※この記事はウェブサイト「HondaGO バイクラボ」で2026年3月9日に公開されたものを一部抜粋し転載しています。
まとめ:宮﨑健太郎/写真:南 孝幸
(初出:月刊『オートバイ』2026年4月号)

伊藤真一(いとうしんいち)
1966年、宮城県生まれ。1988年、国際A級に昇格と同時にHRC ワークスチームに抜擢される。以降、世界ロードレースGP(MotoGP)、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。2025年は監督として「Astemo Pro Honda SI Racing」を率いて、全日本ロードレース選手権や鈴鹿8耐などに参戦する。
新型NC750Xが搭載するDCTの仕上がりは完璧

アドベンチャーよりもオンロード寄りのクロスオーバーモデルであることを示す「X」が車名に与えられたNC750Xは、歴代NCシリーズのなかでも私の好みに合うモデルでした。
2025年に登場した新型NC750Xは「マイナーチェンジ」という扱いですが、今回試乗してみて感じたのは、フルモデルチェンジと称しても良いほど、あらゆる面で旧型よりも進化しているということです。
まず感心したのは、自動変速装置であるDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)の完成度です。変速時の「カシャーン」「カチャーン」という音が多少気になるのは仕方ないとしても、これまでのモデルで感じていた自動変速のタイミングと自分の意識との「え、ここで変速する?」という違和感は、新型ではほとんど感じられませんでした。
各ギアでレブリミットまでの全開加速を試した際も、過剰に回転が落ちて失速することもなく、逆に不自然にドン! と進むこともありません。その絶妙な制御には本当に驚かされました。

DCTの変速タイミングについては、これまでさまざまな意見があったと思いますが、これほど適切に変速する新型に関しては、もう文句を言う人はいないのではないでしょうか。加速とともにトントントンとテンポよくシフトアップしていくフィーリングは、とても心地よいものでした。
並列2気筒エンジンは、同じ排気量のXL750トランザルプやCB750ホーネットに比べるとパンチ感は控えめですが、ナナハンのスポーツバイクとして力不足を感じることはありません。ただ一点気になったのは、高いギアでスロットル全開という高負荷状態のときに、「キンキンキン」とノッキングが起こることです。
私がプライベートで所有しているX-ADVもNC750Xと同じエンジンを搭載していますが、やはり同じシチュエーションで同様の現象が見られます。もっとも、一般的なライダーは私ほど大きくスロットルを開けることは少ないでしょうから、ノッキングを気にする機会は多くないと思います。おそらく環境性能向上のために燃調を絞っていることが関係しているのかもしれません。
