ちょっと前の話だが、編集部員から
「CB1100のシリンダーヘッドカバーパッキンを自分で交換したんですけど、
オイル漏れが止まらないんです」とSOSが来た。
新しいパッキンは用意したと言うので、
取りあえず工具と液体パッキンを持って修理に向かったのでした。
原因を探ると、組み付けミスでパッキンの一部がずれていて、
そこからオイルが漏れていただけ。
![画像1: 液体パッキンの正しい選び方と使い方(安藤佳正)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2016/03/06/b28332d10a4dea1773b70ed8ce6a07fcc20bb317.jpg)
新しいパッキンをきっちり組み付けて直ったんだけど、
作業しながら話を聞いていると、
あまり考えずに店頭で適当な液体パッキンを買っていること、
塗る前に塗布部分を脱脂していないことが判明。
「液体パッキンの選び方と基本的な使い方を知らない人って
結構いるかもね」ということになったわけです。
![画像2: 液体パッキンの正しい選び方と使い方(安藤佳正)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2016/03/06/86202941b5f586a20bfc5717dc8741b776e93da6.jpg)
![画像3: 液体パッキンの正しい選び方と使い方(安藤佳正)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2016/03/06/eedce9ae9fa1d9d4b72cb5842441828d30474980.jpg)
まず液体パッキンを選ぶ時の注意点だけど、
用途に合わせて適性と粘性、色を確認しないといけない。
そ もそも液体パッキンというのは、
隙間を埋めて何かが漏れるのを防ぐためのものだから、
その「何か」に強くないといけない。
使用する部位によって耐ガソリン性、耐油性、耐熱性の有無が
重要になるわけ。これが『適性』ね。
塗る部位によっては、銅および銅合金を侵す性質の有無、
ゴムや樹脂を侵す性質の有無も重要になる。
次に粘性。例えばマフラーのジョイント部分から排気ガスが
漏れているとしよう。スポスポと簡単に抜き差しできるようなジョイントなら、
相応の隙間があるわけだから、粘度が高くてタップリ塗っても
タレ落ちない肉盛り性の良いタイプが向いている。
逆にクランクケースの合わせ目のように、
ボルトを締めるとピッタリ合わさるような面には、
粘度が低くて伸びの良いタイプが向いているわけ。
色は、半透明、白、灰色、黄色、赤などがあるけど、
必ずしも同じ性質で数種類の色がラインアップされているわけじゃない。
似たような性質で色違いの液体パッキンがあるなら、
塗る部位の色に近いものを選ぶというレベルです。
今回のシリンダーヘッドカバーのパッキンに塗るなら、
耐油性があって、ある程度の耐熱性がある、半透明か黒が最適。
エンジンは振動するから、
粘性は中粘度から高粘度を薄目に塗るのがベストですな。
![画像4: 液体パッキンの正しい選び方と使い方(安藤佳正)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2016/03/06/9fc0a18dbe2cda35582b00c0c981c49f8f72531f.jpg)
必ずしもパッケージにすべての情報が書かれているわけじゃないので、
ネットで調べたり、店員に用途を伝えて間違いのない液体パッキンを選ぶこと。
ガソリンやオイル、冷却水といった液体に絡む部位は、
液体パッキンを塗布する前に、パーツクリーナーなどの
脱脂洗浄剤をウエスに含ませて、
塗布面をしっかり脱脂することが大切ですぞ。
![画像: ↑パーツクリーナーを使って脱脂している様子](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2016/03/06/73aa988972698b69c37e5207a008985a371a13f0.jpg)
↑パーツクリーナーを使って脱脂している様子