クラス最強・最軽量を常に目指し続けるトップパフォーマー、GSX-R600の最新型がついに発売開始。9kgもの軽量化とコンパクト化で、走りを一変させての登場だ。
二人乗りも楽しく快適
新型のGSX-R600は、トータルで9kgも軽量化され、外装も一新。フレームは基本レイアウトこそ似ているが、まるで違うディメンションだ。ホイールベースは短くなり、エンジンは搭載角を少し起こし、前寄りに搭載。高い前輪荷重を達成しながら、従来と同じ長いスイングアーム長をキープ。安定性、旋回性、それにリアのスタビリティ向上…と大改良を狙っている。エンジンは内部ポンピングロス低減のため、クランクケースにこれまでより大きな穴を開けている。狙いは力の「増強」よりも「充実」。パワーフィールは相当吟味したという。
その走りはクセがなく、すばらしく扱いやすい。旧型より身のこなしは機敏だが、このクラスの中ではとくに軽快なハンドリングというわけではない。平均的だ。でも、寝かす操作に合わせて生まれる強力な旋回性が、乗り手の意志に対して絶妙なバランスでリニアだったりする。そこからスロットルを合わせて旋回状態にするときの車体の落ち着き、そのスムーズな挙動の移行は絶品だ。
先代も似た特性で扱いやすかったが、新型はもっとよく曲がるし、接地感も上質。どっちがいいかと聞かれたら、やはりコッチである。これはBPFフォークの威力だけではない。色々な変更の「ハーモニー」がこの感触を与えているのだ。相変わらずコーナリング中のギャップにも強く、コースでも峠道でも、寝かして開けるのが楽しい。
ハンドリングでのもうひとつの大きな違いは、超高速度域での切り返しが軽くなっていること。
4速や5速でかなり引っ張るような速度レンジでのハナシだが、そんなときの身のこなしも軽くなっていた。これでサーキットでの戦闘にゆとりが出る。
エンジンは8000、10000、12000回転と階段を上るように力強さが増していく。
中域以上でのパワーの立ち上がり方が強力で、全域でこれまでよりトルクにコシがある感じだ。
これが効いていて、扱いやすさも増している。
このエンジンで最も強力なのは12000~15000回転の領域。パワフルだがスロットルに対する応答が優しいのが魅力。力を制御しやすく、発揮させやすい。
何処でもフルパワーで…つまりS-DMSのパワー切り替えをAのフルパワーモードにして走れる、というか、気がつくとそうやって走っていた。
ちなみに、Bモードは8000回転以上でも急激なパワーの盛り上がりが無く、レスポンスも力そのものも穏やかに感じる。
セミレースタイヤのようなドライタイヤを履いているときに、峠道で雨に降られた…そんなときに重宝する穏やかさだ。
戦闘力が増したのと、扱いやすくなっているのはイコールでない場合もあるが、新型R600についてはイコールだと言えよう。
そして何より、走るのが先代より楽しくなっている。これが嬉しい。
スズキ GSX-R600の基本情報、スペック
寸法・重量
全長/全幅/全高mm 2030/710/1135
ホイールベースmm 1385
最低地上高mm 130
シート高mm 810
乾燥重量kg 187
キャスター度 23度45分
トレールmm 97
エンジン・性能
種類 水冷4スト並列4気筒
弁形式 DOHC4バルブ
内径×行程mm 67×42.5
総排気量cc 599
圧縮比 12.9:1
最高出力kW/rpm 92.5(125.8ps)/13500
最大トルクN・m/rpm 69.6(7.09kg-m)/11500
燃料供給方式 電子制御燃料噴射
点火/始動方式 フルトランジスタ/セル
燃料タンク容量L 17
サスペンション
前 テレスコピック
後 スイングアーム
ブレーキ
前 310mmダブルディスク
後 220mmディスク
タイヤ
前 120/70ZR17
後 180/55ZR17
価格
標準現金価格 126万円
価格について 価格はモトマップ(050-3500-6818)調べ