テールスライドが自由自在! オフロードで攻めて楽しめる
アドベンチャーモデルでのオフロード走行は「控えめ」「抑え気味」となるものだが、これほどにまでアグレッシブに楽しめるとは驚きとしか言いようがない。リアタイヤが滑り出し、フロントタイヤをカウンター気味に当てるような走りをしても冷静にコントロールしていられる。アクセル開度とテールの流れるイメージが一致し、大柄な車体を忘れさせてくれるほど夢中になって楽しめるのだ。
試乗車はフロント19インチのKTM1190アドベンチャー。ダートランに対する資質がクラストップレベルに高いのは疑いようがないが、21インチを履く「R」にくらべると、コーナーではフロントをすくわれないよう充分に気をつける必要がある。しかし、前タイヤのブロックが砂利や土にしっかり食い込む接地感があり、フロントに荷重をかけてリアを遊ばせる感覚を恐怖心なく得られるから、テールを流して面白いようにコーナリングできる。「オフロードでの性能にこだわった」という技術者の言葉に嘘はない。
雨の中、乗り込んだのは、栃木県栃木市にあるプルービングランド。オン・オフさまざまな状況が試せ、四輪車の開発などにも使われる実験・テストコースで、都内から高速道路を使った片道100㎞強の道のりも含めて、ツーリングを想定しつつ往復したが、難なくこなすどころか、ブロックパターンのタイヤを履いていることを忘れさせてくれるほど乗り心地もよかった。
これまでミシュランでは、アドベンチャーモデル向けに2つのモデルがあり、完全なオンロードユースを前提とした「パイロットロード4トレール」と、たまにはオフロードも楽しみたいという使い方に向けた「アナキー3」があった。オン・オフ比率でいうと、前者が100%ロードなら、後者が9:1、今回のアナキーワイルドは5:5という説明を受けたが、その五分五分というのは両方でかなりレベルが高い。オフロードでの感動からまず伝えたが、アスファルトの上でもネガな部分はまったく見当たらなかった。
1800mの周回路では、ウェットにも関わらず様々な速度を試したが、不安を感じることはまったくなく、オンロードタイヤを履いているのと、さほど変わりない安定感が感じられた。最大傾斜角45度のバンクでも、ブロックパターンのタイヤとは思えないほどショルダー付近のグリップ感がしっかりあり、高速でバイクを寝かせてもリアタイヤがよれるようなことがない。これはオフロードタイヤでありながらラジアル構造を採用していることや、エッジ付近の2つのブロックをブリッジによって繋いだことにより剛性を向上させている効果だ。ノイズも少なく静粛性も申し分ない。
この高いオンロード性能なら、ダートへ行くまでの高速道路移動を含めた行き帰りもストレスなく安全に走れるし、ルックスでもオフロードを楽しんでいることをアピールできる。せっかくのアドベンチャーだから、もっともっとオフロードを楽しみたいっていう人には待望のタイヤだと言える。
<TIRE GUIDE> ブロックタイヤなのにラジアル構造を採用!
ブロックパターンの採用によって、高いオフロード性能を確保したのはもちろん、ブロックタイヤでは初採用となるラジアルテクノロジーを用いて、オンロードでの安定性と快適性を実現。ブロックとブロックの間にブリッジを配置することで剛性を高めたほか、ラウンドショルダーのプロファイルなどに工夫を凝らすオン/オフタイヤだ。
◆ミシュラン アナーキーワイルド サイズ表
■フロントタイヤ
110/80 R19 M/C 59R TL/TT※
120/70 R19 M/C 60R TL/TT
90/90-21 M/C 54R TL/TT※
■リアタイヤ
130/80-17 M/C 65R TL/TT※
140/80-17 M/C 69R TL/TT※
150/70 R 17 M/C 69R TL/TT※
170/60 R 17 M/C 72R TL/TT
※発売予定
■問い合わせ先
日本ミシュランタイヤ
http://motorcycle.michelin.co.jp/Home/
☎0276-25-4411
月曜〜金曜(午前10〜12時、午後1〜5時)
※土日、祝祭日除く
(撮影/関野 温)