チェックしていこう。

画像: 基本的な走りのテイストは国内仕様のXJR1300と同じ。素直なフットワークや取り回しのしやすさもほぼ同じだが、欧州仕様のエンジンによる、中域でのパワーの伸びやかさがスポーティさを一層輝かせている。

基本的な走りのテイストは国内仕様のXJR1300と同じ。素直なフットワークや取り回しのしやすさもほぼ同じだが、欧州仕様のエンジンによる、中域でのパワーの伸びやかさがスポーティさを一層輝かせている。

伸びやかな欧州仕様のパワーも大きな魅力!

 XJR1300Cは、その姿がミラノショーで発表されて以来、独特の世界観を主張する、個性的なビッグNKとして注目を集めてきた。見ての通り、ビンテージ・カフェレーサーのイメージをベースにしたデザインだが、そのテイストが面白い。トライアンフのスラクストンが正統派ビンテージ「カフェ」テイストなら、こっちはヤンチャな荒くれ者。かつてマイルのトラックを駆けていたダートトラックレーサーの香りもする。
 そうだ! ひととき「トラッカー」と呼ばれて街中で多く見かけたカスタムや、最近ではドゥカティのスクランブラーといったストリートカスタムに近いテイストだ。実車を見て、触っているうちにそう思えてきた。
 ただ、このXJRの中心には存在感抜群の空冷4気筒エンジンがある。ボリュームがある分、さすがに迫力が違う。バイクの「顔」になるタンクは樹脂製で、金属プレスでは不可能な起伏と滑らかさを両立した美しい造形だ。これがまたビッグバイクらしい高級感を増幅させている。
 
 遊び心満載のオシャレなルックス…。ありそうでなかったファッショナブルなビッグNK、それがこのXJR1300Cだ。しかし、そのプラットフォームは熟成の進んだXJR1300のもの。骨格、エンジン、足回りは昨年型の輸出仕様とほぼ同じだ。これで使い勝手が悪いわけがない。
 ハンドリングの基本的な特性は国内仕様とほとんど同じ。微妙に違うのが中回転以上でのエンジンの表情。もともとXJRは見た目は迫力いっぱいのバイクながら、その軽快な身のこなしや、クセのない素直なハンドリングなのが魅力。400クラスに乗っていたライダーなら、何の躊躇もなく軽快なフットワークを楽しめる。
 特に、80km/h以下で身のこなしが軽く、ツーリング、ストリート、それに峠道でも使いやすいし、意外と速い。また、エンジンもすばらしく滑らかなので、ビッグバイクビギナーにも薦められる扱いやすさがある。
 
 このエンジンには強力なトルクがあり、力量感はクラスの中でもトップレベル。ただ使いやすいだけでなく、ビッグバイクらしさも楽しめる。トップの5速・70km/h以下に相当する極低回転域でブルブルとした振動はあるが、この速度を境にぴたっと止まり、120km/h以上からは力強い唸りを発する。回転数にすると5000回転で、ここから上が明確なパワーバンド。9000回転あたりまでパワーを増大させ続け、その後もゆるりと伸びる。この高回転域は国内仕様より格段に強力だ。
 個性的でオシャレな外観が一番の魅力になるだろうが、XJR1300Cの魅力として、輸出仕様ならではのパワーフィールも挙げておきたい。扱いやすさは同じだが、その表情が少し違うだけで、随分とエキサイティングな雰囲気を楽しめる。
 これまで、あまり逆輸入車が入ってこなかった機種だけに、その力強さ、快活な吹けにも感激した。元気の良さも、このバイクの魅力のひとつに加えられると思う。

画像: 欧州では「ヘリテイジスポーツ」というカテゴリーに入るXJR1300C。Cは「カフェ」の意味で、これまでの大柄なフォルムをコンパクトで精悍なカフェレーサースタイルに変貌させている。ボディカラーは3色。

欧州では「ヘリテイジスポーツ」というカテゴリーに入るXJR1300C。Cは「カフェ」の意味で、これまでの大柄なフォルムをコンパクトで精悍なカフェレーサースタイルに変貌させている。ボディカラーは3色。

