昨年のミラノショーで登場して以来、世界中のファンからから注目されてきたミドルスポーツ、CBR600Fがついに上陸!早速その仕上がりをチェックしていこう。
スポーティで素直な優等生
1987年に初代が登場したCBR600Fは、扱いやすくスポーティな高性能オールマイティモデルとして大ヒット、欧米で一世を風靡したバイク。歴代600Fの中には同様のコンセプトで誕生していても、ピーキーなエンジンを積む戦闘的なものや、まるでツアラーのようなモデルも存在する。もともと欲張りなコンセプトをベースにしているモデルだけに、その時代によって目指す方向性が色々移り変わってきたわけだ。
では、この新たに登場したニューCBR600Fが目指したものは何だろう。
まず、このバイクにはベースモデルがある。CB600Fホーネット。イタリア生産の、ワイルドかつおしゃれなネイキッドだ。
今度のCBR600Fは、骨格やエンジンはこれをベースとし、外装を一新、足回りの味付けを変更している。VFR調のフルカウルで、イメージはジェントルに変身。車格はふたまわりほど大きく見える印象だ。
乗ってみると、ホーネットよりハンドリングが少し安定性指向になっているが、重い、とか重厚、という感触ではない。手応えが少し重くなっただけで、身のこなしはやはりミドルクラス。十分に機敏な動きができる。旋回性も少し落ちているが、フロント周りの落ち着き、素直さはこっちの方が上。リラックスした気分でいろいろと操作ができる。
ちなみに、このバイクはおろしたての新車だったが、それでも足回りの動きがしなやかで、かつ、しっかりと減衰の効いた節度ある作動をしていた。新車で既に乗り心地がいいのだ。サスに「当たり」がつけば相当快適な足になりそうだ。
しかもこの足回り、峠道でそれなりにスポーティな走りをしても、簡単に破綻することなく車体を支えてくれる。バンク中のギャップにも強いし、強引に俊敏な切り返しを試しても、サスの落ち着きが遅れたり、過度に大きなピッチングが起きたりもしない。懐の深いシャシー、足回りだと思う。
リファインして搭載した、かつてのCBR600RRのエンジンにはスーパースポーツ時代の面影はない。パワーは100馬力そこそこ。1万4000回転あたりまでストレートに回るが、性格はフラットで、中域である7000回転からでも使いやすい強力なトルクがあり、5000回転以下でも結構力強く粘る。
街中から峠道、どこでもすばらしく使いやすい。
このCBR600F、街中からツーリングまで使える扱いやすさや快適さがあり、スポーツしたときにはエントリーライダーからベテランまで満足させる底力付き! そんな欲張りバイクだ。俊足モデルだが、気負わずに使い切れるツーリングスポーツでもある。
大人が持っても飽きのこないジェントルなルックスも魅力。いい意味で「何でも来い」の優等生なのだ。
撮影:南 孝幸
ホンダ CBR600Fの基本情報、スペック
寸法・重量
全長/全幅/全高mm 2150/740/1150
ホイールベースmm 1437
最低地上高mm 135
シート高mm 800
乾燥重量kg 206(211)
キャスター度 25度00分
トレールmm 99
エンジン・性能
種類 水冷4スト並列4気筒
弁形式 DOHC4バルブ
内径×行程mm 67×42.5
総排気量cc 599
圧縮比 12:1
最高出力kW/rpm 75(102ps)/12000
最大トルクN・m/rpm 64(6.53kg-m)/10500
燃料供給方式 電子制御燃料噴射
点火/始動方式 フルトランジスタ/セル
燃料タンク容量L 18.4
サスペンション
前 41mmテレスコピック
後 スイングアーム
ブレーキ
前 296mmダブルディスク
後 240mmディスク
タイヤ
前 120/70ZR17
後 180/55ZR17
価格
標準現金価格 99万円/107万円(ABS)
価格について 価格はワールドスターパッセージ(048-283-6648)調べ