画像: もはや円熟の域に達している空冷4気筒・1250ccエンジン。南アフリカ仕様だが、エンジンは欧州向けが搭載されており、国内モデルとは違うパワー感を楽しませてくれる。

もはや円熟の域に達している空冷4気筒・1250ccエンジン。南アフリカ仕様だが、エンジンは欧州向けが搭載されており、国内モデルとは違うパワー感を楽しませてくれる。

画像: フロントフォークはインナーチューブ径43mmの正立。セッティングは通常のXJRと同じものだが、インナーチューブにはDLCコーティングが施され、作動性をより高めている。

フロントフォークはインナーチューブ径43mmの正立。セッティングは通常のXJRと同じものだが、インナーチューブにはDLCコーティングが施され、作動性をより高めている。

画像: XJRの大きな魅力、リアショックは引き続きオーリンズ製を採用。つや消しにブラックアウトされたマフラーは4-2-1タイプの集合タイプ。エキパイもマットブラック仕上げだ。

XJRの大きな魅力、リアショックは引き続きオーリンズ製を採用。つや消しにブラックアウトされたマフラーは4-2-1タイプの集合タイプ。エキパイもマットブラック仕上げだ。

画像: タンクサイドからはみ出る空冷のヘッドが機能美を主張。可能な限りスリムなフォルムを目指した結果、タンクの素材はスチールから、成型の自由度の高い樹脂へと変更された。

タンクサイドからはみ出る空冷のヘッドが機能美を主張。可能な限りスリムなフォルムを目指した結果、タンクの素材はスチールから、成型の自由度の高い樹脂へと変更された。

画像: ヘッドライトは180mm径のマルチリフレクターライトに変更。ライトケースもブラック仕上げとして「小顔」を演出する。ハンドルバーもテーパータイプのものに変更された。

ヘッドライトは180mm径のマルチリフレクターライトに変更。ライトケースもブラック仕上げとして「小顔」を演出する。ハンドルバーもテーパータイプのものに変更された。

画像: テールカウルを落としたようなリアデザインを採用、合わせてシートレールも10cm短くすることで車体のコンパクト化に成功。テールランプも小ぶりなLEDライトに変更された。

テールカウルを落としたようなリアデザインを採用、合わせてシートレールも10cm短くすることで車体のコンパクト化に成功。テールランプも小ぶりなLEDライトに変更された。

画像: 機能面は基本的に従来のXJR1300と同様だが、メーターの文字盤をレトロなものに変更。ライトケースも新たにマットブラック仕上げの2段階テーパーデザインとなっている。

機能面は基本的に従来のXJR1300と同様だが、メーターの文字盤をレトロなものに変更。ライトケースも新たにマットブラック仕上げの2段階テーパーデザインとなっている。

画像: スポーティさと上質さの両立を狙い、シングル風のシートはハーフパンチ表皮やステッチにこだわった逸品。アルミ製サイドカバーはレトロムードあふれるゼッケンプレート調。

スポーティさと上質さの両立を狙い、シングル風のシートはハーフパンチ表皮やステッチにこだわった逸品。アルミ製サイドカバーはレトロムードあふれるゼッケンプレート調。

撮影:赤松孝、南孝幸

ヤマハ XJR1300Cの基本情報、スペック
寸法・重量
全長/全幅/全高mm 2190/820/1120
ホイールベースmm 1500
最低地上高mm 133
シート高mm 829
キャスター度 24度40分
トレールmm 92
車両重量 kg 240
エンジン・性能
種類 空冷4スト並列4気筒
弁形式 DOHC4バルブ
内径×行程mm 79×63.8
総排気量cc 1251
圧縮比 9.7
最高出力kW/rpm 71.9(97.8PS)/8000
最大トルクN・m/rpm 108.4(11.1kg-m)/6000
燃料供給方式 電子制御燃料噴射
点火/始動方式 フルトランジスタ/セル
燃料タンク容量L 14.5
サスペンション
前 テレスコピック
後 スイングアーム
ブレーキ
前 φ298mmダブルディスク
後 φ267mmディスク
タイヤ
前 120/70ZR17
後 180/55ZR17
価格
標準現金価格 135万円
問い合わせ先 プレストコーポレーション(03-5419-8231)

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